「米国にいくミサイルを日本が攻撃すれば日本にミサイルが飛んでくる」――先制攻撃による敵基地攻撃が北朝鮮の容赦ない反撃を招く!? ~岩上安身によるインタビュー 第778回 ゲスト 元外務省国際情報局長・孫崎享氏 2017.8.12

記事公開日:2017.8.12取材地: テキスト動画独自
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(文:尾内達也・城石エマ 記事構成:岩上安身)


※2017年9月2日、テキストを追加しました。
※2021年5月4日 フル公開としました。

 8月29日午前5時58分頃、北朝鮮がミサイルを発射し、6時12分頃に北海道の襟裳岬(えりもみさき)の東約1180キロの太平洋上に落下したと発表された。政府は今回のミサイル発射実験を受け、Jアラート(全国瞬時警報システム)を発動。北海道や青森県などの12道県に「頑丈な建物や地下に避難せよ」と警告が出された。

▲首相官邸の速報ツイート

 しかし、Jアラートのアナウンスがあったのは6時2分で、6時5分頃から約2分間、ミサイルは北海道上空を通過していたという。アナウンスからわずか3分の間に頑丈な建物や地下に避難などできるはずもない。

 ものものしい「国民保護サイレン」の音や携帯電話に配信された緊急速報は、結果的に、いたずらに国民の不安を駆り立てただけで、何ら役に立たなかった。また、ミサイルの破片など日本への落下物はなく、被害を受けた人々もいなかった。

 そもそも、このミサイルは日本を標的に攻撃を仕掛けたものではなく、日本への着弾の可能性はきわめて低く、弾頭も空であった。目的は実験(ないしは示威目的)であって、本来ならば国民をパニックに陥らせないために日本政府は国民に冷静な対応を呼びかけるべきだったはずである。

 安倍総理は早朝の会見で、「我が国に北朝鮮がミサイルを発射」したなどと述べたが、明らかなミスリードである。

 もちろん、北朝鮮が度重なるミサイル発射実験を強行することは対外的な緊張を増すばかりであり、国際社会と連携し、徹底的に批判すべきであることはいうまでもない。

 朝鮮中央通信によれば、今回発射されたミサイルは中距離弾道ミサイル(ICBM)「火星12」。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は今回のミサイル発射について、「侵略の前哨基地であるグアム島を牽制する意味深い前奏曲となる」などと米国を挑発している。

 これまでも米朝では激しい挑発合戦が続いてきた。2017年7月に北朝鮮が2発のICBMを発射して以来、ニューヨークの株式が200ドル超下落。8月9日には、北朝鮮の金絡謙(キム・ラクギョム)戦略軍司令官が「火星12」をグアム島沖30キロ~40キロの海上に4発同時に着弾させる計画を発表。これに対し、米軍はグアムに配備しているB1爆撃機(※)による北朝鮮への爆撃準備を整え、緊張が高まっていた。

▲戦略爆撃機・B1-B Lancer(ウィキメディア・コモンズより)

※B1爆撃機:米ソの冷戦期、超低空を高速で飛行し、防空網をすり抜けて敵地に核爆弾を投下する戦略爆撃機として計画された。開発当時、「ステルス」という概念はまだ存在しなかったが、敵のレーダーに捕捉される確率を低下させようと、機体を滑らかな曲線で構成するブレンデッドウイングボディーを採用。超音速飛行と安定した離着陸性能の両立を目指し、飛行中に主翼の後退角を変化させられる可変翼を備えた。また、発動機は新開発のアフターバーナー付きターボファンエンジンを4基搭載、超低空を飛行するための地形追随機能を持つレーダーや電波高度計など当時の最新テクノロジーも取り入れた(時事ドットコムニュース、B1ランサー爆撃機 写真特集)

 このミサイルのもつ意味は、北朝鮮からの、米国への「核ミサイルをもつ独立主権国家として北朝鮮を承認せよ」というアピールである。日本は眼中にない。

 にもかかわらず、本来であれば「局外」に置かれているはずの日本政府は、同盟国・アメリカの「危機」を見て、PAC3を陸上自衛隊の高知駐屯地に配備した。命じたのは8月3日の第3次内閣改造で防衛大臣に返り咲いた小野寺五典氏である。

 小野寺氏は防衛大臣に就任する直前に発売された、極右月刊誌『WiLL』8月号に掲載された「専守防衛から先制攻撃へ」と題する座談会で、あろうことか「ミサイル発射前に敵基地を攻撃する」先制攻撃の必要性を熱心に説いていた人物である。先制攻撃後に日本が残存核戦力によって報復攻撃を受けるリスクや、その破滅的な被害想定など、一切考慮も言及もない。一太刀浴びせることだけで頭がいっぱいで、その後のことは何も考えない。日本の「伝統的お家芸」とも言うべき短慮がむきだしである。

