2021年6月8日(火)、午後4時半頃より、東京都千代田区の東京都医師会館にて、東京都医師会の定例会見が開かれた。
会見の主旨は東京のワクチン接種の進行や人員確保だったにも関わらず、質問では東京オリンピック・パラリンピックの医療体制や、開催の是非についての質問が相次いだ。
会見で、IWJ記者は、出席した尾崎治夫・東京都医師会会長に、東京オリンピック・パラリンピックの医療体制について以下のように質問した。
「6月2日の衆議院厚生労働委員会で、尾身会長がオリンピック・パラリンピックの開催について、『普通はない。このパンデミックで』と指摘されています。一方で、尾身会長の発言を受けて、丸川大臣は『全く別の地平から見てきた言葉をそのまま言ってもなかなか通じづらいというのが私の実感』と述べ、『できる対策はなにかと懸命に取り組んでいる』と発言しました。尾崎会長は丸川大臣が仰ったような、オリンピックを開催するために、できる対策を政府側がしているとお考えでしょうか。また、現在の医療体制のまま東京オリンピックに突入するならば、医療崩壊や感染拡大はどの程度の規模になると思われますか」
尾崎会長は、IWJの記者に対して以下のように回答した。
「ステージ2、感染者が100人くらいに収まってないと、国民、都民のいろんな思い、感情からして、オリンピックが本当にできる状態なのかなと、皆さん考えられるんではないかと思う。そのくらいに感染が収まった状況でないと、7月、8月にリバウンドがくると予測される」と、状況を分析した上で、オリンピックの開催について、「やるとすれば無観客しかないだろう。場合によっては中止という選択肢もあり得るのではないかと思っています」と、語った。また、「無観客で、パブリックビューイングとか、人が集まるようなことはやめて、国民全員が家でテレビ観戦。人流を増やさない」とも、重ねて指摘した。
新型コロナ分科会の尾身会長の発言については、「分科会の先生の考えとしては極めて当然。もう少し早めにだしていただけたら、ありがたかった」と述べた。
定例会見での尾崎会長の発言は、現在の東京の新規感染者数の推移や、リバウンドがオリンピック開催時期の7月、8月に起こりえるなど、科学的エビデンスを分析した上で東京オリンピック・パラリンピックの開催について苦言を呈した。