日本はチェルノブイリ原発事故から何を学べるのか――今後とるべき重要な対策とは?~岩上安身によるインタビュー 第200回 ゲスト セルゲイ・ラフマノフ駐日ベラルーシ大使 2012.4.7

記事公開日:2012.4.7取材地: テキスト動画独自
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(IWJテキストスタッフ・富山)

※2015年3月19日テキストを更新しました。

 「ベラルーシの場合、放射能汚染図を作るのに8年かかった。今なら、測定機器をネットワークで繋げてマッピングし、早く作ることができる。汚染状態を早く把握できれば、医療分野、食品分野、除染、避難活動、農業に対して、必要な対策がよくわかる」──。

 2012年4月7日、福島県郡山市で、セルゲイ・ラフマノフ駐日ベラルーシ特命全権大使に岩上安身がインタビューを行った。ラフマノフ氏は、元ベラルーシ国立大学化学部の教授で、2011年12月から駐日ベラルーシ特命全権大使を務めている。

 福島第一原発事故へのさまざまな対応について、ラフマノフ氏は、チェルノブイリ原発事故後のベラルーシの対策プログラムなどを示した上で、「制度的アプローチを、どのように構築していくかが重要である」と述べた。

 また、「日本の原発事故の特徴は津波。ベラルーシの場合、このようなたくさんのゴミは出なかった」とし、汚染物質を拡散させないため、運送、運輸などの移動管理の重要性や、今後、何年も続くであろう健康問題についての対応を語った。

■ハイライト

  • 日時 2012年4月7日
  • 場所 福島県郡山市

原発事故の対応を、誰もわかっていなかった

 はじめにラフマノフ氏は、「チェルノブイリ原発事故は、人工的に起きた原発事故として、その当時は一番被害が大きいものであり、事故後に持ち上がったさまざまな問題も、それまで人類が経験したことのないものだった」と振り返る。事故から25年以上が過ぎた今でも、ベラルーシではいろいろな活動や対策が行なわれていると説明した。

 チェルノブイリ原発は、現在のベラルーシの国境から15キロほどに位置しており、事故当日(1986年4月26日)はよく晴れていて、風はベラルーシ向きだったという。「しかし、事故の知らせが、すぐに来たわけではない」とラフマノフ氏は言い、このように続けた。

 「政府は、原発事故の対応をどうすればよいのか、当時はわかっていなかった。事故から数日後の5月1日はメーデー。大きな街では伝統的なデモがあり、大勢の人々が外に出てしまった。本当は外に出ない方がよい日だった」

 ラフマノフ氏は、「それから少しずつ、どのような対策が必要かということがわかり、この25年間にさまざまな活動、対策、措置が行なわれている」と話す。原発事故の対応については、「ベラルーシは世界でもっとも経験が豊富だ。放射能汚染はベラルーシが一番大きかったし、緊急対策のため、たくさんの努力とたくさんのお金が必要だった」と振り返った。

正しい対策のためには、正しい情報を

 事故直後のもっとも危険な後遺症として、ラフマノフ氏は「ヨウ素ストライク」を挙げた。

 「ベラルーシの国土のほとんどは、ヨウ素で汚染された。ヨウ素は半減期は短いものの、甲状腺に入ることで、がん発症の恐れがある」

 ラフマノフ氏は、長期的な危険をおよぼす物質として放射性セシウム、ストロンチウムについても言及。対策措置を行う際には、それぞれの放射能物質の特徴に注意しなければいけないとし、「正しい対策が行われるためには、正しい情報が必要。その情報を得るためには、精密な機械が必要である」と述べ、こう続けた。

 「当時、原発事故に対応できる機器は、ベラルーシだけでなく全世界になかった。われわれは、どこからも技術支援を得ることができなかったので、ベラルーシの学者自身で必要な技術の開発を進め、そして成功した」

 その後、ベラルーシでは、線量計のDOSEメーター、放射能物質のタイプがわかる機械、貨物の汚染・ゴミの移動をコントロールする機械、内部被曝をコントロールする設備などが開発され、現在では、さまざまな設備をネットワークで繋ぐことができると、ラフマノフ氏は力を込める。

 そして、「ベラルーシの場合は、汚染図を作るのに8年かかった。今なら、それらの機器をネットワークで繋げてマッピングし、放射能汚染図を早く作ることができる。汚染状態を早く把握できれば、医療分野、食品分野、除染、避難活動、農業に対して、必要な対策がよくわかる」と語った。

制度的なアプローチをどのように構築していくか

 次に、国による対策プログラムについて解説したラフマノフ氏は、除染や避難、食品汚染コントロール、貨物の移動コントロール、社会的なサポートに多くの予算が充てられているベラルーシの状況を語った。

 その中で、政府の重要な活動として、正確な情報発信と共に、制度的なアプローチをどのように構築していくかが一番大事であるとし、「チェルノブイリの事故も、福島の事故も国際的な問題。日本との協力はいろいろなレベルで行っており、協力できることがあれば、協力しなければいけないと思う」と述べた。

 岩上安身は、車や列車の移動で放射性物質が拡散する危険性について、「日本政府は対策をしていないし、一般の人々にも、車や列車が放射性物質を運んでいるという自覚がない。これは非常に深刻だと思う」と話し、ベラルーシでは、どのようにコントロールされているのかと尋ねた。

 これについてラフマノフ氏は、「ベラルーシの場合、貨物をコントロールする所で、車は特別な線量計のフレームを通る。そして『汚染がある』というサインが出たら、除染を行う」と説明し、貨物の移動管理の重要性を語った。また、ゴミの汚染のコントロールが、技術的には非常に難しい問題であると言及した。

 岩上安身が「今、宮城と岩手の瓦礫を、全国で広域処理しようとする動きがある。この瓦礫の処理は、どのように行うべきか」と訊くと、ラフマノフ氏は「日本の原発事故の特徴に、津波がある。ベラルーシの場合、このようなたくさんのゴミは出なかった。感情的に結論を出すのではなく、プラス面、マイナス面、経済的な面を考慮して、正しい結論を導かないといけない」と語った。

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 さらに岩上安身が、原発事故のあとの健康被害について、ベラルーシの実情を尋ねると、ラフマノフ氏は「一番つらい問題だ」と前置きして、次のように語った。

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