2021年4月13日、原発事故人権侵害訴訟・愛知岐阜(通称:だまっちゃおれん訴訟)裁判の第3回口頭弁論の終了後に「だまっちゃおれん!原発事故人権侵害訴訟・愛知岐阜 控訴審第三回期日後の報告集会」が行われた。
福島第一原発事故の後、福島県から愛知、岐阜、静岡県へ避難するなどした41世帯126人が慰謝料等の賠償を東電と国に求め訴訟を起こした。しかし名古屋地裁は2019年8月2日、東電への請求を一部認めて原告109人に約9600万円の支払いを命じたものの、国への請求は認めなかった。
原告・住民側は、この判決を不服として控訴。原告・住民側は「国に責任がある」として約4億3670万円の支払いを求めている。
今回の報告集会では、弁護団の弁護士による、第3回口頭弁論の報告が行われた。その中で、宮田陸奥男弁護士は、松山要(かなめ)さんによる原告陳述について「すごい良かった、私は涙を堪えるので精いっぱいでした」、「本当に素敵な、迫力のある被害申告」と振り返った。
「だまっちゃおれん!原発事故人権侵害訴訟・愛知岐阜」ホームページの裁判資料に松山さんによる陳述が掲載されている。以下に陳述の一部を引用する。
松山さん「今年の3月11日は東北3県が『復興できてよかったね』と言うお祝いムードの番組ばかりでした。私も、娘と二人で東海テレビの撮影に同行し、私の故郷である福島県いわき市に行きました。ここまで復興できて良かったという思いは同じです。でも、そこには放射能汚染が存在するんです。
私は、娘にわかりやすく放射能の説明をしましたが、返ってきた反応は『わからない』でした。
娘は『ママがそんなに帰りたいなら、家族でお引っ越ししても良いよ』『私の故郷はいわきだよ』と言ってくれます。娘の言葉に涙がこみ上げてきます。けれど、この先娘が大人になって自分で理解した上で決めない限り、私たちはふるさと、福島には帰れません」
松山さん「『原発事故のこと、その影響のこと、隠していませんか?』この言葉は、先程お話した東海テレビの撮影で、私が一番伝えたかった言葉です。でも番組ではカットされてしまいました。
裁判所は、一審で国や東電のやっていることの理不尽さをしっかり判断してくれたのでしょうか。原発事故のことやその影響にきちんと正面から向き合った判断をしてくれたでしょうか。とてもそうは思えません。
国と東電は、微々たるお金で納得させようとしていました。でも、そんなことよりも元の生活を返して欲しかった」
- 裁判資料「第3回口頭弁論期日」(だまっちゃおれん!原発事故人権侵害訴訟・愛知岐阜、2021年4月13日)
上記裁判資料では、松山さんの陳述全文のほか、弁護団の岡村弁護士、田巻弁護士による陳述内容が掲載されており、報告集会の中で資料の紹介や解説も行なわれている。