【大義なき総選挙9】「バーナムの森は動いた」秘密保護法強行採決は安倍政権の終わりの始まり ~岩上安身による海渡雄一弁護士緊急インタビュー 2013.12.9

記事公開日:2013.12.11取材地: テキスト動画独自
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(佐々木隼也)

 シェイクスピアの戯曲「マクベス」で、スコットランド王マクベスは、「バーナムの森が進撃して来ないかぎり安泰だ」との魔女の予言を聞き、森の木が進軍することなどあり得ない、と高を括っていた。

 しかし、木の枝を隠れ蓑に進軍するイギリス軍を見た兵士から、「バーナムの森が向かってくる」という報告を受けたマクベスは仰天し、自暴自棄になってしまう。

 12月6日、秘密保護法が参議院本会議で採決され、投票総数212、賛成130、反対82で可決、成立した。元日弁連事務総長の海渡雄一弁護士は、成立直後「バーナムの森は動いた」と題した檄文を発表。いくつかの問題点を提示したうえで、「明日から、この法律の廃止を求める活動を直ちに始めよう」と訴えた。

 12月9日に岩上安身の緊急インタビューに応えた海渡氏は、「安倍総理は『国民は馬鹿だからすぐに忘れるだろう。後は経済対策とオリンピックだ』と高を括っていたのだろうが、この政府与党の暴挙によってバーナムの森は動いた。彼らはこれから政権崩壊の日が近いことにおびえなければならない」と語った。

 そして今後は、この法案の成立過程の全貌を明らかにすること、国民が覚えていること、忘れないように定期的に集会を開くことなど、継続的な努力が必要だと語った。

■イントロ

過去にも成立後の廃案運動が

 海渡氏によれば、法案成立後に廃案運動が起こった例が過去に何度かあったという。海渡氏も盗聴法(通信傍受法)成立の際に反対法案を出し続けたことをあげ、「廃案にはならなかったが、国民の権利を奪う内容を妨げることができた」と語り、「秘密保護法案はまだ施行もされていない。施行までの1年は簡単に廃案にできる」と訴えた。

 そのうえで、「まずはこの法案に誰が賛成して誰が反対し、誰が棄権したのか。これを覚えておき、次の国政選挙で賛成した人間は落とすような国民運動にしなければならない」と語った。

国民の声が党を動かした

 海渡氏は、参議院本会議での採決で、みんなの党の議員で3人が反対、そして他の議員も欠席したことについて、「これには驚いた。国民の訴えかけがあったからだろう」と語った。

 また当初は欠席方針だった民主党議員が、最終的に全員反対票を投じた内幕についても明らかにした。採決直前、方針通り議場の外に出た民主党議員の中から、「しっかり反対票を入れるべきだ」という声があがった。そこで、その場で決を採ったところ「採決に出席すべきだ」という意見が圧倒的多数だったため、全員議場に戻ったのだという。

 こうして、国民の声を背中に感じ、行動した議員がいる一方で、公明党は全員賛成票を投じた。岩上は、創価学会の創始者の牧ロ常三郎氏と、戸田城聖二代目会長が治安維持法で逮捕・投獄されていることを紹介。「牧口氏は拷問の末、栄養失調で亡くなった。この背景をふまえ、公明党ももっと動いて欲しいところ」と語った。

成立過程に重大な瑕疵 「直前まで開示されなかった重要資料」

 福島みずほ議員が内閣官房に開示された重要資料がある。内閣官房が作成した「法案の逐条解説」である。

 これまで再三にわたり開示を求めてきたにも関わらず、政府は12月5日の午前、審議直前になって開示した。そのため、この資料についての審議は、ほんの数分しかなされなかった。

 海渡氏は「解説資料はこれしか存在しない。この資料について審議されていない、ということが、この法案成立過程に瑕疵があると言えるのではないか。今後もこの資料を分析し、さらに他の資料も請求していく」と怒りを露わにした。

国連人権高等弁務官の批判「撤回」に疑問

 12月2日、スイス・ジュネーブの国連オフィスで会見を行った、ナバネセム・ピレイ国連人権高等弁務官は、秘密保護法について「国家統治を損ねる。政府に不都合な情報を秘密と指定することを許してしまうことになりかねない」と述べ、懸念を表明した。

 これに対し、安倍総理は12月4日の参議院特別委員会で、ピレイ氏に状況を説明したところ、「この法案が憲法と整合性を持たせるべく修正が施され、国会がチェック機能の役割を果たしていることを評価する」との返答があったと反論した。

 海渡氏はこの安倍総理の答弁について「しっかり検証しなければならない。ピレイ氏の発言の全体を明らかにすべきだ」と語った。

 外務省にはピレイ氏の会談記録が公電として残っているはずで、安倍総理が答弁で引用もしていることから、情報開示請求することもできるという。

 また、このピレイ氏の懸念表明に対し、党本部で開かれた外交・国防合同部会では、自民党の議員から「なぜこのような事実誤認の発言をしたのか、調べて回答させるべきだ。場合によっては謝罪や罷免(要求)、(国連への日本政府の)分担金の凍結ぐらいやってもいい」などという「暴言」があがったという。

弾圧の懸念に対し「怯えないこと」が大事

 海渡氏は、こうした自民党内の苛立ちに対し、「これは1933年の国際連盟脱退と同じ雰囲気だ」と語り、強い懸念を示した。

 そして「日本版NSC、秘密保護法は国民への引き締め。敵がいるんですよ、と国民に刷り込む効果がある。そしてもう一つのセットである国家安全保障基本法が、次に上程される。これは戦争の手続きに関する法律。戦争をするかどうかは別として、戦争準備体制が整う」と語った。

 そして海渡氏は、「この話を聞いておびえている人もいるだろう。それが体制側の目的。これに対する我々の答えは『これでひるんではいけない』ということ。皆で渡れば怖くない。ひるまない人達を増やすことが大事だ」と、強い口調で訴えた。

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