梓澤和幸弁護士が糾弾!「都市再開発法の立法趣旨が無視され、巨大資本が都市と住民を食い物にする手立てとされている」~7.16 月島3丁目南地区都市開発に関する再開発組合設立認可取消訴訟 第1回口頭弁論期日 記者会見 2021.7.16

記事公開日:2021.7.16取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(取材、文・IWJ編集部)

,

 2021年7月16日(木)11時45分より司法記者クラブにて、月島3丁目南地区都市開発に関する再開発組合設立認可取消訴訟 第1回口頭弁論期日 記者会見が開かれた。

 現在、東京都中央区月島三丁目南地区では、既存の建物を取り壊し、地上50階建て(高さ約190m、750戸)の超高層ビルの建築を含む再開発事業が進められている。これを受けて施行区域内の住民は、2020年4月30日、東京都に対し、設立認可取り消し訴訟を提起した。原告側は、この再開発は住民が知らないままに進められたもので、都市再開発法及び中央区まちづくり基本条例に違反するものだとしている。

 会見には弁護団の大城聡弁護士、梓澤和幸弁護士、斉藤悠貴弁護士、原告・月島住民の石川福治氏、同じく原告・月島住民の大山隆三氏が登壇した。

 この会見で大城聡弁護士が解説した、本件における原告側の主張の概要は、「都市再開発法14条1項の同意条件を満たしていない」「土地の利用状況に関する都市再開発法3条3号の要件を欠く」、というものであった。

 「都市再開発法14条1項の同意条件」とは、再開発の施行主となる再開発組合の設立認可のために、施行地区内の宅地所有者と借地権保有者のそれぞれ三分の二以上の同意を得なければならない、という条件である。この月島三丁目南地区に関して、原告らが認可申請書の情報公開を迫ったところ、黒塗りの同意書100通が開示されたものの、印鑑証明書はそのうちの8通にしかないことが判明し、必要とされる同意が得られているのかどうかに疑いがあり、申請手続きが法令違反に該当すると考えられた。

 また、「都市再開発法3条3号の要件」とは、客観的に見て土地の利用状況が著しく不健全である場合に再開発が行われるとするものだが、本件の該当区域にはそのような不健全さ、再開発を要するものはないという。

 月島住民大山隆三氏、石川福治氏はそれぞれ月島三丁目南地区の健全さ、快適さと整備状況を語った。

 石川氏は、「埋立地だから、非常にキッチリつくられている土地なんです。それぞれのブロックがこういう形(長方形)になって並んでいる(卓上の資料の紙、封筒を手にとって示す)。道も広いし、住んでる者がきれいにしている。無理に再開発する必要なんてない」と述べた。

 梓澤弁護士は、「60年代に都市再開発法が考えられたときに、法案審査や国会での議論で練られた立法趣旨がもはや無視されて、巨大資本が都市と住民を食い物にする手立てとされている。これは日本全国で起きている。それに対して裁判所は『待った!』をかける任を負っている。この事にもっと関心を持ち、状況を報じて欲しい」と語った。

 次回の期日は10月1日となる。

 会見の詳細は、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。

■全編動画

  • 日時 2021年7月16日(金)11:45~
  • 場所 司法記者クラブ(東京都千代田区)
  • 主催 愛する月島を守る会、月島再開発問題弁護団

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です