 繰り返すが、北朝鮮は、米国しか相手にしていない。北朝鮮の目的は、米国に対し、核を保有したまま北朝鮮を独立主権国家として承認させることにある。日本は眼中にない。

 休戦中の朝鮮戦争の戦う主体は米国・韓国軍対北朝鮮軍であり、本来日本の出る幕はない。北朝鮮のトップの狙いはグアムだとさんざん言っているのに、日本国内にあたかも北朝鮮のミサイルが着弾する可能性があるかのように見当違いの方向で政府が騒ぎたてる。国内で緊張を高め、北朝鮮ミサイルの話題一色にしてしまって、森友・加計学園問題という安倍政権のスキャンダルを忘れさせようという意図が見え見えである。

 米国・韓国軍対北朝鮮軍の争いに首を突っ込み、日本列島を狙っているわけでもないミサイルを日本が途中で迎撃すると小野寺防衛相は発表した。これに対して北朝鮮は8月9日、小野寺防衛相を名指しで批判。「朝鮮民主主義人民共和国はすでに、日本列島を瞬時に焦土化できる能力を持っている」「核兵器による無慈悲な一撃で、日本列島が太平洋に沈没するかもしれない」と、日本への敵意を露わに表明した。これは冗談ではすまない。現代の核兵器(水爆)の破壊力は、広島、長崎に投下された原爆とは比べものにならない。

 8月15日付のウォール・ストリート・ジャーナルによると、金正恩委員長はグアムへのミサイル攻撃をひとまず見合わせたという。しかし、日本政府はその後18日、中国・四国地方の9県でJアラート訓練を実施した。

 「有事」が近づいてきているのだと錯覚させられた住民もいただろうが、しかし、最も懸念しなくてはならないのは、もし万が一、グアム行きミサイルが途中で落下して、中国・四国地方に落ちる可能性がほんわずかでもあるとしたら、一番心配しなければならないのは、愛媛県にある伊方原発、島根県に存在する島根原発への着弾や周辺への落下である。原子炉建屋が破壊されなくても、送電インフラが破壊され、一帯が停電するだけで、メルトダウンが起き得ることを我々は、2011年の福島第一原発事故で身をもって知ったはずである。

 しかし、日本政府は「北朝鮮のミサイルが降ってくる」と脅しながら、原発に被害が及ぶ可能性については全くスルーであった。安倍総理は29日にミサイルが発射された際も、「我が国に北朝鮮がミサイルを発射」などと大袈裟に危機を煽っておきながら、原発のリスクに触れることはなかった。

 こんな無責任な政府が、世界中のどこにあるだろうか? 政府が本気で日本国民を守ろうなどと考えていないことは、明明白白である。

 挑発の応酬で一触即発の状態から、ミサイル攻撃の中止へと情勢はめまぐるしく変転しながらも、米朝の緊張関係は依然として続いている。

 岩上安身は元外務省国際情報局長の孫崎享氏に、こうした米朝危機の背後にある戦略的・技術的構造について聞いた。

▲孫崎享氏(2017年8月12日)

 なお、本記事は、8月12日に行われたインタビュー「日米開戦の隠された真実に迫る!新刊『日米開戦へのスパイ 東條英機とゾルゲ事件』著者・孫崎享氏 (元外務省国際情報局長)に岩上安身が訊く!第一弾」からの抜粋である。インタビューの全編はぜひ、以下のアーカイブよりご視聴いただきたい。

記事目次

<会員向け動画 特別公開中>

■ハイライト

※ハイライト動画は、8月12日に行われたインタビューでの「北朝鮮のミサイル危機問題」の部分を取り上げ、掲載しています。
■全編動画

  • タイトル 日米開戦の隠された真実!新刊『日米開戦へのスパイ東條英機とゾルゲ事件』著者・孫崎享氏
  • 日時 2017年8月12日(土)15:00〜18:00
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

日本に届くノドンは200発から300発がすでに実戦配備されている!? 日本列島に着弾可能なノドンは、30年前から開発されていた!

