【特別寄稿】オリンピックという祭のあとに残るもの ~巨額の負債、廃墟化、「五輪は儲かる」の嘘(森 桜 神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会・共同代表) 2014.3.27

記事公開日:2014.3.27取材地: テキスト動画
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特集新国立競技場

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 「オリンピックはもうかる」という通説があるが、ほんとうにそうなのか。

 五輪が終わった後、開催地や競技場はどうなっているのか。5つの例を見てみよう。

1. モントリオール(1976年): 巨大競技場が巨額の負債に。

 モントリオールでは、当時世界初とうたわれた開閉式屋根の巨大競技場が計画された。しかし、建設費が予算の6倍に跳ねあがったことで、五輪全体の赤字は約10億ドル(現在の約1兆円相当)に膨張。原因は市長のコスト感覚のなさや組織委員会の官僚的体質だと指摘されたが、結局、赤字はモントリオールの市民らが、その後30年にわたり税金で返済させられた。

 一方、競技場は肝心の屋根が五輪に間に合わず、大会の12年後にようやく完成。しかし25年間で数回しか開閉されなかった上に、雨漏りや部材落下等で観客が激減、この競技場を本拠地にしていた野球チームは撤退。2005年以降ほとんど使われていないという。

2. アテネ(2004年): 財政危機の引き金に。

 もともと財政赤字の削減に取り組んでいたギリシャは、五輪招致をきっかけに財政拡張へ方針を転換。空港や高速道路、地下鉄などのインフラとともに、競技場を次々と建設。支出はインフラを除いても予算の2倍の約90億ユーロ(約1兆円)に膨れあがり、大会収入ではまかなえないため、政府が不足分の72億ユーロ(約8,000億円)を負担した。

 その後、ギリシャが財政危機におちいったのは、五輪をきっかけに支出削減をやめてしまったことが原因といわれている。

3. 北京(2008年): 廃墟化する施設。

 メインスタジアムの「鳥の巣」は、建設費に約4.7億ドル(約340億円)、維持費に年間約100万ドル(約8,000万円)が投じられているが、利用頻度は数えるほど。さらに「鳥の巣」以外の体育館、野球場、カヌー競技場などは、五輪からわずか4年ですでに廃墟と化した様子がロイター通信などで報じられている。これらは、大会後の運営や維持管理を考えずに計画を進めたことに大きな原因がある。

 このように「オリンピックはもうかる」という説は、どうもアヤシイ…ということがわかる。

 その中で、数少ない成功例を1つ。

4. ロサンゼルス(1984年): 既存施設の活用で黒字化。

 モントリオールの失敗を教訓に、ロサンゼルスは税金を使うことなく完全民営化を果たした。約2億ドル(約500億円)という空前の黒字を出した大会として知られるが、その勝因は収入を増やしたことよりも、支出を抑えたことにある(ちなみに収入はモントリオールより約3億ドル多いだけだが、支出は約9億ドルも少ない)。メインスタジアムを新築せず、前回の1932年のロス五輪で使用した競技場を改修活用するなどして支出をおさえ、かつロスでの2度目の五輪を国内外に強く印象づけた。

5. ロンドン(2012年): 五輪後は施設を縮小し日常的に活用を。

(…会員ページにつづく)

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“【特別寄稿】オリンピックという祭のあとに残るもの ~巨額の負債、廃墟化、「五輪は儲かる」の嘘(森 桜 神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会・共同代表)” への 1 件のフィードバック

  1. あのねあのね より:

     オリンピックや押上げタワーつまり東京スカイツリーを賛美する人々は、思考が昭和30年代で止まっているようです。当時は1ドル360円で朝鮮戦争による特需の後で、ベトナム戦争による軍事的な一般消費財の需要も大きかった。地下鉄も建設中で都心の道路は木の板や鉄板で覆っていた。掘ってから埋め戻していたんです。
     製造業は輸出で儲け、サラリーマンハ土曜日は半ドンと言って半日だけ出勤していた時代です。週末は土曜日で、本当の長期休暇はお盆と正月だけ、海外旅行は香港マカオで、間違って行ってもガム島と呼ばれていたグアム、一般庶民はハワイの代わりに伊豆大島や八丈島へ行った。銀行や地下鉄も冷房ではなくて天井から吊るされた覆いが無い大きな扇風機が廻っていた時代です。
     そういう貧乏に時代から、現在のようなエアコンが普通にある時代になった記憶で思考する方々は、1ドル200円時代の円高不況を忘れているようです。今は円は幾らですかと聴いてみても質問の意味がよく判らないかもしれない。そういう駄目な人の思考が東京オリンピック万歳になるのだと思います。

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