「神宮外苑と国立競技場を手わたす会」の共同代表で作家の森まゆみ氏を迎えて、前衆議院議員の平智之氏と東京大学教授の安冨歩氏による「モーレツ!政治経済教室」が2月19日に行われた。
(IWJ・松井信篤)
特集 新国立競技場問題
「神宮外苑と国立競技場を手わたす会」の共同代表で作家の森まゆみ氏を迎えて、前衆議院議員の平智之氏と東京大学教授の安冨歩氏による「モーレツ!政治経済教室」が2月19日に行われた。
■ハイライト
新国立競技場をテーマに、森氏から現状の問題点などが説明された。新国立競技場は、「橋げたを飛ばした橋」となっている構造上、値段が下がらないという。森氏は、「建築というよりプロダクトデザインだという方もいる」と指摘した。
さらに、材質も不明であることから、風害や光害の影響が何も分からないままにできてしまう可能性もあるという。屋根が電動の設計となっていることについて森氏は、これまでのケースを踏まえ、「まずうまくいかない。最近のような大雪があると、屋根がたわんで傷んでしまう」と懸念を示した。森氏がスポーツ専門家に聞いた話によれば、70Mの高さで穴が開いていると、雨が降れば風で内部に吹き込んでしまい、屋根の役目を果たさないという問題もあるという。
立地に関しても、周りの広大な土地を一緒に再開発したいという狙いがあり、「開発者にとって最後に残った聖地だ」と述べた。これについて平氏は、「東京都全体を地区計画にかけて、容積率緩和で上に上に重なり、収益還元で地価が上がっていく」と解説。今春からの工事価格も、都心で相当程度、値上がりするという。地区計画が進んだ結果として、都市部への人口流入が始まり、郊外にある現在のベッドタウンなどがゴーストタウン化してしまう可能性も指摘された。
2008年開催の北京五輪で使われた「鳥の巣」と呼ばれるスタジアムでも、今は使用されておらず、世界中で五輪建築が廃墟となっているケースが多々ある。安富氏は「中国みたいに発展していって、人口が沢山いる所で使い道がなく、日本で(新国立競技場を)造ったらどうなるのか?」と疑問を投げかけた。
森氏は、建築費のみならず維持費の問題にも言及し、「今の国立競技場は(維持費が)年間5億なんですね。今度の競技場は、年間45億と言っています」と述べ、現在の9倍にもおよぶ維持費は、少子化社会で背負うことになると指摘した。しかし、「来年(2015年)の2月か3月にIOCに出すのが最終案なので、新国立競技場については、まだなんとか見直せる余地がある」とし、この問題をあらゆるところで働きかけていく必要性を訴えた。
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安富:東京湾は世界一おいしい魚が獲れる漁場 森:昔父親に連れられハゼ釣りに行き、天ぷらに―そっちに人が来る。
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