2018年11月29日(水)に、日本外国特派員協会(FCCJ)で、「外国人労働者受入れ問題について」外国人技能実習生問題弁護士連絡会 共同代表・指宿昭一弁護士 記者会見が、カンボジア人技能実習生と中国人技能実習生が同席して行われた。
冒頭に指宿弁護士は「今回の法案の目的が、外国人労働者の受け入れであることを明示したことにより、パンドラの箱が開いた。外国人労働者の受け入れを巡る本格的な議論が、やっと始まり、報道も行われ、市民の関心も高まっている」
「この機会に国会でしっかり議論すべき。しかし、衆議院で強行採決が行われ、審議時間はたったの15時間45分だった。残念なことだ。参議院では十分な審議をしてほしい」と述べた。
技能実習生が声を挙げれない理由として、「多額の渡航前費用を徴収されている」、「権利侵害に対して声を挙げない約束をさせられる」、「保証金を徴収されている」、「違約金契約を締結させられる」、「違約金契約の保証人を付けられる」が挙げられた。
借金で工面する渡航前費用は、技能実習生のその国における数年分の年収に値する。ベトナムの場合は日本円で100万円の渡航前費用が徴収されるという。
法務省は、2017年の技能実習生の失踪についての資料において、失踪の原因として「より高い賃金を求めて」が、約87%だと公表。しかしその後、失踪の原因の項目は「低賃金」で、約67%であったと訂正した。
失踪者の実習先での月給は、10万円以下が約57%だった。多くの技能実習生が最低賃金以下の違法な状況で働き、そのまま働いていたら借金が返せないと考えて、失踪したと推測される。指宿弁護士は「失踪」ではなく、「緊急避難」だと述べた。
海外の記者から、「他国で学ぶべき制度はあるのか」という質問に指宿弁護士は「韓国の雇用許可制を参考にすべき。ブローカーを排除するために、国と国で労働力のマッチングをし、求人と求職を行っている。だから無駄な費用がかからないし、中間搾取もされない」
「今回の法案は、民間のブローカー規制について、ほとんど考えていない。これが最大の欠陥だ」と述べた。
新しい制度を作るにあたって指宿弁護士は、「技能実習制度を廃止にすべき。送り出し国と、受け入れ国である日本でブローカー規制を行う。二国間協定を締結してブローカー規制を義務付ける。多額の渡航前費用を徴収することを制限する。保証金や違約金を取ることを禁止する。協定に違反した場合は、受け入れを停止する」と具体的に改正案を提示した。
日本のブローカー、管理団体の役員に、与野党問わず国会議員が名前を連ねている。この問題は、まだまだ闇が深く、一筋縄ではいかないだろうと感じざるを得ない。
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