漏洩事故の続く福島第一原発と推し進められる帰還政策「検査はしないほうが公衆衛生上、望ましい」!? 2014.3.1

記事公開日:2014.3.1取材地: テキスト動画
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(IWJ 原佑介)

特集 3.11

 福島第一原発は今、どのような状況にあるのか。そして、事故の被害者である福島県民は今、どのような状況を置かれているのか。

 原発問題を考える市民団体「福島原発事故緊急会議」は2014年3月1日、第5回となる「連続シンポジウム 3.11から3年 ~被害者たちの暮らしは、福島第一原発の現実は」を開催した。

 福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(SAFLAN)の石垣正純弁護士、国際環境NGO「FoE Japan」の満田夏花氏、たんぽぽ舎の山崎久隆氏がそれぞれ講演した。

■ハイライト

  • 石垣正純氏 「どうなってるの?『原発事故子ども・被災者支援法』」
  • 満田夏花氏 「避難者たちが抱える困難―政府の帰還促進政策が生み出しているもの」
  • 山崎久隆氏 「危機が迫る―福島第一原発汚染水問題」

「甲状腺癌は安全」「検査はしないほうが公衆衛生上、望ましい」

 「子ども被災者支援法」は基本理念で、「居住する権利」「避難する権利」「帰還する権利」という3つの「被曝を避ける権利」と、予防原則に立った「健康被害の未然防止」、そして「医療費の減免」を認めていると、石垣氏は説明する。

 しかし、先月2月21日から開かれていた環境省・福島県立医科大学・経済協力開発機構主催の「放射線と甲状腺がんに関する国際ワークショップ」は、明らかに「帰還」ばかりを促進するものであり、石垣氏によると、「甲状腺がんは安全だ」という話にまで発展したという。 

 さらに、「『検査はしないほうが公衆衛生上望ましい』と発表した医者もいた。検査を細かくすればするほど癌が見つかる。甲状腺癌は死ぬ癌じゃないのに告知するのは、公衆衛生上望ましくないという主張だ。しかし、予防原則を考えたら、甲状腺癌が安全で公衆衛生上望ましいかは疑問だ」と指摘し、子ども被災者法の基本理念がおざなりにされていると主張。

 福島第一原発事故に関する報道も減り、当事者が置かれている状況は、時間が経過するにつれて、ますます個別化している。石垣氏は、「それぞれ自己決定権が尊重される『安全安心な社会』にむかうためには、継続的な活動が必要だ」と訴えた。

「帰還」ばかりに注力し、「賠償金」を注ぐ国の方針に疑問

 FoEの満田氏は、「『居住の権利』、『避難の権利』が動いていない一方で、『帰還の権利』だけが着々と動いている」と懸念をあらわした。2月23日、田村市・都路(みやこじ)地区では住民説明会が開かれ、同地区に出ていた避難指示は今年の4月1日付けで解除されることが決定した。

 満田氏は先日、都路の避難者から説明会の様子を聞く機会があった、と振り返り、「帰還したいと思っている方々もたくさんいるが、放射線への不安だけでなく、家が壊れていたり、避難先で医者にかかっていたりする人もいる。説明会はガス抜きに使われ、避難指示を解除する方向で政府が押し切った、と言っていた」と報告した。

 都路は、福島第一原発の20km~30km圏にまたがっている。今回避難指示が解除されたのは20km圏だ。30km圏はすでに避難指示が解除されており、賠償も2012年8月の段階で打ち切られている。20km圏も避難指示解除から1年後をめどに賠償が打ち切られる予定である。

 都路には大量の除染土が積まれている場所もあり、今でも放射線管理区域以上の線量(0.6μSv/時間)の場所が至るところにある。さらに都路は、仮設焼却炉の建設予定地でもあり、福島県中から集められた除染土や汚泥が、1日400トンも焼却される予定となっている。「なぜわざわざ避難指示解除区域に」と満田氏は疑問を呈す。

 しかも、政府は昨年末、避難指示解除後1年以内に帰還する住民に、「早期帰還者賠償」という名目で、一人当たり90万円を支払うと打ち出した。「早期」の帰還者のみに特別な賠償をすることも疑問であり、仮に、即座に帰還しても、賠償が打ち切られる1年後までにインフラなどの生活環境が整うかも不明である。

 チェルノブイリでは線量ごとに移住の義務や権利がさまざま認められていたが、日本では、年間被曝線量20mSvという大雑把な境界線だけが設けられており、さらに、被災者の「帰還」にばかり力が注がれている。こうした状況に満田氏は、「避難指示の解除にもっと慎重になり、住民、専門家の意見を聴いてオープンに議論すべきだ」と述べ、子ども支援法に基いた医療の促進や、健康調査の実施を政府に求めていこう、と参加者に訴えた。

裏目に出た雨水対策。東電の対応力のなさを批判

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