「今も高線量な状態が続いているにも関わらず、ずさんな原発作業員の労働実態」 ~今、何が起きているのか? 福島県真実の報告書:双葉町から日本を考える 2013.6.5

記事公開日:2013.6.5取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富田/奥松)

 2013年6月5日(水)19時30分から、東京都新宿区にあるロフトプラスワンで「今、何が起きているのか? 福島県真実の報告書:双葉町から日本を考える」が行われた。登壇者の1人、元原発作業員の石澤治彦氏(双葉町ネット代表)は、原発作業の驚きの実態を、次々に紹介。「今、福島原発では、事故前に働いていた人は1人もいないはず。みんな怖さを知っているためだ」と語った。

■ハイライト

  • 出席者 石澤治彦氏(双葉町ネット代表)、平山誠参議院議員(みどりの風)、座間宮ガレイ氏(ブロガー)、舩橋淳氏(映画監督)

 「私は健康被害により、作業が続けられなくなって、9年前に退職した。今は生活保護を受けながら、青森で暮らしている。被曝量は、放射線管理手帳には95ミリシーベルトと記録されていたはずだが、実際はその5~10倍の被曝をしていると思う」。こんな言葉で自己紹介をした石澤氏は、現在40代半ば。糖尿病、難聴、心臓疾患と日々戦っており、「4月22日に、参議院議員会館での報告会に出席した際には、途中で心臓が苦しくなり、最後まで話せなかった」という。

 特別ゲストとして急きょ参加した、ドキュメンタリー映画『フタバから遠く離れて』の監督、舩橋淳氏は「日本政府はトルコに原発を売ったり、インドと原子力協定再開で合意をしたりと、恥知らずなことをやっている。福島の、あの教訓が生かされていない。政治がとても遠い存在に感じる」と訴えた。

 第1部は、石澤氏による原発作業の実態報告が中心となった。「私は、原子炉圧力容器の底部で、定期検査に付随する作業をしていた。中は原子炉の水が滝のように流れている状態。カッパを着て全面マスクをかぶり、末端の作業員たちと一緒に働くのだが、体感温度は40度を超える。線量も高く、長時間の作業は無理だった」と説明し、作業の過酷さを示す、次のようなエピソードを披露した。「全面型のマスクをかぶっているから、息苦しさもただならぬもの。私と一緒に作業した人は、初めての参加だったが、気がつくと倒れていて動かなくなっており、マスクの中には嘔吐物がたまっていた。窒息の恐れがあるため、あわてて救助した」。一命を取り留めたその作業員は、そのまま帰宅を命じられたという。「『病院に行け』という発言は、われわれの雇用主からは一切聞かれなかった。助けるため、高線量の場所でやむを得ずマスクを外しているから、彼は明らかに被曝していたのだが」。

(…会員ページにつづく)

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