岩上安身(以下、岩上)「ゾルゲの事件に入る前に、アップトゥデートなテーマである北朝鮮ミサイル問題で、これをやらないわけにはいかないだろうと思いますので、北朝鮮のミサイル問題を取り上げます。

 なんと、今、米朝間の挑発の応酬で、とうとう米朝関係が一触即発なんじゃないかというところまで来ていると報じられています。

 孫崎先生には、今まで何度もこの話はしていただき、『この状態は大変危険であるけれども、この緊張を持続させることが彼らの目的である』とお話されてきたのですが、ここに安倍晋三第三次改造内閣が発足し、小野寺(五典)さんという方が出てきて、余計なことを言っていますので、それを取り上げたいなと。

 これ(パワポの画面を指さし)、ババババッと飛び上がっているのは、7月4日に朝鮮中央テレビが公開したICBM発射実験の際に撮影されたとする写真です。ICBMって大変ですよね」

孫崎享氏(以下敬称略、孫崎)「そうなんです」

岩上「大陸間弾道弾ですよ」

孫崎「そうなんです。多くの国民は(真剣に)考えなければいけないのですが、日本に来るノドンは200発から300発、もう実戦配備されています」

岩上「日本に届くミサイルはもうとっくにできている。10年以上前からそうですよ」

孫崎「10年以上じゃない。たぶん、1986年、イランイラク戦争のときに私はイランにいて、その時にはノドンをイランが北朝鮮から買って、それを発射しているからね。もう30年ですよね。というぐらいに、すでにあるんですよ」

岩上「もう詰んでた」

米国に届くICBMの完成は時間の問題だった!? 米国に核の均衡(相互確証破壊戦略)を求める北朝鮮と「叩き潰す」姿勢の米国・トランプ政権

孫崎「ICBMはなかなかできなかった。だけど、考えてみると、ICBMも私が国際情報局長をやっていた1998年ぐらいに、日本を越えて行ってるから、もうこれは時間の問題だったんです」

岩上「なるほどね。それで、このICBMの問題が重要だというのは、アメリカ本土に届くから、という話ですよね」

孫崎「そういうことです」

岩上「アメリカが急にムキになってるのは、日本に届く(ミサイルの存在)は別に気にしちゃいないんだけど、アメリカ本土に届くという話になると、急に冗談じゃないぞって本気になる。そして、このICBMに加えて、北朝鮮が核弾頭の小型化ができているのか、どうか。核弾頭を小型化しないと、そのICBMに搭載して、米本土まで持っていけないと。

 運搬手段(ミサイル)の開発と核弾頭の小型化。これには相当な技術がいる。まだまだ時間かかるだろう、そう言われていたけれども、核弾頭の小型化もそこそこできているだろうという情報もあります。

 そうなると、北のICBMが米本土にもう届くということになって、アメリカと北朝鮮との間で軍事的な核のパリティ、均衡ですよね。相互確証破壊戦略(※)。これを結べと、北朝鮮は、そういうことを迫っているわけです。しかしアメリカは北朝鮮を独立主権国家として承認しないし、結ばないという態度。

※相互確証破壊戦略:一方が核兵器を先制的に使用すれば、他方が必ず報復攻撃を行う戦力をもつ(具体的には原子力潜水艦によるSLBM)。そのため、最終的に双方ともに核兵器により完全に破壊し合い、滅びてしまうことを相互に確認することで、核戦争への突入を抑止する戦略。これが核の均衡をもたらし、実際には双方とも先制攻撃を行えない、核による抑止力のきいた安定をもたらすと説明されてきた。

 朝鮮戦争は休戦状態で、まだ戦争は終わっていません。北朝鮮はこのままの状態で平和条約を結ぶことを求めている。核を互いに保持したままお互いににらみ合いながら、生存を保証しろということを言っているわけです。この状態で、つまり、アメリカがロシアや中国のような核大国との間で結んでいるのと同じ関係を、この小国北朝鮮との間で結べと言っているわけですよね。

 ところがここへ来て、いやいや、(平和的共存を拒否し)叩き潰してやるということをトランプは言っています。

8月9日、北朝鮮の戦略軍司令官は、新型の中距離弾道ミサイル『火星12』をグアム島の沖30キロから40キロの海上に4発同時に撃ち込む案(※)を検討していることを発表しました。

※北朝鮮のグアム島周辺への4発同時発射計画:8月10日付の朝鮮中央通信によると、北朝鮮軍の金絡謙・戦略軍司令官は9日、中距離弾道ミサイル「火星12」4発を同時に米領グアム島周辺に向けて発射する計画を検討していると表明した。計画では、ミサイルは「島根県、広島県、高知県の上空」を通過し、グアム島周辺30~40キロの水域(アメリカの主権が及ぶ領海12海里(約22.2キロ)のすぐ外側)に着弾させるという。

 この新型中距離弾道ミサイルは、島根、広島、高知など日本の各県の上空を通過することになると言ってるわけです。ICBMはまだニューヨークまでは届かないかもしれないけれども、少なくともシアトルとか、楽々と、サンフランシスコも届くんじゃないかと言っております」

米国はB1爆撃機で北朝鮮を爆撃する準備! そもそも米国に独立主権国家を爆撃する自由はあるのか!? 自衛隊は護衛機で集団的自衛権のデモンストレーション!

