梓澤和幸氏「『騙す多数の力』に対し、私たちは言葉の力、ペンの力を信じたい」~9.25日本ペンクラブ編・書籍『憲法についていま私が考えること』発刊に関する記者会見 2018.9.25

記事公開日:2018.9.27取材地: テキスト動画
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特集 憲法改正

 2018年9月26日に東京・日本ペンクラブ会議室にて「日本ペンクラブ編・書籍『憲法についていま私が考えること』発刊に関する記者会見」が行われた。

 日本ペンクラブ・吉岡忍会長は「日本ペンクラブが憲法に関する書籍を出すのは、日本国憲法施行50年の節目に出版して以来2冊目。戦後一貫して日本国憲法がいつも危機にさらされていると感じる。この国の形を変えるべきなのか、変えるべきではないのか、時代・歴史をさかのぼって議論する場をつくりたかった」と述べた。

 小説家の加賀乙彦氏は「憲法を論じる時、『基地』の問題があるかぎりはいくら憲法があっても、日本は自由ではないし、平和ではない。こういう状況が70数年続いている」と述べた。

 フリーライターの金井奈津子氏「ライターとしてというより、ひとりの母親として書いた。少子化の日本において24万7千人必要な自衛隊に誰がなるのか。採用年齢を30歳に引き上げる話が出ているが、現在も確保できていない。お母さんが自分の子供に、戦地に向かう自衛隊員になるを望むのかどうか、考えるきっかけになれたらと思う」と述べた。

 児童文学評論家の野上暁氏は「僕は1950年に小学校に入学したもので、暮らしの中、日常会話の中に『憲法』があった。そういう時代があっという間に風化して、教育の中でも『憲法』そのものが風化して、政権の中枢の人たちでさえも『憲法』を平気で踏みにじるし、立憲主義なんて考えもしていない。そんな中で『憲法』がいじくり回されて、ちゃんとした論議もされないかたちで、改憲が発議されたりしている。とても許せない。子どもたちに銃を握らせたくない」と強く述べた。

 エッセイスト・弁護士の梓澤和幸氏は「本の裏に『私たちは言葉の力、ペンの力を信じたい。』と書いた。ここに込めた意味というのは、安倍政権が9条自衛隊明記にせよ、緊急事態条項にせよ、本当の意図を誠実に出して、憲法改正はこれでよろしいですか、緊急事態条項にしても自然災害だけではありませんから、テロとか大衆運動とかにでてきて内閣独裁をやりだす。それを国民が選ぶというならいい。そうではなくて、事実を伝えないでかすめ取ろうという、『騙す多数の力』これがいま進んでいる時代。『騙す多数の力』に対して諦めず、魂の底からでてくる、もう言わざるを得ないというのが『言葉の力』だ。『言葉の力』と『ペンの力』は『数の力』よりも必ず『力』を持つとういのが、このコピーに込めた思いだ」と強く述べた。

 「私たちは言葉の力、ペンの力を信じたい」

 特定秘密保護法の強行採決以来、安保関連法、共謀罪の強行採決……加速する改憲問題の行く末は―? 44名の作家が考える、この国のこと、私たちの未来のこと。

【執筆者一覧】

赤川次郎/浅田次郎/あさのあつこ/梓澤和幸/阿刀田高
大城貞俊/太田治子/落合恵子/加賀乙彦/岳真也/金井奈津子
金子兜太/金平茂紀/川村湊/神田松鯉/黒田杏子
玄侑宗久/坂手洋二/佐高信/佐藤アヤ子/下重暁子/志茂田景樹
高野ムツオ/高橋千劔破/谷川俊太郎/田原総一朗/出久根達郎
ドリアン助川/中島京子/中西進/中村敦夫/中村文則/野上暁
馬場あき子/堀武昭/又吉栄喜/松本侑子/三田誠広/盛田隆二
八重洋一郎/山田健太/養老孟司/吉岡忍/若松丈太郎

■ハイライト

  • 執筆者の参加 吉岡忍会長、高橋千劔破副会長、松本侑子常務理事、浅田次郎前会長・理事、中西進前副会長、加賀乙彦元副会長、梓澤和幸平和委員会委員長(編集担当)、金井奈津子平和委員、盛田隆二平和委員
  • ペンクラブからの参加 鈴木比佐雄平和委員会副委員長、大城聡平和委員会副委員長

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