(再掲載)【広告連動企画】大切なのは保養という選択肢があること! 311原発事故後に全国で展開される多様な保養とは? ~岩上安身によるインタビュー 第893回 ゲスト リフレッシュサポート代表 疋田香澄氏 2018.8.5

記事公開日:2018.8.11取材地: テキスト動画独自
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(文:上杉英世)

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 福島第一原発が爆発してから7年5ヶ月が経ったが、汚染水の海洋放出は止まらず、事故収束のメドすら立っていない。そして、放射能を逃れて福島から避難した人々に対しては、住宅支援が打ち切られるなど、被害者を追い詰める冷血な政治がまかり通っている。

 放射能をばら撒いた東京電力は罰せられることもなく営業を続け、世界に向けて「アンダーコントロール」と言い放った安倍総理を筆頭に日本全体が、酷暑の2020年東京オリンピックに向かって突き進んでいる。そんな日本の姿は世界からは、かなり異様に見えるのではないだろうか。

 一方、311後の日本では、福島の子どもたちを放射能の不安のない場所に一時的に受け入れる「保養」が、各地の民間団体の手によって地道に続けられてきた。8月5日、岩上さんは、保養中間支援(保養団体への支援)を行っている保養支援団体・リフレッシュサポートの代表である疋田香澄(ひきたかすみ)氏にインタビューをおこなった。

 岩上さんから保養の意義を問われた疋田氏は「まず、当事者の選択肢を守ることが大事だと思います」と答えた。福島では「放射能への不安」に対しては沈黙を強いられ、「復興」と「避難」という不毛な二項対立に多くの住民が苦しんできた。この7年間、「保養」という選択肢があったことは、当事者にとって非常に大切だったと、疋田さんは語った。

 疋田氏によると311以降、現在まで、通算200近くの団体が保養に携わってきたとのことだ。しかしほとんどの団体が、働きながらのボランティアで運営されているため、4泊から5泊のキャンプという形をとる所が多い。チェルノブイリ原発事故後のベラルーシやウクライナで「保養」と呼ばれる転地療養が、国費でおこなわれているのとは、大きな違いだ。

 かつてソ連崩壊の現場を取材した岩上さんは「ベラルーシなどは旧ソ連の悪い全体主義システムをそのまま引きずったような貧しい独裁国なのに、それでも国を挙げてちゃんと保養を続けてる。日本とは全然違う」と、日本の政治の、被災者・被曝者に対する冷酷さを強く非難した。

 規模は小さくとも、311後の日本の保養は、多様な形態を誇る。「福島の子どもを招きたい! 明石プロジェクト」による「たこ焼きキャンプ」や、電気もガスも水道もないフィールドで子どもがやりたいことを行う「アースマンシップ」、また、北海道内の浄土真宗本願寺派による「ほっこりプロジェクト」など、疋田氏は、多彩な支援団体による特色ある保養の実例を紹介した。

 その一方で疋田氏は、保養活動が「『福島が危険だ』というのはヘイトスピーチだ」という的外れな批判(あるいはわざと鉾先をずらす悪質なキャンペーン)にさらされたり、放射能への不安を感じながらも保養に対しては疎外感を感じる人々から「保養が風評被害や差別を生む」と言われるなど、311後の福島の人々が置かれている複雑な分断状況にも触れた。

 疋田氏は2016年に「原発事故に伴う保養実態調査」の報告書を発表した。それがマスコミで取り上げられると、疋田氏自身への嫌がらせ電話や、ネット上での匿名のバッシングが激しくなったという。そのことを機に、「保養の実態を、もっと広く、正しく伝えたい」との思いから、疋田氏は全国の保養団体・関係者、保養の当事者に対する取材活動と本の執筆に取り掛かった。

 そしてついに8月2日、「原発事故後の子ども保養支援 『避難』と『復興』とともに」が、人文書院より出版された。今回の岩上安身によるインタビューは、有志の方々によるカンパで、広告連動企画として実現した。IWJ書店では、疋田氏のサイン入りのご著書を入手できるので、会員の方はぜひ、貴重な実践の記録と鋭い問題提起の詰まった本書をご購入されたい。

疋田香澄氏著書「原発事故後の子ども保養支援」

※立ち読み(PDF)はこちら⇒ https://goo.gl/9QfhW3

■ハイライト

  • タイトル 〈広告連動企画〉「原発事故後の子ども保養支援」の現場から、現代日本の日常的な社会的な分裂や不公正を問い直す!岩上安身による保養支援団体・リフレッシュサポート代表 疋田香澄氏インタビュー
  • 日時 2018年8月5日(日)14:30〜
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

※2018年9月20日、リード文を追加しました。

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  1. 水野 勲 より:

    子どもたちの保養の活動は、重要な仕事だと思います。疋田さんが、保養の活動が結果としてもたらした影響・反発を、個々の中身を熟考しながら細かく対応している様子がうかがえました。気取らない人柄が画面から伝わってきて、また新しい人物の登場に、うれしく思いました。岩上さんの質問も、細かなところに及び、視聴者の素朴な疑問を代弁していました。短いフレーズを切り取るテレビでは到底できない仕事を、IWJが行っていると思います。3回に分けて、全部見通しました。長時間のインタビューと、長時間の視聴という幸せな組合せが、これからの日本人の文化として定着していくことを期待します。

  2. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    愛と希望の灯はいつの世も市井から灯される。まだ希望を捨てるには早い。

    「原発事故後の子ども保養支援」の現場から、現代日本の日常的な社会的な分裂や不公正を問い直す! 岩上安身による保養支援団体・リフレッシュサポート代表 疋田香澄氏インタビュー https://iwj.co.jp/wj/open/archives/428981 … @iwakamiyasumi
    https://twitter.com/55kurosuke/status/1038040901145128960

  3. 桐生坦々 より:

    素敵であっぱれな女性ですね。
    ハイライト観ただけなので、あとでユックリ本編(全編)を視聴させていただきます。
    原発大事故被災地で、エッ?、『保養』って何ジャイ? ココへ飛び付いた理由です。
    心身を癒やし健康を増進する『温泉浴』みたいなものカイナ?
    目的は先ず『保養』をよく知ること!
    世の中、どんどん変わりますね。良い方向へもね。
    デニーさんに何が何でも当選を贈るチカラになるためにも。
    アベ奴隷私党を「玉砕」させる日を、1日でも早く引き寄せる『生きる愉しみ』の1つのためにも。
    それと、今月、IWJサポート会員に異動した。1年間は続けてみようと。
    前川喜平氏のIWJ番組の中で
    どうしても続きを観たいものが1本あったので、奮発してみたのよ。見栄張って。
    年会費:3万円とは初めて知った。
    ズ~ッと、5~6万円ぐらいか? と予想して居て、
    その度ゴトにヤメトコ! と勇断を下した自分って、
    アベよりとっても賢いヤツなのでは? と自分を誉めてきました。
    一般会員年会費と比べたら3倍で、安いとは言えないけれど、
    コンテンツの特に質(&量)を2,3回考えてみたのが最終『診断』した決め手!
    今までココで知ったこと、とても思惟に役立ってますから、無理に見栄張ることはない。
    人生を豊かに送りたい。最近遠ざかり過ぎているなぁと気に掛かっている文化芸術鑑賞面で。
    医療? 信頼が逆転大崩れした経験が痛く長引いたまま、アホらしくて、
    例外Dr.お一人以外へは診てもらいに行かないと決め放置してます。
    一にも二にも、睡眠グが深遠ならば、滅多なことにナルばすがなかろ? 経験上、大間違いではない。

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