政府が10月15日から開かれる臨時国会で成立を目指す「特定秘密保護法」について、10日(木)、超党派の議員の呼びかけで勉強会が開催された。
会場となった参議院議員会館講堂には、立ち見を含む250名の聴衆が詰めかけ、国会議員20名も参加し、秘密保護法への関心の高さを伺わせた。勉強会では、沖縄返還に関する日米密約をスクープして、国家公務員法違反で逮捕された元毎日新聞記者の西山太吉氏が講演を行なった。
(IWJ・松井信篤)
特集 秘密保護法
政府が10月15日から開かれる臨時国会で成立を目指す「特定秘密保護法」について、10日(木)、超党派の議員の呼びかけで勉強会が開催された。
会場となった参議院議員会館講堂には、立ち見を含む250名の聴衆が詰めかけ、国会議員20名も参加し、秘密保護法への関心の高さを伺わせた。勉強会では、沖縄返還に関する日米密約をスクープして、国家公務員法違反で逮捕された元毎日新聞記者の西山太吉氏が講演を行なった。
■ハイライト
講演で西山氏は、「吉野文六元アメリカ局長が2006年に1972年から始まった沖縄返還密約を認めた。しかし、密約を結んだ当事者の吉野証言があったにも関わらず、当時の外務大臣だった麻生太郎議員は国会で『沖縄返還協定が全てであります。一切、密約などございません』と答弁した。どんな客観的資料が出ても密約はなかったと言い続ける」と、これまでの自民党政権による情報公開の姿勢を批判した。
また西山氏は、イラク戦争時に政府がついた嘘にも言及。「外務省が出したイラクレポートはわずか2、3ページ。肝心要の事は国民に嘘をついていて書けない。航空自衛隊は難民救済という人道支援の為と言っていたが、69%以上がアメリカの武装した兵隊を運んでいた。これはイラク戦争に直接、介入していたわけです。日米同盟に関する限り、建前と実際はまったく違うんです。これが秘密保全なんです。こういう嘘をついてきた政権が秘密保全法制を出すと言ったとしても、国民との間に信頼関係を持った形で秘密保全法制ができるはずがない」と訴えた。
――審議もされず廃案となった情報公開法
情報公開法は2011年に国会に出されたものの、何の審議もされないまま廃案となった。これについて西山氏は、「情報公開というのを圧殺し、機密だけが動いている。これは民主主義が完全に空洞化することの前提」と警鐘を鳴らした。