2022年12月12日、午後2時より、東京千代田区の衆議院第一議員会館にて、一般社団法人 反貧困ネットワーク、NPO法人 移住者と連帯する全国ネットワーク 貧困対策PT(以後、「移住連」)の主催により、「仮放免高校生奨学金プロジェクト・私たちはあなたを見捨てない」についての記者会見が開催された。
会見冒頭、東京大学 大学院人文社会系研究科 准教授であり、移住者と連帯する全国ネットワークでも活動する高谷幸氏より、プログラムの趣旨について説明があった。
- 「仮放免高校生奨学金プロジェクト―私たちはあなたを見捨てない」募集のご案内(移住連ウェブサイト2022.12.7)
高谷氏「もともと日本には、在留資格のない未成年の子どもが、仮放免も含め、約300人いると言われています。これは法務省の調べになります。そうした子どもたちの多く、仮放免の場合は、本当だと、収容施設に収容されることになっていますけれども、それを一時的に解かれた状態を『仮放免』と言います。
で、その状態に置かれています。ただ、親が働くことを禁止されていますし、子どもも含めて、健康保険には入れないということなので、極度の貧困状況を生きています。
さらに、義務教育期間中は、給食などの就学援助を受けられるのですけども、高校からはそれがない。あ『就学支援金の対象にならない』とはっきり文科省は言ってまして、そういうこともありまして、今回、高校生を対象にするということになっています。
こういう子どもたちについては、『制度からの排除』ということも、本当に大きな問題としてありますけれども、同時に、この社会に『いてはいけない存在』」なんだと、日々言われているような状態にありまして、それが本当に、子どもたちの将来の可能性を奪っており、生きる力を奪っているんだということを、私たちは実感しており、それを何とかしたいと。それに対する、対抗的なメッセージを伝えたいということで、このプロジェクトを始めました」
このプロジェクトの対象となる奨学生には、大学生・大学院生が「チューター」として伴走し、学校や勉強、将来など、日常的な相談にのることになっている。会見では、実際にチューターとして活動する4人の大学生が登壇し、自己紹介をした。
その中の一人、上智大学の国本万葉さんは、「私たちのように、(仮放免高校生の)家族側にも、学校側にも、入管側にも直接つながりをもっていない学生だからこそ、信じてもらえ、話してもらえることがたくさんあるのではないかと思っています。
上から支援・アドバイスをするのではなくて、一緒に前に進んでいくような気持ちや姿勢で向き合っていきたい」と自身のチューターとしての抱負を語った。
反貧困ネットワークの世話人として登壇した作家の雨宮処凛氏は「仮放免の話は、やっと最近注目されるようになってきて、私自身はこの2年半のコロナ禍で、たくさんの仮放免の方たちに会う機会が増えたのですが、それは仮放免の方々の生活がコロナで本当に厳しくなったからなのですが…。
その中で、子どもたちの声というのもたくさん聞いてきて、(中略)一番将来のことを、「どうするの? どうするの?」と学校でも言われるし、同世代の人たちも考えているような時期に、就労も禁止されている、先のことが、自分は本当に就職できるのか、というより、日本にいられるのか? というような、同世代の人には、ちょっと想像もつかないような悩みを抱えている。
その上に、まわりの人に相談したくても、仮放免の制度も一般的な知名度もありませんし、学校の人、先生だとか、まわりの大人たちもよくわからないので、同世代の友だちにはどうしても、難しい話なので、『相談できる人がいない』という声をたくさん聞いてきました。
本当に、日本は、なかなか、学ぼうとする子どもたちに優しくないというか、冷たい社会で、この仮放免の子どもたちに対しては、最たる冷たさというか、一番冷たい状況だと思うので、人数的には少ないかもしれないですが、この子どもたちを救っていく、というか支援していくというのは、すごく大きなメッセージになるのではないかと思っています」
質疑応答の内容など、会見の詳細はぜひ全編動画を御視聴ください。