「『ここで商売をすると豊洲の営業権を取り上げる』と言ってきた。何の法的根拠もないのに、ただ繰り返す。まさに脅しです」
築地から移転した東京都中央卸売市場が豊洲で営業を開始した2018年10月11日、築地市場内で営業を続ける水産仲卸「明藤(あかとう)」の宮原洋志社長は、IWJのカメラに東京都の横暴を訴えた。
▲水産仲卸「明藤」宮原洋志社長
豊洲への移転に反対する業者らでつくる「築地市場営業権組合」は、前日の10日、東京都庁で記者会見を開き、11日以降も法的根拠にもとづき、築地市場内で営業を続けると発表した。宮原氏は「築地市場営業権組合」の共同代表も務める。
これを受け、築地市場の豊洲移転問題を追及し続けている一級建築士の水谷和子氏らが「場内お買い物ツアー」呼びかけたため、11日に100人ほどの一般客が築地市場に集まった。
水谷氏には2018年10月2日に岩上安身がインタビューをおこなっている。ぜひこちらもご覧いただきたい。
- 内容 営業権を主張するため仲卸さん数店が店開き。物販もあり。
- 日時 2018年10月11日(木) 10:00頃~
- 場所 築地市場正門集合(東京都中央区)
- 詳細 #築地市場存続イベント(Twitter)
「東京都は私たちをいじめている」! 豊洲での営業許可を取り消しをちらつかせ根拠なく仲卸業者を脅す東京都職員!
水産仲卸「明藤」は日本橋に魚市場があった明治26年から続く老舗。宮原氏は4代目になる。宮原氏はこの日も朝から豊洲で営業し、途中で5代目になる息子さんに後を任せて築地に来たが、なかなか入らせてもらえなかったという。「営業権があり、ここで毎日商売しているのに入らせてくれない。どこにそういう権利があるのか? 東京都は私たちをいじめている」と憤った。
宮原氏が店を開けると東京都の職員が詰め寄り、「豊洲市場で営業許可を得ている明藤が豊洲市場外で営業すると豊洲市場での営業許可の取り消しを含む処分の対象となります」と、繰り返した。
明治学院大学の熊本一規名誉教授が宮原氏の委任を受け、都の職員に「明藤は暖簾にもとづく営業権を持っています。ここで営業できないというのなら、営業権が存在しないと証明してください」と説明したが、職員は同じ言葉を繰り返すのみ。買い物客らからは「法律にのっとれ」「営業の邪魔だ」「帰れ」などの激しい非難が浴びせられた。
▲「明藤」店頭で宮原氏(左)に警告を繰り返す東京都職員(右)、対応する熊本一規 明治学院大学名誉教授
宮原氏は「彼らはここで営業されるのが一番怖いんです。営業権が発生しますから。だから崩しにかかってくる。ここで営業を続けることがいかに大事かというのがわかりました」と語った。
▲用意されたアジ、サバの干物、シャケフレーク、ウニの瓶詰はあっという間に完売した。
▲「明藤」に100人近い買い物客が集まった
「何の権利があってこんなことをするのか?」営業妨害に憤る「茶屋番」猿渡氏
「築地市場営業権組合」の猿渡(さわたり)誠氏は、築地で「茶屋番」と呼ばれる仕事をしている。「茶屋番」とは、仲卸が仕入れた魚などを各地に配達するための集積場所である「潮待ち茶屋」で、海水や氷のチェックなどをおこなう、品質管理の重要な仕事だ。猿渡氏は「400年続いたとても大事な機能なんです。築地全体の半分くらいは茶屋の機能でまかなっているとも言える」と、IWJの取材に答えた。
その仕事が、豊洲では廃止された。猿渡氏は「400年かけて出来上がってきた制度を完全に廃止してしまって、豊洲では鮮度や衛生面について何の保証もできないですよ」と語った。
▲潮待ち茶屋・猿渡誠氏
猿渡氏は「すし屋さんとか、お客さんに来てくださいと連絡したが、みんな入り口で止められている。それはおかしいでしょう?東京都は何の権利があってこんなことをするのか? 営業妨害ですよ」と憤る。
正当な権利を無視し、恐喝まがいの犯罪者扱い!? 東京都の非道に詰め寄る熊本一規明治学院大学名誉教授
10日の記者会見で「築地市場の『廃止の認可』がなされない限り、築地解体事業は違法な事業となる。11日以降も、築地市場の場内で営業が可能だ」と、法的根拠を説明した明治学院大学の熊本一規名誉教授は、この日、現場にいた東京都職員に怒りをぶつけた。
「以前、東京都の中央卸売市場職員は、地上権を持っている人(築地の業者)に対して『権利もないのに数十年も住んできたんだから(店舗の場所の地上権を)寄付しろ』といったんですよ。地上げ屋だって少しは払うよ。それを寄付しろとは、恐喝じゃないか。それを『権利もないのに数十年も住んできた』なんて犯罪者扱いして、プライドを傷つけて、そんなことをあんたらやってるんだぞ」
「地上権」は何の契約がなくても10年住み続ければ取得できる。ましてや、言われた方は契約し謄本まであり、50年住み続けているという。熊本名誉教授は都の職員に「法律を守れ」と詰め寄った。
▲明治学院大学・熊本一規名誉教授
開場初日から車両火災、事故、大渋滞!? 機能不全をさらけ出した豊洲新市場!
豊洲市場は10月11日に開場したが、開場直後に7街区のスロープで小型運搬車両「ターレ」のモーターから出火。また、別のターレに接触した女性が怪我をし、救急車で搬送された。
- ターレ出火、接触事故も=開場直後の東京・豊洲市場(時事ドットコムニュース、2018年10月11日)
さらに開場前から予想されていたとおり、未明には周辺道路がトラックで大渋滞し、雨の中、屋根のない路上で荷下しする様子を建築エコノミストの森山高至氏がツイートしている。
「築地市場営業権組合」の6軒の業者が、明日以降も市場営業日に営業を続けていく。
▲人気のなくなった築地市場内
営業権があるのに法的根拠もなく脅してくる東京都!?「東京都は法律を守れ!」〜10.11 #築地市場存続イベント「場内お買い物ツアー」 https://iwj.co.jp/wj/open/archives/433549 … @iwakamiyasumi
大手メディアを使った「豊洲歓迎ムード」に流されず、不正不公平は正さなくてはならない。この気骨ある運動を応援します。
https://twitter.com/55kurosuke/status/1050503053500014592