新自由主義時代の寵児、「村上ファンド」の村上世彰氏が、維新に合計2900万円の巨額献金! そのうち150万円は政治資金法違反の疑いがあると上脇博之・神戸学院大学法学部教授らが大阪地検に告発状を提出! 2021.12.10

記事公開日:2021.12.12取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(文・IWJ編集部)

 12月10日金曜日、上脇博之・神戸学院大学法学部教授らと告発人10名が、投資家の村上世彰(よしあき)氏と日本維新の会の馬場伸幸共同代表らに対する政治資金規正法違反容疑の告発状を大阪地検特捜部に提出した。

 告発状の提出後、上脇教授と告発代理人の坂口徳雄弁護士が、告発の趣旨を説明する記者会見を大阪市内で開いた。上脇博之教授ら告発人は、村上氏が、日本維新の会に法定上限の2000万円を超える個人献金をしたなどとしている。 

 12月10日付の告発状によると、村上氏は2020年10月26日に「日本維新会」本部に2000万円を、「日本維新の会衆議院大阪府17選挙区支部」に2020年10月27日に150万円を供与した。

 政治資金法では、「巨額の政治資金の授受が政治腐敗・癒着」に結びつきやすいとして、寄付の量的制限を設けている。

 総務省は「制限の対象となる政治団体については本部・支部を通じて一体」としており、村上氏の寄付は、「個人のする寄付」を1年につき2000万円までに制限する政治資金法(第21条の3第1項1号)に反していることになる。

 また、寄付の受領側についても、寄付の量的制限(第21条の3第1項1号)に「違反する寄付の受領の禁止」(第22条の2)が設けられています。これに違反すると、「1年以下の禁錮又は50万円以下の罰金」に処される。

 村上氏の寄付を受領した「日本維新の会衆議院大阪府17選挙区支部と、同支部代表・馬場伸幸氏と会計責任者・米田晃之氏にも政治資金法違反の疑いがある。

 告発状は最後に以下のように指摘している。

 「『日本維新の会』と『本件維新選挙区支部』は、それぞれ被告発人村上世彰に対し、それぞれ受領した寄付についての領収書を発行しているはずである、『身を切る改革』と社会に宣伝している以上、うやむやに終わることなく、早急に捜査を遂げ、厳重に処分して頂きたい」
 
 大阪市内で記者会見した上脇教授と坂口弁護士は、「検察には領収書や口座など証拠を押さえろと補充書を出した。どう考えても違法で、150万円は没収されるべきだ」と訴えた。

 一方、馬場氏は個人後援会宛ての献金を政党支部に計上した「事務手続き上のミス」だと説明し、12月1日付で収支報告書を訂正したと述べている。

 坂口弁護士は会見で「(馬場氏は)実は単なるミスだったとおっしゃっています」と前置きした上で、以下のように反論した。

 「事実は単純です。おそらく、手渡しをしているとは思われません。送金していると思われます。

 村上さんはこれ以外にも他の維新の役員たち5名、馬場さんと政党支部を除く5名に対しても(それぞれに)150万を献金しています。2900万円維新に対して合計、(献金)しているわけです。

 そうすると、こんなものを手渡ししているとは思われません。送金しているはずです。単純に、送金先はどこかと。検察庁に我々がお願いしたのは、送金先の口座の履歴を洗ってくださいと。これでもう、ドン、ズバリ」。

 さらに、馬場氏が「訂正した」というのも、虚偽記載の疑いがあると指摘し、「検察庁には断固たる捜査をしていただきたい」と求めた。

 上脇教授は、村上氏から維新に巨額献金があった2020年10月は、「大阪都構想」の住民投票の時期だと指摘、「単純なミスなどありえない」と主張した。

 上脇教授は、「そもそも政治資金規正法の上限が2000万円というのは庶民感覚からすると高すぎる」、「桁が違うのではないかと何回も見直した」と指摘、その上限をさらに超える献金をしていることがおかしい、と述べている。
 
 村上氏は、通商産業省(現経済産業省)出身で、「村上ファンド」の創設者である。「村上ファンド」は株主総会などで経営陣に厳しい批判をすることなどから、「もの言う株主」として注目を集めた。

 村上氏は、ニッポン放送株を巡るインサイダー取引容疑で2006年に逮捕されたが、再び、株式市場を席巻するようになっていると、『ダイヤモンド』が指摘している。

 「敵対的TOB(株式公開買い付け)」を仕掛ける、「家族や側近、関連する法人で対象企業の株式を分散保有し、時にグループ内で保有者を目まぐるしく変更する」独自の手法で、荒稼ぎをする村上ファンドは、新自由主義時代の寵児でもあった。

 経営コンサルタントの大村大次郎(おおじろう)氏は、橋下・維新とパソナ会長・竹中平蔵氏の深い関係を暴露、パソナに支配された大阪が、異常な人口減少に見舞われ、「子供が育てられない都市」になっていると指摘している。

 今回の告発では、与野党の中で最も新自由主義的な規制緩和などの政策を持つ維新と、村上世彰氏と深いつながりが浮上した。「身を切る改革」を謳い、文書交通費などで話題作りに余念のない「維新」という政党の正体をじっくりと見定める必要があるだろう。

 詳しくはぜひ、IWJの取材動画で御覧ください。

■全編動画

  • 日時 2021年12月10日(金)11:00~
  • 場所 大阪市内

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です