「どんな仕組みを持っても監視などできようもない」秘密保護法に関し海外視察した議員が証言 2014.5.20

記事公開日:2014.5.21取材地: テキスト動画
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(IWJ・原佑介)

 政府による特定秘密保護法の恣意的な運用が懸念されている。海外での機密管理のあり方などを参考にするため、与野党の衆院議員らは2014年1月、訪問団を編成し、イギリス、ドイツ、米国を視察した。議員らの視察報告書の完成を受け、秘密保護法に反対する市民らは5月20日、院内集会「秘密保護法監視は可能か ―議員団報告書を踏まえて― 」を開催。訪問団の一人でもある日本共産党の宮本岳志議員なども交え、訪問団のまとめた報告書について議論した。

■ハイライト

  • 議員団報告書の検討(弁護士からの発表)/ パネルディスカッション(海渡雄一弁護士、議員団として調査を行った国会議員他)
  • 日時 2014年5月20日(火)
  • 場所 衆議院第二議員会館(東京都千代田区)

ドイツの事例 一定程度開かれた秘密管理

 秘密保護法対策弁護団事務局次長の海渡双葉弁護士は報告書に基づき、ドイツの機密管理のあり方について紹介した。

 ドイツには、「連邦議会制委員会」という情報監視機関が存在する。委員数は9名で、議席数に応じて各会派に割り当てられ、連邦議会議員の過半数の賛成をもって選任される。委員長は与野党で一年ごとの交代制となっている。

 任務は、連邦政府の抱える「連邦情報庁」「連邦軍防諜庁」などといった情報機関の活動の監視だ。秘密の指定、解除の権限はないが、秘密指定の解除や範囲などについて、連邦政府側に提言することができる。また、連邦政府は、情報機関の活動や重要案件について、「連邦議会制委員会」に報告する義務があるという。

 委員会は、情報機関への立ち入り権限も持っており、抜き打ち的な査察や、文書などの提出要求も可能。海渡弁護士は、「これまで立ち入り調査が行われたことはないが、連邦政府に対する抑止力となっているようだ」と報告した。

 ドイツの秘密漏洩に関する罰則規定について、連邦議会議員には、議会などで秘密情報を漏洩しても訴追されないという免責特権が与えられている。ただし、過去に秘密の暴露が問題となった例はない。また、連邦議会に「秘密登録所」が設置されており、そこでは議員が、「厳秘」、または「極秘」に指定された秘密資料を閲覧することができるようになっている。

 集会に参加していた山本太郎議員は、これを受け、「連邦議会議員は秘密情報を漏らしても訴追されない! こんなルールが日本にあれば、東電の汚染タンク顔負けっていうくらい秘密をダダ漏れにするのに」と語った。

秘密管理に対して国際常識が欠けた日本の議員

(…会員ページにつづく)

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