これは関生だけの問題ではなく、すべての労働組合、市民運動に仕掛けられた弾圧。モノが言えない暗黒の時代が近づいている!「労働組合つぶしの大弾圧を許さない!12・8集会」 2018.12.8

記事公開日:2019.1.26取材地: テキスト動画
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(取材:IWJ関西中継市民・高砂俊治 文:花山格章)

 2018年の夏から秋にかけて、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(以下、関生支部=かんなましぶ)の幹部や組合員らが、滋賀県警や大阪府警によって相次いで逮捕された。容疑は恐喝未遂容疑や威力業務妨害容疑だが、4ヵ月の間に労働組合の関係者が23人も逮捕される異例の事態となっている。いったい、何が起きているのだろうか?

 2018年12月8日、労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会主催による「労働組合つぶしの大弾圧を許さない!12・8集会」が、大阪市立中央区民センターホールにおいて開催された。

 同年8月28日、準大手ゼネコンが進める倉庫建設工事を巡って、滋賀県の湖東(ことう)生コン協同組合の加盟業者と契約するよう商社の支店長を脅したとして、関生支部の武建一執行委員長が滋賀県警に逮捕された。11月には、前年12月に2ヵ所で行った輸送ゼネストを威力業務妨害だとして、大阪府警が現場にいた19名と、現場にはいなかった武委員長ら関生支部の幹部4名を逮捕している。これに対し、関生支部は、全日本建設運輸連帯労働組合、全日本建設運輸連帯労働組合とともに抗議声明を発表した。

 関生支部副委員長の坂田冬樹氏は、私たちは加害者ではないと強調し、「被害者や被害もない。事件そのものがない。にもかかわらず、この1年間で逮捕・再逮捕の累計で40名、経営者だけで6名の逮捕勾留が行われ、家宅捜索は90ヵ所に上る。異常な状態が継続している」と訴えた。

 坂田氏は、「これは関生だけに仕掛けられた弾圧ではなく、すべての労働組合、市民運動に仕掛けられた弾圧。モノが言えない暗黒の時代が近づいている。安倍(一強)体制と補完勢力を継続するための弾圧としてとらえる必要がある。次は皆さんが狙われる可能性がある」と呼びかけた。

 関西生コン支部刑事弾圧弁護団の森博行弁護士は、「関生支部の弾圧は、まず滋賀県警が湖東生コンクリート協同組合の理事を逮捕したことから始まっている。その容疑は、ゼネコンに対して『協同組合の生コンを買ってくれ』と要求したことだが、これが(滋賀県警は)恐喝だと言う」と憤り、この事件の異常性を説明した。

 その上で森弁護士は、「一連の権力弾圧の特徴は、民事的な攻撃に警察権力が連動していること。滋賀から始まり、大阪。京都府警や兵庫県警も動くかもしれない。一地方警察だけの弾圧ではなく、国家権力が関生支部を潰そうとしている」と指摘した。

 最後に、大阪地裁で行われた勾留理由開示公判での武委員長の意見陳述書が読み上げられた。その中で武委員長は、今回の事件が共謀罪の先取り的要素が強いことを懸念し、産業別労働組合という企業の枠を超えた労働運動が、権力にとっては不都合であることに言及している。

 IWJは、2018年12月21日に開かれた学習会「関生支部への大弾圧は何の始まりか?」も取材している。沖縄平和運動センター議長の山城博治氏も講師として参加し、関生に対する弾圧も、政府による沖縄県辺野古新基地建設強行も、「根本は同じだ」と訴えた。ぜひ、下記の記事をご覧いただきたい。

 また、以下の記事もあわせてご覧いただきたい。

■全編動画

  • 連帯ユニオン関生支部への弾圧と反撃についての経過報告/弁護団報告
  • 連帯アピール・市民弾圧の報告
  • ミニコンサート 川口真由美氏(シンガーソングライター)
  • タイトル 労働組合つぶしの大弾圧を許さない!12・8集会(大阪市)
  • 日時 2018年12月8日(土)18:30〜20:30
  • 場所 大阪市立中央区民センター(大阪市中央区)
  • 主催 労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会
  • 告知 関西共同行動サイト (PDF)

1年間で逮捕・再逮捕は累計40名、家宅捜索90ヵ所という異常事態!「私たちは加害者ではない!」

 冒頭、主催者を代表して実行委員長で全港湾大阪支部委員長の樋口万浩氏が挨拶に立った。

 「1976年に全港湾も年金闘争で逮捕者を出し、無罪を勝ち取るために5年かかった。関生支部も、長い戦いになるだろう。なぜなら、闘う労働組合は目障りで政府が潰そうとしているからだ。我々が黙ったら、資本、政府、権力に労働者の立場や生活すべてを奪われてしまう。いろいろな立場から問題を提起して全国に発信していく」