岩上「日本政府は8月12日、地上配備型迎撃ミサイルPAC3を上空通過予定の陸上自衛隊の高知駐屯地に配備。だいたいPAC3というのは、いちいち引っ張っていって、そこまで持っていかなきゃ話にならないので、急に撃たれたときには何も機能できないんですけど、これをそういう騒動の中で配備したと。

 自国が攻撃されているわけではないんですよ。北は日本を狙ってるって言ってるわけじゃないんですよ。だけど、途中で撃ち落とすと。こういうことを言っちゃってるわけですね。

 連続で言っちゃいますけど、これに対して、アメリカの国防総省は、北朝鮮を攻撃する手段の一つとして、グアムに配備しているB1爆撃機ですね。B1爆撃機で爆撃する準備を整えたと、これNBCテレビが報道して、実際、B1は核を搭載しないけれども」

孫崎「もう飛んでますからね」

岩上「飛んでますよね。朝鮮上空を飛んでる」

孫崎「そう。飛んでる」

岩上「護衛機として韓国機とか、あるいは自衛隊機が護衛機として、ついていくという。それも集団的自衛権のデモンストレーションだと思うんですけど、グアムからB1爆撃機を飛ばして、北朝鮮を爆撃する。ここから以下は僕のツイートです。僕が昨夜、書いたことですけど。『グアムからB1爆撃機を飛ばして、北朝鮮を爆撃する自由が、米国にどうしてあるんだ』って。そもそもやっていいかどうかという議論を国際社会はすっ飛ばしてると思うんですよ。

 じゃあ『北朝鮮が自衛のためにグアムにミサイルを撃ち込むっていうのは、売られた喧嘩を買うって話じゃないか』って。それはそれで、両者で喧嘩をやるっていうのは、極端な話、よそ様の話ですよ。『そこになんで日本が首を突っ込むのか』と」

小野寺防衛大臣の先制攻撃論は米国の利益のためのもの! 先制攻撃による敵基地攻撃ですべてのミサイルを壊滅するなど不可能! 残存核戦力で容赦ない報復を受けるのは日本!

岩上「同盟国が喧嘩をおっ始めようとどうであろうと、そんなことは知ったこっちゃなくて、日本の安全第一に振る舞うのが日本の政治家のはずだと思います。

 何を言いたいかというと、小野寺さんが、極右月刊誌『WiLL』の2017年8月号で、『専守防衛から先制攻撃へ』というタイトルで、なんと元防衛大臣の中谷(元)さんと長島(昭久)さん(元民進党衆議院議員)と小野寺さんの3人で、つまり、安全保障問題に関して責任あるポジションにかつていた人、今からなる人、実際になっちゃった人が、こんな極右雑誌の中で、『先制攻撃』ということを言ってるわけですね。

 なぜかといえば、発射前のミサイルを無力化するのがいちばん確実だからだと。PAC3で迎撃するには限界があると、ミサイル防衛システムの無効性を認めた上で、そう主張しているんですよ。相手の領土に届く装備を持たなければいけないと。だから、ミサイルを撃たれたから撃つのではなくて、その前に叩けってことは、もう完全な先制攻撃ですよね。

 それ、誰のためにやるの?って、米国のためじゃないですか。米国のために先制攻撃によって敵基地攻撃をやると。そして、小野寺さんは就任会見でも同じ発言をしました。我々、防衛省の記者会見、日頃、入れてもらえないんですけど、今回は、なぜか入れてもらえて。

 それで、敵基地攻撃論について『防衛省、自衛隊としてしっかり様々な提言を行っていく』と明言。敵基地攻撃論をやることについて明言してるわけですね。先制攻撃による敵基地攻撃で、すべてのミサイルを壊滅などできっこない。これはもう、孫崎先生がこれまで散々言ってることで、山の中に隠れているミサイルを発射準備直前に、ヒュッと出てきて飛ばすのを衛星で発見し、確実に迎撃できるのなんていうのは、勘違いもいいとこだと。

