IWJ調査レポート続編!『パンデミック報告書』のプロジェクト・ディレクター、アメッシュ・アダルジャ博士にIWJは直接メール取材!新型コロナウイルスはSARSよりも明らかに感染力が強く封じ込め不可能! 2020.3.15

記事公開日:2020.3.16 テキスト
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(文・翻訳:尾内達也 文責:岩上安身)

 IWJでは、2020年3月13日、米国ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院・健康安全保障センターの『パンデミック病原体の諸特徴』と題する報告書(以下『パンデミック報告書』)をウェブに掲載した。これは250人以上の専門家へのインタビューと広範囲な文献調査をもとに作成されたもので、2018年5月10日に発表されたもので、WHOが新型コロナウイルスの感染拡大を「パンデミック」だと発表した3月12日のおよそ2年も前のことである。

▲Global Catastrophic Biological Risk(地球規模の破滅的な生物学的リスク、amazon.co.jpより)

 IWJでは、この報告書のプロジェクト・ディレクターを務め、現在、米国のメディアに頻繁に登場して新型コロナウイルスの解説や議論を行っているアメッシュ・アダルジャ博士に、メールで直接取材し、以下4点の質問に対する回答を頂いた。博士に感謝するとともに、その内容をIWJの読者にご紹介する。

 アメッシュ・アダルジャ博士の回答は、IWJの4つの質問に対して一つずつ回答したものではなく、一括して回答している。このため、博士の回答の日本語訳については、表記の仕方として、博士の回答全体のうち、IWJの質問に該当する部分を博士の回答全体からピックアップして対応させてある。そして、最後に、博士の回答のオリジナル全体をそのまま翻訳して掲載した。

(IWJの質問/日本語訳)
 あなたの報告書『パンデミック病原体の諸特徴』を読みました。あなたが報告書の中で明らかにしたGCBL(Global Catastrophic Biological Risk:世界的な規模の破滅的な生物学的リスク)レベルの病原体の特徴7つにほぼ該当するので驚いています。そこで、以下4点についておうかがいいたします。

質問1. 新型コロナウイルスはすでにGCBRレベルのパンデミック病原体だと考えることができるのでしょうか?

博士「新型コロナウイルスを地球規模の破滅的な生物学的リスク(GCBR)レベルの病原体に完全にあてはまるとするのは難しいです。というのは、まだ致死率について不確定な部分があるからです。しかし、致死率1%未満の病原体であってもどんなことが起きるのかの実例になります)

質問2. 蔓延のスピードを考えると、新型コロナウイルスの感染力はSARSよりずっと高いと思います。それは新型コロナウイルスがいわゆるステルス・キラーを大量に生み出すからではないと推測されます新型コロナウイルスの産み出すステルス・キラーについてどう思いますか? その数や感染力、新型コロナウイルス弱者の影響力については?

博士「新型コロナウイルスの感染力は明らかにSARSよりもずっと強力です」

質問3.WHOのテドロス・アダノム事務局長は、11日に新型コロナウイルスはパンデミックになったと宣言しました。しかし、同時に、制御可能とも言っています。この発言は楽観的だと思います。あなたはこのパンデミックが制御可能だと思いますか?

博士「それ(新型コロナウイルス)は封じ込め不可能です。ですから、我々はパンデミックの中にいるのです」

質問4.パンデミックの状況で東京五輪の開催は難しいでしょう。東京五輪中止の可能性についてどう思いますか?

博士「オリンピックに関する決定は複雑なものになるでしょう。それは、最終的な決定期限に近づいたときの、新型コロナウイルスの蔓延状況とその深刻さによるでしょう」

博士の回答全体「新型コロナウイルスを地球規模の破滅的な生物学的リスク(GCBR)レベルの病原体に完全にあてはまるとするのは難しいです。というのは、まだ致死率について不確定な部分があるからです。しかし、致死率1%未満の病原体であってもどんなことが起きるのかの実例になります。新型コロナウイルスの感染力は明らかにSARSよりもずっと強力です。それは封じ込め不可能です。ですから、我々はパンデミックの中にいるのです。

 オリンピックに関する決定は複雑なものになるでしょう。それは、最終的な決定期限に近づいたときの、新型コロナウイルスの蔓延状況とその深刻さによるでしょう」

(IWJの質問/原文)

I’m a journalist in Japan. I’ve read your report,” The Characteristic of Pandemic Pathogens” published in 2018. And I am so surprised that COVID-19 has almost all 7 traits you explicated as the characteristics of a GCBR-level pandemic pathogen in the report.

1. Can we already see COVID-19 as a GCBR-level pandemic pathogen?

2. And considering the speed of spread, I think COVID-19’s R0 is much higher than SARS. I presume this is because COVID-19 is engendering a lot of so-called stealthy killers.What do you think of stealthy killers produced by COVID-19? the number of them, their R0 and their influence to the vulnerables of COVIS-19.

3. The director general of WHO declared COVID-19 pandemic yesterday. But at the same time he says they are controllable. I think his comments are optimistic. Do you think the pandemic is controllable?

4. Under the situation of pandemic the Tokyo Olympics will be difficult to be held. What do you think of the likelihood that the Tokyo Olympic games will be halted?

(アメッシュ・アダルジャ博士の回答/原文)

Hard to completely categorize the novel coronavirus as a global catastrophic biological risk level pathogen because we still have some uncertainty around the case fatality ratio. However, this is illustrative of what even a pathogen with a case fatality ratio of less than 1% can do. This virus is clearly much more transmissible than SARS It is not containable. Hence, we are in a pandemic.

Decisions regarding the Olympics are going to be complicated and will likely depend upon the context of this virus is spread and its severity as we approach the deadline to make the decision.
(以上)

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