米農薬大手の多国籍企業モンサントの除草剤「ラウンドアップ」を使ったことが原因でがんを発症したとして、カリフォルニア州在住の夫婦が賠償を求めていた裁判で、同州アラメダ郡高等裁判所の陪審団が5月13日、モンサントを昨年6月に買収したドイツ医薬・農薬大手の多国籍企業バイエルに対して、20億ドル(約2180億円)余りの賠償金の支払いを命じる評決を下した。
ラウンドアップをめぐっては、全米で1万3000件以上の訴訟が起こされており、ラウンドアップの発がん性が3件連続で陪審団に認められた。
- バイエルに20億ドル賠償責任、加州の陪審が認定-除草剤巡る訴訟(ブルームバーグ、2019年5月14日)
ラウンドアップには発がん性が疑われる有効成分「グリホサート」が含まれている。世界的にもグリホサートは規制する流れにあるが、日本はその流れに逆行して、2017年12月にグリホサート規制を緩和した。
- 食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について(2017年12月25日)
しかし、日本でも市民は声を上げ始めている。
バイエル東京オフィスが入っている丸の内北口ビルディング前(東京都千代田区)で、5月18日、「反モンサント・バイエル 世界同時アクション@東京」が行われた。
呼びかけ人の一人である「日本の種子(たね)を守る会」事務局アドバイザーの印鑰(いんやく)智哉氏は、グリホサート規制の緩和をはじめ、種子法廃止や種苗法改正などに対抗する上で鍵を握るのは「地域」だとして、次のように訴えた。
「国の政治をすぐに変えるのは難しいです。しかし、地域の政治は変えることはできると思うんです。自治体の議員であれば、食、地域、政治に密着しています。
地域で変えていく、地域で農薬を禁止する条例を作っていく。さらには、地域で遺伝子組み換えの耕作や、農林水産省が解禁したゲノム編集に関して、条例を作っていく。地方の議会を巻き込んで変えていこう。そして何より、学校の給食を有機にしていこう。
そうした形で、色々な人たちの力を結びつけて地域の食を変えていけば、(多国籍企業のような)大きな企業の力を阻む拠点になると思います」
三鷹市議会では昨年12月21日、市民からの請願によって、「主要農作物種子法廃止に際し、市民の食糧主権と食の安全を守るため、新たな法整備を求める意見書」が可決された。意見書は、今年1月4日に総理、農林水産相、衆参両院議長や東京都知事などに送付された。
- 本会議の結果(平成30年第4回定例会)(三鷹市議会ホームページ)
グリホサート規制、種子法廃止、種苗法改正をめぐる問題については、ぜひ、岩上安身による山田正彦・元農林水産相インタビューをご覧いただきたい。
あわせて以下の記事もご一読いただきたい。
いつも取材お疲れさまです。私は先日のモンサントデモにてスピーチをさせてもらいました、三鷹市の甲斐正康と申します。三鷹市議会に種子法廃止に反対する請願書を提出した者です。スピーチでもお話しさせてもらいましたが、三鷹市議会に水道民営化に反対する請願書も今年の3月議会に提出しまして、こちらは全会一致で採択されました。あと、自分が種子法廃止に反対する請願書を提出した同じ月の12月議会で、自分がとても尊敬している三鷹の嶋崎議員がグリホサート系農薬の規制を求める意見書を提出しまして、三鷹市議会にてほぼ全会一致で採択されました。関係各所に送付済みです。今後ともよろしくお願いいたします。
革命は地方から静かに始まっている。
三鷹市議会では市民の請願によって種子法廃止に対する意見書が可決されていた! 印鑰智哉氏は「地域こそが企業の力を阻む拠点」と訴える! 反モンサント・バイエル 世界同時アクション@東京 https://iwj.co.jp/wj/open/archives/448966 … @iwakamiyasumi
https://twitter.com/55kurosuke/status/1134401466536300545