 (軍事ジャーナリストの)田岡俊次さんが何度も何度も言っていることでもありますが、防衛省のかなり偉い人でも、衛星による監視技術を理解してないと。ずーっとその国の上に止まって、静止衛星のように、24時間まったくずっと監視し続けると思いこんでると。アホかと。軌道上をぐるっと回転しながら、何時間かおきに写真を撮っていくっていうのが関の山であって、そんな技術しかないのに、ミサイル発射の兆候を一瞬にして見て取って、10分後に発射されるよりも先に日本のミサイルが届いて、発射前のミサイルを破壊するなんて、漫画の漫画だと。

 これはもう、田岡さんとか、孫崎さんとか、そうした専門家の方々が何度も言っておられることなんですけど、仮に発射前にでも、基地あたりにミサイルをぶち込んだとするじゃないですか。当然、残存核戦力が残りますよね。そして、その残存核戦力は日本に対して容赦ない核報復攻撃を行うわけですよね。小野寺さんは、その結果を考えているのか、とも言いたいわけですよ。

 すでに防衛大臣になってしまった人ですから。だから、今度の内閣は、支持率が上がったとかなんとか言ってますけども、とてつもなくとんでもないことを言う人を出しちゃったと。しかもこのタイミングで」

北朝鮮のICBMはすでにニューヨークに到達する能力がある!? 米国へのICBM発射に対する先制攻撃はありうる!?

岩上「ちょっとその前に戻りますが、この敵基地攻撃論者の小野寺防衛大臣に対して、北朝鮮金正恩委員長は、名指しで非難しました。朝鮮中央通信が伝えたところによると、北朝鮮は今月9日、『日本列島を瞬時に焦土化できる』『我々はその能力はもう全部持っている』『もう装備は全部終わっている』『日本列島が太平洋列島に沈没するかもしれないことをはっきり理解するべきである』というふうに言ってるわけですね。

 敵基地攻撃論を唱える小野寺防衛大臣を名指しして、我が国への先制攻撃を正当化しているとして、無知で狡猾で軽薄と。狡猾でありながら軽薄で無知ってことが成り立つのかなっていう気もしますけど」

孫崎「狡猾はいらないんじゃないですか」

岩上「ご本人に狡猾はいらないですね。でも、小野寺さんを操ってる人は、非常に狡猾ですよね」

孫崎「ああ、そういう意味でね」

岩上「で、小野寺さん自身は、極めて無知で軽薄であるということは、間違いないと思いますよ、本当に。狡猾なのは、操ってる側だと思うんです。こういう流れなんですけど。先生、これどう思います?」

孫崎「まず2つ。話をするといろんなことがあるので、まず敵基地攻撃論からいきましょう。これ非常に重要なポイントは、日本に攻撃がされる。それに対して、基地を攻撃するという論は、あるかもしれない」

岩上「正当防衛の論理としてね」

孫崎「ところが、これのいちばん大切な、敵基地攻撃論は、アメリカのためにやるということなんです」

▲孫崎享氏

岩上「グアムというのは、アメリカの基地ですからね」

孫崎「いやいや、グアムよりも」

岩上「あるいは米本土」

孫崎「岩上さんのさっきの説明で少しだけ違うところは、実は、アメリカへ撃つときには、北極を通るんです。そうすると、サンフランシスコへ行くものと、ニューヨークへ行くのとは、そんなに違わないと思います。ということで、もうニューヨークに到達する能力は、私は持ってると思います」

岩上「もう持ってると?」

孫崎「持ってると思います」

岩上「一般的にはシアトルまでは行くけれども」

孫崎「うん。シアトルに行くってことは、同じことなんです。北極から行くから」

岩上「距離的にも、届き得ると?」

孫崎「うん。もう届き得ると見ていいと思います」

岩上「見ていいと」

孫崎「そこまで行ってると思います」

岩上「あと核弾頭の小型化もできている?」

孫崎「小型化は、私はわかりませんけど、できてるかもしれない。だけども、ニューヨークあたりにまで届く(水準)というのは、もう間違いなく行ってると思います。

 問題は、敵基地攻撃論というのは、ICBMを発射するときには、かなりまだ、液体燃料を使ったり、発射することがわかる状況なんです。だから、先制的に攻撃をしようと。撃つ前に先制攻撃をしようという」

岩上「ある程度、察知ができると。準備に時間がかかるからですね」

孫崎「そうそう。だから、そこへ攻撃するということはありうる。ということで、先制攻撃が出るんですよね。だから、アメリカに撃つミサイルに先制攻撃をするということは、これはありうるんです」

