今の日本社会は「男性仕様」で出来上がっており、今後、本格化の度合いを強める「人口減少」に対応していくには、政財界に今なお横たわる「トップリーダーは男性が就任するもの」との価値観の転換が急務──。
2015年12月22日に日本外国特派員協会で開かれた会見で、自由民主党の野田聖子氏(衆院議員)は、こうした趣旨の議論を展開。3年後の自民党総裁選に再挑戦する意欲も表明した。
「(総理大臣になるという)夢に向かって一生懸命に歩んでいくことが、わが人生だと考えている」と言い放つ野田氏は、社会進出に前向きな女性に「長時間勤務」を強要する旧態依然とした風潮を忌み嫌う。自身が首相に就任した暁には、「子どもを持つ女性にも対応可能な勤務形態を、(国の)トップリーダーとしてつくっていきたい」と抱負を語り、これからの日本で「トップリーダー」の役柄を担う力を秘める女性たちに、「(家庭と仕事の両立を目指す平均的な)大勢の女性に適応可能な働き方を示せる存在になってほしい」と呼びかけた。
「出生率アップ」に異論の余地なし
冒頭で野田氏は安倍晋三総理との関係に言及。自身に「反・安倍」のイメージがあることについて「それは間違いだ」とし、「安倍首相と私は(1993年の第40回衆院選で国会議員に初当選した点で)いわば『同級生』で苦楽をともにしてきた間柄だ」と述べた。
安倍政権が打ち出した新たな経済政策「新3本の矢」に話を進めると、「(メディアによって)派手に取り上げられている、目指すところの『出生率1.8の実現』は、もっともなこと」と指摘。日本ですでに本格化している「人口の減少」を直視すれば、行うべきことは誰の目にも明らかだと口調を強めた。
「100年後の日本は3000万人規模の国家になるという試算があり、それは1868年の明治維新の時と同水準だが、問題は数だけではない。明治維新の時の高齢者の割合は1割未満だったが、100年後は半分が高齢者になるとされている」。
野田氏は、今の日本ではどの政党が政権を握っても、政策スローガンに「出生率アップ」が掲げられると言い重ねるも、気がつけば、新3本の矢の目標から「女性の活躍」が消え、「1億総活躍社会」が象徴語として使われていることに関しては違和感を唱えた。
「私がこういう発言をすると『安倍首相への批判』と解釈されちだが、政府には時々、日本の姿の分際を忘れて取り組もうとしているフシが見られる。そういう時は軌道修正をうながす」。
「同一労働・同一賃金」を提言