「TPPは『銃弾を撃たない形での利益誘導』。秘密保護法は『銃弾と血を伴う米国への利益誘導』」!? 2013.11.7

記事公開日:2013.11.7取材地: テキスト動画
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(IWJ 原佑介)

 「法制を整備することは喫緊の課題。日本版NSCの審議をより効果的に行うためにも重要だ」

 安倍総理はこう語り、特定秘密保護法案が11月7日、衆議院本会議で審議入りした。官邸前では法案に反対する市民らが「特定秘密保護法 NO!首相官邸前アクション」と題した抗議を行った。

 集会でスピーチした火炎瓶テツ氏は「秘密保護法は、憲法に照らしても違法。基本的人権は犯すことのできないものであり、『知る権利』は『配慮される』ものではない。『権利』はもともとあるもので、保障されて、両手を恭しく差し出してひざまづいてもらうものではない」と語った。

 さらに、「『〜の』と付けるからわかりにくいが、『報道は自由』『言論は自由』『表現は自由』『思想信条は自由』なんだ。そしてそれは憲法に『侵すべからず』と書いてある」と述べ、民主主義国に秘密保護法案が浮上すること自体が誤りであるとの認識を示した。

 集会に駆け付けた日本共産党・宮本岳志衆議院議員は、「今日、衆議員で日本版NSCが採決され、それに続いて秘密保護法案の本会議審議入りが強行された」とし、「これは憲法違反。国会内外でスクラムを組み、なんとしても廃案に追い込もう。なぜ、日本版NSCが、秘密保護法が必要か。戦争するためではないか。国家安全保障基本法の中には秘密保護法が位置づけられている。海外で戦争する国に日本を作り変える企みだ」との見解を示した。

 同じく日本共産党の吉良よし子参議院議員は、「これだけ反対の声を上げる人が集まり、世論でも『おかしい』という声が広がっている。審議入りの強行は許すわけにはいかない」と訴え、「原発もTPPも秘密に当たらないと言ってきたが、追及すると『秘密もあるえる』と言った。世界的にみても異常な法案。まずはNSCを参議院で必ず廃案に、そして秘密保護法は通さない」と語った。

 大学生の女性は、周りでこの法案を知っている人は少ない、危機感を感じていると話し、「法案には『その他の特定秘密』という文言が。これでは何が秘密になるかもわからない。その時の権力の思うままにされる危険なこと。表現、言論の自由が奪われることが一番怖い。この法案ができれば政府のやり方に反論できなくなるのではないか」と懸念を示した。

 この日、官邸前に抗議に集まった市民は、平日にもかかわらず400名(主催者発表)を越え、いよいよ審議入りした秘密保護法に対する市民の危機感の強さを感じさせた。

 抗議終了後、IWJは火炎瓶テツ氏に話をうかがった。

 テツ氏は「二言目には『安全保障』というが、どんな安全を保障したいのか、という話しだ」とし、「例えば治安維持法では、どんな治安が維持されていたかということを考えればわかると思う。実際、治安維持法下では『人を見たらスパイと思え』となっていたが、実際にリヒャルト・ゾルゲは『日本の国防体制は蟹だ。殻は硬そうでも中身はぐちゃぐちゃだ』と語って、大手を振ってスパイをやっていた。そして、ひるがえって今。米NSAがスパイやっちゃってたというのに、小野寺防衛相は『信じたくない』という」と話した。

 続けて、「事実確認を当事国にしろよ、と思う。でも、しない。抗議もしない。それを見てて、スパイ防止などできるわけない、やる気がない、ということがわかる」と、批判。

 「話は戦時中に戻るが、治安維持法下で特高警察が猛威を振るっていたとき、割りをくっていたのは誰か。日本の一般市民だ。結局、縛っていたのは国民の言論。外国からの守りには役立てない。今回の法律も、牙は国民全員に向いている。スパイ活動してる国にも抗議しないのだから、特定国家の諜報機関の人は大手振って歩き、国民は小さくなる。

 完璧に米国への利益誘導。例えばTPPが『銃弾を撃たない形での利益誘導』だとしたら、NSC創設、そして弾圧3法――『秘密保護法』『共謀罪法』『国家安全保障基本法』の軍事法制は、『銃弾と血を伴う米国への利益誘導』ではないか。安倍総理に嫌悪感をもっている保守は、彼を『売国』というが、売国というなら、対価をもらうはず。しかし、日米には対価がない。私は売国でなく『譲国』だと思う。究極な形での、相変わらずの宗主国への『利益誘導』ではないか」と批判した。

■全編動画

  • 日時 2013年11月7日(木)
  • 場所 首相官邸前(東京都千代田区)
  • 主催 STOP!「特定秘密保護法」大集会実行委員会(告知 火炎瓶テツ氏twitter

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