北朝鮮が200~300発も保有する日本への至近距離のミサイルを全弾迎撃して撃沈することは決してできない! 「米国を守るために日本が犠牲になる愚かな敵基地攻撃論」

<ここから特別公開中>

孫崎「ところが、問題は、さっき岩上さんがおっしゃったように、日本に対して攻撃をするというのは」

岩上「もっとずっと至近距離であるという」

孫崎「そう。ICBMじゃないんです。それは、ノドンであって、ノドンはもう20年から30年ぐらい前に、もう完成してるから、日本はいつでも200発、300発あるんですね。だから、敵基地攻撃論は200発、300発あるものを破壊できるかというと、これできないんです。」

岩上「しかもそれには、核弾頭搭載可能なんですね?」

孫崎「可能になるでしょう。ここで考えなきゃ。正確に言ったら、アメリカに行くミサイルを我々は、事前に攻撃する作戦行動に参加するということなんです。それは何も、日本に来るミサイルを撃沈できることではまったくないんですね。そこをごまかして、この人たちはしゃべってないんだけども。

 日本に向かっているミサイルは、決して撃沈できない。だって200発300発あるわけだから。そんなものを200発、300発飛ぶような準備もしていないし、今は、ICBMっていうのは、ほんのわずかやってるから、そこに攻撃ができる。だけど、ノドンは200発、300発実戦配備してるから、これを破壊するという意味の敵基地攻撃論ではないということを我々はまず知らなきゃいけないんです」

岩上「なるほどね」

アメリカへ向かうICBMを日本が先制攻撃すれば、日本にノドンが降り注ぐ! 日本は弾除け!こんな馬鹿な先制攻撃論を日本の安全保障関係者が言っている!

孫崎「そうすると、どういうことになるかというと、アメリカのために行くものに対して、日本が先制攻撃をすれば、当然向こうは反発するから、日本にミサイルが来ると。だから、何のために、日本はやるかって言ったら、アメリカに行くかもしれないということをやるそのICBMを我々が攻撃して、そして…」

岩上「弾除けになると」

孫崎「我々が撃たれると」

岩上「ボディガードみたいなもんですよね」

孫崎「こんなバカなことを、日本の安全保障関係者が言ってるとしたら、どこかが狂ってるんですよ」

岩上「いや、狂ってますよね」

孫崎「うん、非常に重要なポイントは、この敵基地は、日本向けにある基地を攻撃するのでは、まったくないということですよね。そこは温存されてるから、仮に日本がICBMをやったとしても、それに参画したら、当然、報復を我々が受ける。ここをまずわかってなきゃいけない」

北朝鮮がグアムを狙うのは「攻撃」のためではなく米本土への到達能力をアピールするため!?

岩上「今回は、米本土に向けてICBMではなくて、グアムに向けて撃つという話です。あくまでICBMでないです」

孫崎「いや、ICBMを使う可能性はあります」

岩上「この中距離弾道ミサイル(「火星12」)っていうのは、ICBM?」

孫崎「いや、例えば、東北を横断してやったのは、あれはICBMだったんですよ」

岩上「実験は」

孫崎「実験はね。だから、そういう意味で、この実験のものは、グアムに行くときに、ICBMが行く可能性はあります」

岩上「ああ、そうなんだ」

孫崎「あるけれども、じゃあ、北朝鮮は何でグアムにやろうとしてるかってことなんです。それは、攻撃するという意図でやってるんじゃないんです。グアムやったって、なんにもならないんだから」

岩上「アンダーセン基地があるじゃないですか」

孫崎「いやいや、そんなものやったって意味がない。もし、北朝鮮が本当に攻撃をしようと思ったら、軍事基地じゃなくて、アメリカの社会経済政治の中心地に撃つんです。

 向こう(米国)がいちばん困るのは、米軍基地のグアムがどうなるかってことじゃなくて、自分たち、ワシントン、ニューヨークがやられることが怖いんです。このグアムに撃つという意味合いは、『我々は、ニューヨーク、ワシントンに飛ばせる能力がある』ということを示すためにやるわけなんですよ」

