米軍基地の負担を強いられてきた沖縄からみる集団的自衛権への異論、憲法を軽視する安倍政権を前泊氏が批判ー憲法破壊の「集団的自衛権」行使容認反対!安倍政権は民衆の声を無視するな!戦争をさせない1000人委員会 6.19 院内集会  2014.6.19

記事公開日:2014.6.20取材地: テキスト動画
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(IWJ・原佑介)

特集 憲法改正|特集集団的自衛権
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 「沖縄は唯一、自分たちの力で憲法を勝ち取った地域。(沖縄以外の人は)憲法が保障する平和社会に慣れ、憲法がない社会がどういうことか経験していないので、わからないのだ」

 元琉球新報論説委員長で沖縄国際大学教授の前泊博盛氏が、6月19日、「戦争をさせない1000人委員会」主催の院内集会で講演し、安倍政権の進める解釈改憲に異を唱え、沖縄の視点から憲法の尊さを解説した。

■ハイライト

1万円札と5千円札と千円札が落ちていたら

 「道端に1万円札と5千円札と千円札が落ちていたら、皆さんはどれを拾うだろうか」

 この前泊氏の問いかけに、会場の多くの参加者が「1万円」を選択した。前泊氏は、「5千円と千円はどうするのか。置いていくわけがないのに、なぜ、そんな選択をしたのか。これが、今、集団的自衛権の議論で行われていることだ」と話を展開した。

 「『どれを拾うか』と聞いたので『1万円』と答えてしまったのだろう。こういう選択の迫り方が、安倍政権はうまい。そうやって追い込めば現実にはありえない判断をしてしまう。これが今、日本人の直面している問題だ」

集団的自衛権の議論からは経済安保の話も欠落している

 例えば集団的自衛権をめぐる議論で、「武力攻撃を受けている米艦を防護しなければならない」として、行使の必要性が語られることがある。

 これについて前泊氏は、「世界の軍事力の6割を持っている国に戦いを挑むとなれば、10倍、100倍返しに遭う。そこまでして米国を攻撃する国がいれば、手を上げてほしい。なぜか『攻めてきたらどうするか』というところから議論するが、攻めてくる前には必ず前段がある」と説明した。

 さらに、日本の脅威として常に議論に持ち出される「北朝鮮問題」についても、「攻めてきたらどうするかというが、攻められるようなことしたか」と疑問を呈す。

 「日本は北朝鮮にたくさんの石油やお米の援助をしている。なんで攻められなければいけないのか。北朝鮮は日本を攻めたら損をする、ということが、なぜ、語られないのか。集団的自衛権の議論では『軍事安保』ばかりが議論され、『経済安保』の話などが欠落している」

 例えば、日米安保条約を締結時の交渉担当者だったジョン・フォスター・ダレスは、日本占領の終結に際して、「われわれが望む数の兵力を、(日本国内の)望む場所に望む期間だけ駐留させる権利を確保することが米国側の最大の目的だった」と話している。

 今では「抑止力」という言葉で米軍基地の存在は正当化されているが、これも「本来は米国のためなのに日本のためを装うことで正当化する」という点で、「1万円、5千円、千円」の話と同じ「すり替え」なのではないか。こうした背景は、岩上安身によるインタビューで、前泊氏が詳しく解説している。

「主権回復の日式典」と「憲法」

 前泊氏は続けて、昨年4月28日、サンフランシスコ講和条約発効の日に合わせて政府が開催した「主権回復の日式典」と「憲法」の関係に言及した。

 沖縄にとって4月28日は、「米軍統治下に切り捨てられた屈辱の日」である。安倍政権は、こうした事実を知らずに主権回復の日式典の開催を主導した可能性がある。「この日をもって完全に主権が回復した、と祝った安倍総理は、沖縄と、小笠原、奄美は日本じゃないと宣言したかたちになる」と前泊氏は言う。

 では、なぜわざわざ式典を開く必要があったのか。

 前泊氏は「おそらく、『主権回復の日式典の開催』にこだわった理由は、『日本は1952年以前は主権がなかった』と言いたかったのではないか。『その間に日本国憲法ができた。だから無効だ』ということを言いたかったのだと思う」とし、そうでなければサンフランシスコ条約発効から「61年目」という節目の年でもない日に祝いはしない、と分析した。

なぜ、沖縄は米国の統治に「No」と言ったのか

 1972年に日本へ返還されるまでの21年もの間、米国統治下に置かれながらも、なぜ、沖縄は米国の統治に「No」を突きつけ、日本への復帰を望んだのか。

 前泊氏は「沖縄が日本に施政権を委ねたのは、憲法があったからだ。日本国憲法がなかったら、もしかしたら違う選択肢があったかもしれない」と述べ、「米国統治の失敗が沖縄返還という結果を生んだ」と話す。

 「沖縄は、唯一、自分たちの力で憲法を勝ち取った地域だと思う。戦った経験から、『権利は与えられるものではなく、奪い取るものだ』と沖縄では言われてきた。黙っていれば、奪われていく。その『奪う行動』が、今の集団的自衛権の問題だ」

 前泊氏は続けて、「(沖縄以外の人は)憲法が保障する平和社会に慣れ、憲法がない社会がどういうことか経験していないので、わからないのだと思う。沖縄の復帰運動は、『あの憲法の庇護のもとに行けば、米軍が中学生を轢き殺しても無罪と言われない。レイプ事件が起きても、犯人がわからないまま迷宮入りになることもない』という思いで行われた」と語った。

 また、「それでようやく日本に来てみれば、今度は憲法を軽視する、無視するという状態。なぜ憲法を変えなければいけないのか。憲法で人権を侵害された人がどれくらいいる? あるいは憲法のせいで命が危なかった人がどれくらいいる? こういうことが一件もないのに、改憲しようというのはどういうことか」と疑問を呈した。

いつも最初に犠牲になるのは沖縄だ

 前泊氏は最後に、「いつも最初に犠牲になるのは沖縄だ」と訴えた。

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