大地震は巨大台風から4年以内にやってくる!? 関東大震災のときも台風が上陸!当時の著名な気象学者は、台風の低気圧が関東大震災の引き金になったと主張!IWJはフロリダ国際大学のシモン・ウドウィンスキー准教授に直接取材! 2019.10.21

記事公開日:2019.10.21 テキスト
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(文・取材・翻訳:尾内達也 文責:岩上安身)

 東日本を縦断した台風19号による被害は、朝日新聞の集計によれば、19日現在で、81人が亡くなっている。死者は、福島県(30人)と宮城県(17人)、神奈川県(14人)に集中しており、この3県で全体の75%を占めている。

▲台風19号ハギビス(Wikipediaより)

 また、共同通信の集計によれば、19日までの行方不明者の数は、10名となっている。

 国土交通省「災害・防災情報」によれば、堤防の決壊は、18日午後3時の時点で、7つの県のあわせて71河川、128か所に上っている。川の水が堤防を越える「越水」などで氾濫が発生した河川も、16都県の、のべ265河川にのぼっている。

 さらに、台風19号ハギビスの主な強風のうち最大風速は、12日20時59分の東京都大田区羽田で34.8m/sだった。しかし、主な瞬間風速観測地10か所のうち、7か所で経産省の省令による電柱の耐風基準の40m/sを越え、ほかの3か所も、38.6m/s(東京都大島町)~39.9m/s(北海道えりも岬)とほとんど40m/sに迫っている。

 しかも、電柱の耐風基準を超えた7か所には、東京都江戸川区・千代田区や横浜市中区、千葉市中央区など大都市圏のエリアが含まれている。首都圏で大規模停電が起きなかったのは不幸中の幸いだったと言わなくてはならない。最悪のシナリオとして、首都圏で浸水と大規模停電による2重災害が長期間に渡って生じた可能性もあったのである。

 10月12日付のニューヨークタイムズは、ハギビスが、大阪、鈴鹿といった西日本も含め、日本各地に残した爪痕を写真で伝えている。

記事目次

台風19号ハギビスは100年に1回よりさらに稀な大量の降雨量だった!

 台風19号ハギビスの列島直撃に際して、「数十年に1度の降雨量になると予想される」大雨特別警報が東京都・埼玉県・神奈川県・群馬県山梨県・長野県・静岡県の1都6県に出されたが、国立研究開発法人防災科学研究所は、氾濫した千曲川、阿武隈川流域で100年に1度と想定される量を超えていたとの分析結果を発表した。

 測定された降水量が、確率的に「何年に1回起きるか」を極値統計の理論に基づき算出したものを降水量の「再現期間」と呼んでいる。防災科学研究所の計算によると、千曲川流域や阿武隈川流域の24時間降雨量の「再現期間」は100年を超えている箇所が多くあった。つまり、この2つの流域では100年に1回よりさらに稀な大量の降雨量だったことになる。

▲右の24時間降雨量の再現期間を表す図では、千曲川流域と阿武隈川流域に、100年を超えている箇所が複数存在する(防災科学研究所HPより)

注)極値統計学とは、どのような大きな値がどれくらいの確率でいつ頃出現するか知ることを目的とした統計学。

大地震の前4年以内に被災地は豪雨を伴う大型熱帯低気圧に見舞われている!

 ここに、2011年のAFPが配信した気になる記事がある。それによると、米マイアミ大学のシモン・ウドウィンスキー准教授(現フロリダ国際大学南東環境研究センター准教授)とフロリダ国際大学の研究チームが、過去50年間に台湾とハイチで発生したマグニチュード(M)6.0以上の大地震についてデータを分析した結果、地震発生前の4年以内に被災地が激しい豪雨を伴う大型熱帯低気圧に見舞われていることを確認したというのである。

▲シモン・ウドウィンスキー准教授(フロリダ国際大学のHPより)

 この研究によれば、「豪雨によって起きた多数の土砂崩れや侵食のため、地表付近の地盤が動き、負荷が取り除かれて断層がずれやすくなった」と豪雨を伴う台風と地震の関係を説明している。

 たとえば、2009年に死者・不明者689人を出し台湾史上最悪の自然災害となった台風8号「モーラコット(Morakot)」では、降水量が3000ミリに達し、村が丸ごと土砂に飲み込まれる惨事も数件起きていたが、この年、台湾でM6.2の地震が起き、翌10年にもM6.4の地震が発生した。

 また、2010年1月に死者22万5000人を出したM7.0のハイチ大地震では、地震発生の1年半前、わずか25日間のうちに2つのハリケーンと2つの熱帯暴風雨に襲われていたことが分かった。

▲2010年のハイチ大地震で倒壊した首都ポルトー・プランスの大統領府(Wikipediaより)

 台風19号が引き金になって日本で今後大きな地震が起きる可能性はあるのだろうか? また、今後30年の間の発生確率が70%と言われる東京直下型大地震が、今回の台風15号・19号によって発生確率が高まることがありうるのだろうか? こうした気になる疑問について、AFPの記事に紹介されていた、低気圧と巨大地震の関係の研究の第一人者、フロリダ国際大学・南東環境研究センター、シモン・ウドウィンスキー准教授に、IWJはメールで直接取材した。

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