2018年6月28日から7月8日にかけて、西日本を中心に記録的な雨量により甚大な被害をもたらした「平成30年7月豪雨」。1週間後の7月14日、15日、16日の3連休は各被災地に大勢のボランティアが入り、復旧作業に協力した。
しかし、被災地域があまりにも広範囲にわたるため、行政側も被害の全容を把握しきれていなかったり、十分に支援が行き届いていないというのが実情だ。大手メディアの報道で有名になった一部の地域と報じられなかったその他の地域とでは、この1週間で支援や復旧の格差が大きく開いてしまった。
以下に岡山県倉敷市在住のIWJ中継市民Oさんのレポートを掲載する。
7月14日と7月16日、真備(堤防決壊による浸水被害の大きかった倉敷市真備町)の西部、呉妹(くれせ)を訪れました。
仮設トイレの車両を発見! これ、めちゃくちゃありがたいです!! しかも関東ナンバーなのが嬉しい!!
岡山県では、真備だけじゃなく、床上、床下含めると浸水した被災家屋は数え切れません。
「真備にはボランティアがいっぱい来るけど、こっちには来ない!」「社協(ボランティアセンターが設置される各地の社会福祉協議会)には早くから申し込みしとるのに」
真備周辺の、大手マスコミには取り上げられなかった被災地からは、こうした声をたくさん聞きました。
真備は、この豪雨によって日本一有名な場所となってしまいました。しかし、真備にばかり注目が集まってしまう弊害も出ています。「この3連休(7月14日・15日・16日)、真備と、真備から外れた地域との差は歴然」と私に話してくれたのは、初期の段階で真備の知人の家を片付けた先輩ボランティアさんです。被害の範囲も規模も、何もかもがあまりにも広すぎて大き過ぎて、行政も把握し切れないのだと思います。
地域の差、個人の差、経済格差、ボラや支援の格差…。被災から1週間たって、その差が大きくなってきたのを感じます。
そこで、自分達で用意した救援物資を持って、町の様子を見ながら水没した家々を車で訪ね歩いてみました。
すると、いまだ全く手をつけてない一塊の住宅地を発見!もうこれだけ片付けの手が入ってるのに、ここは何!? 一人で片付けをしていたおじさんに声をかけてみます。
おじさん「あんたら長靴ないかな!?」
私「わぁ!! ごめんなさい!! ここの前にいったところで最後のをあげてしもうた!!」
ここはボランティアの姿は一人も見ない。支援すら給水車が2日に1回来るくらい、とおじさん。
土曜日の呉妹では救援物資の水は余るほどあり、どの家でも「水は要らん!いーっぱいある!」と断られました。確かに給水車も2、3時間おきに通り、給水車の人も困っていたのか、被災者から「要らん!」と言われているのに給水パックに入った水を無理矢理ボランティアに押し付けてまとめて4、5袋置いてく光景もありました。
それなのに、この支援の格差はどうしたものでしょうか。「避難所に行けば物資があるのは知っとるけど、片付けにゃならんのに、車出して取りに行く時間がない」というおじさんは、さらに「車のある家はまだええ(良い)。車のない家はどうしたらええん?」と訴えました。
行政からもボランティアからも忘れられた、その場所は、呉妹や真備からそう遠くない倉敷市玉島服部新田。
「また必ず来るから!」と欲しい物や必要なものを聞いて別れました。
※今回の豪雨被害は広島・岡山・愛媛の3県に限らずに限らず、広く16府県に及んでいます。深刻な被害を被っているにもかかわらず、報道ではなかなか取り上げられない、あるいは支援の行き届いていない場所も、まだまだたくさんあると思います。IWJではそういった地域からのレポートを送ってくださるボランティアの中継市民の方を募集しています。