「東京での立食パーティーの相場は『田舎(地方都市)』の下関の約2倍、1万円はするでしょう」。
こう話すのは、安倍首相の地元下関の宴会場「シーモールパレス」の社員。首相元秘書で安倍派市議でもあった前田晋太郎・下関市長が12月3日、ここで「市政報告会」と銘打った立食のパーティーを開催。約400人前後が参加し、会費は「桜を見る会」前夜祭と同じ5000円だったので、下関と東京の相場観について聞いてみたのだ。
▲前田晋太郎・下関市長(横田一氏提供)
ちなみに前夜祭が開かれた「ホテルニューオータニ」(東京都千代田区の)の立食パーティーの最低価格は11000円以上。下関での会費5000円の立食パーティーに参加した人が東京の一流ホテルでの立食パーティーに同価格で招待されれば、「出血大サービスだ」などと思って安倍首相に感謝感激をするに違いないが、この「お得感」こそ、選挙民に対する利益供与(買収)を禁じる「公職選挙法違反」の証といえる。
前夜祭の実際の相場価格(1万円以上)と会費5000円の差額を安倍事務所が補填することは、選挙民に値引き分の現金を渡したのと等しいことになる。選挙でお世話になっている人へのご褒美(プレゼント)にあたり、公選法が禁じる買収に該当するのは明らかである。
仮にホテルニューオータニ側が差額分を負担していても、安倍首相の違法性は免れない。ホテルニューオータニが前夜祭の例外的価格設定によって実質的な企業団体献金(「闇献金」)を行ったことになるからだ。政治団体の収支を記載することを定めた「政治資金規正法」に違反することは言うまでもない。ホテルニューオータニの「闇献金」で法外な値引きをして、安倍後援会関係者にお得感を抱いてもらったことになるのである。
安倍事務所が直に差額補填をしても、ホテルニューオータニの「闇献金」で埋め合わせても、法律違反は明らかであり、将棋で言う「詰んでいる」状態ということになる。
郷原信郎弁護士が指摘! 安倍首相とホテルニューオータニとの『癒着・腐敗』、贈収賄の疑いも!
格安の前夜祭価格に加えて、安倍首相夫妻らの無銭飲食疑惑にも注目したのが、元検察官(東京地検特捜部など)の郷原信郎弁護士。11月27日の「ヤフーニュース個人」の記事「『桜を見る会』前夜祭、安倍首相説明の『詰み』を盤面解説」で、次のように説明していたのだ。
「(前略)安倍首相が説明するとおり、ホテル側が会費の設定を行い、自ら参加者から会費を徴収するのであれば、安倍首相夫妻、安倍事務所、後援会関係者からも当然会費を徴収しなければならない。支払った場合は、安倍後援会としての支出が発生するので、後援会に政治資金収支報告書に記載がないことが政治資金規正法違反となる。逆に、支払っていない場合には『無銭飲食』になる。もちろん、その『無銭飲食』は、ホテル側が『被害届』を出さなければ『事件』にはならないが、それは、ホテル側が『無銭飲食』を見過ごし、その分の支払を免除することで、ホテルニューオータニという企業が、安倍後援会に企業団体献金を行ったことになる。安倍首相には、違法にならない『説明』の余地はない」
そして、郷原氏は、「贈収賄の疑いさえ生じさせることになる」と続けた。
「11月19日朝に、私が出した記事【最終盤を迎えた『桜を見る会』安倍首相“詰将棋”、『決定的な一手』は】では、安倍首相が、ホテルニューオータニ側に便宜を図ってもらったような説明をすると、ホテルニューオータニが、安倍首相の職務権限による『何らかの見返り』を期待する関係にあった疑いが生じると指摘した。実際に、安倍首相が長を務める内閣府は、皇位継承に関連する行事に関して、都内の有名ホテルに多額の発注を行っており、ホテルニューオータニも、今年10月23日に、約1億7000万円の予算で開催された内閣総理大臣夫妻晩餐会を内閣府から受注し、『桜を見る会』前夜祭と同じ『鶴の間』で晩餐会が開催されている。ホテル側が、前夜祭の夕食パーティーで、参加していた安倍首相夫妻や事務所関係者から徴収すべき参加費を徴収しなかったとすると『利益の供与』であり、それは、安倍首相とホテルニューオータニとの『癒着・腐敗』の疑い、極端に言えば、贈収賄の疑いさえ生じさせることになる」。