日本の特定秘密保護法国家による秘密保護の国際的な原則、「ツワネ原則」から逸脱しているとして、ツワネ原則策定を呼びかけた「オープン・ソサエティ・ジャスティス・イニシアチブ」の上級研究員であり、策定のプロセスにも参加したモートン・ハルペリン氏が来日し、5月8日、衆議院議員会館で講演し、秘密保護法の非・民主性を批判した。
ハルペリン氏は元NSCの高官で、クリントン大統領のもとで特別顧問なども務めた、国家安全保障分野の専門家である。
ハルペリン氏は、日本が秘密保護法を制定する上で、米国による圧力もあったとしながら、「これまで日米間の安全保障に関する協力が長年進められてきたが、秘密保護法がなくても障害はなかった」と主張。
日米間における秘密保護法の必要性を否定し、「日本の秘密保護に関する法律が強くないために日本と協議できないという話は、一度たりとも、誰の口からも発せられなかった」と振り返った。
- 日時 2014年5月8日(木)
- 場所 衆議院議員会館(東京都千代田区)
踏まえるべき民主的プロセスが欠如した日本
秘密保護法のような、国民に不利益を与えかねない法律を成立させるには、民主的プロセスを踏まえなければならないとハルペリン氏は主張し、南アフリカでの事例を紹介。
「南アフリカも日本と似たような状況にあり、議会では、一つの政党が非常に大きな力を持っている。しかし、政府が提案した秘密保護法のような法律の作成には、3年ほどの年月がかかった。その間、議論を重ねて、多くの修正を盛りこんで、ようやく成立した。
実際、ツワネ原則を作り始めたのは、時期的に南アフリカで秘密保護の法案が出てきた時期で、南アフリカ政府の高官たちも話し合いの場に参加し、私も南アフリカ高官と懸念事項などを話し合った。法制定までに議論、協議を重ねた。出来上がった法律は必ずしも完璧な法律ではないが、こういう法律を作る際のプロセスとしては、民主社会において適切なものだったと思う」
南アフリカに比べ、「(秘密保護法を強行的に成立させた)日本政府は、そういう民主社会にあるべききちんとした手続きを踏んでいない」と批判した。
秘密指定の正当性についての担保がない秘密保護法