 関生支部の坂田氏は、「執拗で常軌を逸した大阪広域生コンクリート協同組合(以下、広域協組)と、広域協組に傭兵として雇われたネオナチ・レイシスト集団、右翼、暴力団、下部組織となった連合生コン産業労働組合、共産党系の建交労、UAゼンセンらの攻撃が続いている。それだけではなく、元厚生労働省の村木厚子さんを陥れたヤメ検や警察OBまでが、関生支部を攻撃をしている。異常極まりない状況だ」と憤る。

 さらに、「広域協組は(株主、スポンサーとして)フジサンケイグループの関西テレビを使って偏向報道を行い、我々が反社会的な活動をしているかのような印象を市民に刷り込んでいる。私たちは、加害者ではない。被害者や被害もない。事件そのものが、ないのです。にもかかわらず、この1年間で逮捕・再逮捕の累計が40名。経営者だけで6名が逮捕勾留され、家宅捜索は90ヵ所」と述べ、異常な状態が継続していると訴えた。

 また、「これまで捜査員は何千人と動いているはず。これほどの税金の無駄遣いはない。これは明らかに国策捜査であって、権力による拉致監禁行為だ。私たちは日本で初めて共謀罪の適用を受けるのではないか、と心配している。安倍政権がやってきた国会の私物化を見れば、何があってもおかしくない」との認識を示した。

今、関西で起きていることは、すべての労働組合、市民運動に仕掛けられた弾圧。モノが言えない暗黒の時代が近づいている!

 関生支部という組織について坂田氏は、「わが組織は、生コンクリート産業やセメント産業、建設関連産業で従事している労働者で組織された労働組合だ。2018年は結成54年目になる。私たちの運動は、大資本であるセメントメーカーやゼネコン中心の経済や産業の仕組みを変えていくこと。言い換えれば、中小企業や働く者にとって本当に良い環境を作り、労働組合も中小企業も団結させて、大企業の収奪から産業全体を守り続けてきた」と語る。

 このような活動を地道に続け、2015年1月、関西における生コンクリート協同組合は、日本一の売上げ規模に発展した。市場占有率も関西においては、ほぼ100%となった。敵対していた建交労やUAゼンセンとも共闘関係を再開し、5つの労働組合で共闘するための労組連合会も構築したという。

 「そこで、経営安定した協同組合に賃上げを要求した。生コン関連すべての労働者の賃金や労働条件を底上げする絶好の機会だった。広域協組は、いったんは約束する素振りを見せたが、その約束を反故にした。そして、正当な要求を掲げる我々に対して、敵対する姿勢に方針転換した」

 坂田氏は現在の広域協組について、「木村理事長、理事長以下の一部執行部は、協同組合を私物化し、私利私欲のために協同組合を乗っ取って無法の限りを尽くしている。協同組合の品位や格調を汚し、協同組合執行部としての自覚に欠ける者たちに支配させてはならない」と口調を強めた。

 また、弾圧の渦中で労使関係そのものが変質してきているとし、「団体交渉や面談を求めることが『圧力』とされ、抗議行動が『威力業務妨害』だと言われる。憲法で認められている労働組合の権利そのものを、ないがしろにすることが当たり前のように行われている」と指摘した。

 最後に坂田氏は、「これは、我々だけに仕掛けられた弾圧ではない。今、関西を中心に起こっていることは、すべての労働組合、市民運動に仕掛けられた弾圧であって、ますますモノが言えない暗黒の時代が近づいている。安倍(一強)体制や補完勢力を継続するための弾圧としてとらえる必要がある。この国家的な弾圧は続く。次は皆さんが狙われる可能性がある」と呼びかけた。

営業が「恐喝」に、ストライキは「強要未遂」と「威力業務妨害」にされて組合員の大量逮捕へ!

 続いて、関西生コン支部刑事弾圧弁護団の森博行弁護士が報告を行った。

 「関生支部への弾圧は、まず、滋賀県警が琵琶湖東岸の湖東生コンクリート協同組合の理事を逮捕したことから始まっている。その容疑は、ゼネコンに対して『協同組合の生コンを買ってくれ』と要求したこと」

 この営業行為が「恐喝」とされた。

(…会員ページにつづく)

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