岩上「でも、グアムのほうがだいぶ至近距離ですよね。そのニューヨークに飛ばすより」

孫崎「いやいや、それはICBMである程度のものを行ければ、あとは動いているものの惰性でもって」

岩上「出力で」

孫崎「行ける可能性があるわけだから」

岩上「これ、ICBMと普通のミサイルとの違い(※)というのは、やはり大変高い、高高度まで打ち上げて、成層圏を超えて、そして、ロケットと同じですよね」

※ICBMと他のミサイルの違い
ICBM(Intercontinental ballistic missile=大陸間弾道ミサイル)とは、大洋に隔てられた大陸間を飛翔し、一般的に射程距離が5500キロ以上のものをいう。翼やジェットエンジンで飛行する巡航ミサイルや空中の標的を攻撃するための対空ミサイルと異なり、ICBMは射程距離が通常8000キロから1万キロと長いため、ロケットエンジンで高高度(最高度1500~3000km)を保ち大気圏外に打ち上げる。
ICBMには核弾頭などが搭載され、遠方の目標を攻撃するための運搬手段としての役割を果たす。北朝鮮は、核兵器を遠距離へ発射できるようにするため、ICBMの実験を繰り返しているとされている。

▲アメリカで開発された、巡航ミサイル「トマホーク ブロック4」(ウィキメディア・コモンズより)

▲イスラエルのラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズ社が開発した、短距離空対空ミサイル「パイソン5」(ウィキメディア・コモンズより)

▲北朝鮮が発射した大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」(ウィキメディア・コモンズより)

孫崎「そう。あとはそんなに難しくないんです。その距離は。だから、そういう意味で、北朝鮮側からの目的はグアムへの攻撃をやりたいんじゃないんです。アメリカ本土に行ける能力があるということを示すためにやるんです」

岩上「なるほどね」

孫崎「軍事基地を」

岩上「アンダーセンを狙うというんじゃないんだ」

孫崎「じゃないんです。日本や韓国にある基地とか。それから海軍の」

岩上「空母が行きますよね」

孫崎「空母を一箇所にだけやったら、攻撃が来ないって話じゃないんだから。だから」

岩上「何十発もやられる」

孫崎「だから、そういう意味で、北朝鮮の軍事の専門家が考えるのは、グアムの基地を叩くためにやるんじゃなくて、我々はそういう能力を持つということを示すためにやる」

岩上「なるほど。アピールなんだ」

孫崎「そう」

ミサイルの迎撃ができるのは予め目的地がわかり軌道計算ができるときだけ! 目的地のわからない北朝鮮のミサイルを撃ち落すことは不可能!

岩上「しかしこれが島根、広島、高知などの上空を飛ぶと」

孫崎「これはね、もうまったく、もう愚の骨頂」

岩上「愚の骨頂?」

孫崎「うん。どういうことかというと、まずミサイルが飛んでくる。多くの人が考えておかなきゃいけないのは、(ミサイルは)とてつもないスピードなんですよ。とてつもないスピードはどういうことかというと、落ちてくるときには秒速2キロなんです。秒速2キロで落ちてくるどこをターゲットにしてるかわからないものを、撃ち落とせることはありえない。

 普通、軌道計算をやるわけですよ。ミサイル防衛というのは2つの種類があって、1つの種類は、ソ連時代なんですけど、ソ連のミサイルがアメリカの核のミサイルを攻撃するときがあるんです。自分たちがアメリカを攻撃するときには、反撃される可能性があるから」

岩上「なるほど。第2撃がね」

孫崎「その時に、ICBMの基地がやられたら反撃できないから、ということで、これを守らなきゃいけないということがあって。そうすると、ロシアのミサイルが来るときには、最終目的地はそのミサイルのサイロ(ミサイルの格納のための建物)なんですよね。ここに来るから軌道計算ができる」

岩上「なるほど」

孫崎「だから、それをやれば、理論的に落ちてくるわけだから、どれくらいのスピードでどうなるかっていうのをやれば、そこで撃ち落とすということができるというのが、ミサイルの防衛なんですね」

岩上「出発点ですね」

孫崎「ところが、もう一つ、ミサイルを撃つ目的は、サイロじゃなくて、軍事、政治、社会、経済の中心にミサイルを撃ち込むということなんですよ。その時には、北朝鮮のミサイルが出発したときに、どこに行くかわからない。ロシアのものもどこに行くかわからない。そういうような形のミサイルは、もう防衛ができない。これについて、核の専門家は、何の疑いも持っていない」

岩上「PAC3なんかで、実験がハワイなんかで成功しましたというのは、予め撃つ場所と落ちる場所がわかっている実験をして、そして、当然計算通りに」

孫崎「そう。それも、実際にミサイル同士でやってるのか、あるいはシミュレーションで成功したというのか。どうなってるかわかんないんだけど、1986年に成功してるんです。

 私がハーバード大学に留学していたときに、MIT(マサチューセッツ工科大学)でこのミサイル防衛の勉強会みたいなのがあって、我々はこの実験に成功したと。だから、そういう形の実験は、もう1986年で成功してるんです。何も新しいものじゃない。それは、だけど、目的地がはっきりしてるときなんです」

PAC3が守れるのはわずか2キロの範囲!? 仮にミサイルにあたった場合、残骸の落下による被害はミサイル着弾による被害を上回る可能性も!

