4月9日に告示された衆議院大阪12区補欠選挙は、4月21日に投開票を迎える。衆院大阪12区補選に立候補したのは届け出順に、無所属の宮本たけし氏、日本維新の会の藤田文武氏、無所属の樽床伸二氏、自民党の北川晋平氏である。
- 衆院補選 大阪12区(NHK NEWS WEB)
補選に先立ち、大阪府知事と大阪市長が入れ替わって知事選と市長選に出馬した大阪「スワップ」選挙(4月7日投開票)は、大阪維新の会代表で前知事の松井一郎氏が新市長に、同政調会長で前市長の吉村洋文氏が新知事に当選した。さらに、大阪府議会選(4月7日投開票)も維新が過半数を占める結果となった。
維新勢力が勢いづき、衆院大阪12区補選の投開票が目前に迫る4月18日、岩上安身は大阪へおもむき、宮本氏にインタビューを行った。
宮本氏といえば、消費者金融会社・武富士の警察との癒着の問題について、2003年5月に国会で鋭い追及をしたことで知られている。一方、武富士は、問題を報じたフリージャーナリストや出版社などに対して、相次いで高額の損害賠償請求訴訟を提起した。驚くべきことに、スラップ訴訟を連発していたこの時期の武富士側弁護団には、新知事となった吉村洋文氏が加わっていた。
18日のインタビューで、岩上安身がこの事実を宮本氏に伝えると、あの大きな目を一段と見開き、「そうだったんですか!」「彼(吉村氏)だったんだ! ひどいなあ」と、驚きと憤りを隠せない様子だった。
かつて武富士によるスラップ訴訟に関与していた吉村氏は4月9日、大阪12区補選で立候補した維新の藤田氏の応援演説を行い、「いま衆議院と参議院で3分2以上の改憲勢力がある。なんで本気で憲法改正の議論をしてくれないの」と訴えた。そして藤田氏も、「憲法改正。私も悲願です」と同調した。よく覚えておいていただきたい。維新は新知事から国政の候補まで改憲が「悲願」と公言する人物ばかりであるということを。これが現実である。
- 衆院大阪12区補選 改憲をあおる維新 安倍政治応援を競う(しんぶん赤旗、2019年4月12日)
さらに、維新の「生みの親」であり、元大阪府知事の橋下徹氏は、4月11日放送のAbemaTVの番組「News BAR 橋下」で、「憲法改正が進まないのは公明党がブレーキを踏んでいるから」「大阪の公明党をすべて落選させて、憲法改正!」と公言した。「私人」を自称しながら橋下氏は改憲勢力の先頭を切って、まるで指揮者気取りである。
維新が改憲勢力として公明党にとってかわろうという姿勢をむき出しにし始めた中、4月13日、記者クラブ所属の現役新聞記者からIWJへ、ある政治的シナリオについてのレポートが寄せられた。永田町でひそかに囁かれているそのシナリオによると、安倍晋三総理は今通常国会の会期末、「消費減税」を訴えて衆院を解散し、衆参同日選挙になだれ込む。狙いは改憲勢力による衆参の議席の3分の2以上の維持、そして、緊急事態条項を含む憲法改正の発議だ。
岩上安身は4月19日、このシナリオが非常に危険であるにもかかわらず、まだまだ周知されていないことに、ツイッター上で強い危機感を示している。
「そう、本気で野党は丸パクリ戦術への対抗策を講じてもらいたい。IWJがディープレポートを出してから、安倍総理側近の萩生田氏が、消費税凍結の観測気球を出してきた。これは偶然ではない。財務省が反対するだろう、なんてことは通じない。何しろ改憲発議のためなのだから、なんだってやる」(岩上安身ツイート 2019年4月19日)
「減税という餌を選挙前にばらまいて、衆参の議席3分の2を改憲勢力で確保すること、それだけが、自公維の狙いなんですよ。減税公約をひっくり返すことも、へっちゃら。憲法に保障された基本的人権である財産権を踏みにじる程の国民からの極限的な収奪も、戦後直後同様に可能。緊急事態条項があれば」(岩上安身ツイート 2019年4月19日)
「観測気球なんだから、出したり引っ込めたりするのは普通のこと。驚くような話ではない。永田町では野党の急進派のアイデア丸パクリ案はまだ消えていません。もっと世間に知られる必要があります。ディープレポートの拡散を!」(岩上安身ツイート 2019年4月19日)
吉村氏が武富士によるスラップ訴訟に関与していた事実、そして、維新勢力が安倍総理の悲願である、緊急事態条項を含む憲法改正の発議を後押ししている問題について、18日の宮本たけし候補へのインタビューで、岩上安身は重大な事実を指摘しつつ、宮本氏の見解をうかがっている。ぜひ、下記のハイライト動画ご覧いただきたい。
あわせて、岩上安身による宮本氏へのインタビューの全編動画も、下記記事にてご覧いただきたい。