孫崎氏「目的地がはっきりしてないときに、秒速2000メートルから3000メートルで落ちてくるんですよね。このPAC3は、言われているのは、マッハ5なんです。マッハ5っていうのは、秒速1800メートルなんです。1800メートルが追いかけて、落ちてくるのが2000メートルから3000メートルだから、こんなものはまずないんです。

だから、そういう意味では、日本に向かって来るときには、日本にあるICBMを目的にするわけじゃないから、どこに来るかわからないから、ミサイル軌道計算ができないから撃ち落とすってことはありえない。これはまず第一。

 その次に、PAC3は射程距離が15キロしかないんですよ。15キロだから当たることはないんだけども、仮に当たったとすると、15キロの射程で上がっていくわけですね。ということは、上に向かって15キロですから、守っているところ(半径)というのは2キロぐらいしかないんです」

岩上「15キロ上に。上から落っこってくるわけですからね。みんな、横から飛んで来るイメージだけど、横からは飛んでこない」

孫崎「上に行くわけだから、そうすると、上に向かってるわけだからね、守っているところというのは、ほんのわずかの1、2キロなんですよ。だから、自衛隊が配備したと言ったら、(当たる範囲は)その駐屯地(の上空)だけぐらいなんですよ。仮にうまくいったとしても。

 もう一つ言われるのは、落ちてくるときに、仮に当たったとしましょうか。15キロの上空、10キロぐらいのところで当たったとしましょうか。消えてなくならないんです。それ(ミサイルとPAC3の破片)が、バラバラに落ちてくるんです。バラバラに落ちてくるときの被害は、ミサイルが落ちるよりは、はるかにでかいんです」

岩上「なるほど」

孫崎「残骸がそこでバラバラになるだけで、なにもそれが消えて消滅するんじゃないんです。PAC3は、一般の人たちが住んでるようなところで撃ったりしない。撃ったら大変なことになる。だから、東京都ではPAC3の実験を自衛隊はやってませんよ」

岩上「やれない」

孫崎「やったら、どこかに落ちてくるんだから」

岩上「都心でやったら、大変なことになる」

孫崎「だから、それは実戦だって同じことなんでね。ということで、そういうような意味合いで、PAC3は何の意味もない。

 なぜ使うかといったら、軌道が途中で行くべきところに行かなくて、落ちてくる可能性がある時に、使いますということですよ。そしたら、来るミサイルの軌道が外れてるんだから、そんなもの、誰も計算ができない。計算ができなければ撃てない。撃ったって、どこに撃ったらいいかわからない」

岩上「当たらないですよね」

安倍政権が無意味なPAC3の配備を続けるのは米国の軍需産業を喜ばせるためと、日本国民に政府の真剣さをアピールするため!?

孫崎「なので、そういう意味でこれはまったく意味がない。まったく意味のないことをなんでするのかというのを、2つあって。1つは、PAC3を買う」

岩上「買わせろと」

孫崎「そう。アメリカの軍需産業が喜ぶ。お前、買いなさい。こういう役に立つからと言って、もう何の考慮もなく、何の頭もなく、アメリカに言われたら、それをそのまま買う」

岩上「防衛産業を潤すためにね。アメリカの防衛産業のために」

孫崎「もう1つは、こういうようなものをやることによって、安倍政権は、北朝鮮のミサイルに対して、真剣に反応してるというイメージを国民に植え付けるという」

岩上「でもね、植えつけるといっても、小野寺防衛大臣が『WiLL』8月号で『専守防衛から先制攻撃へ』と題して座談会しているんですよ。そこに中谷さんと長島さんが加わってる。もう、本当に頭痛いなっていう。

 そこでは、こんなことを言っているんです。『持つべきは反撃力だ』と。『相手の領土に届くような防衛装備を持たないことが、戦後一貫した自衛隊の方針になっている。(中略) 相手の領土から直接飛んでくる弾道ミサイルが最大の脅威になっている。とすれば、これを完全に防ぐためには、飛んでくるミサイルを撃ち落とす「ミサイルディフェンス」が大事なんですね。(中略)多弾頭で飛んできたら撃ちもらすことも出てきます』。

 だから、孫崎先生が言っていることの一部は言ってるわけです。

 『撃ちもらすことも出てきます。ならば、発射前のミサイルを無力化するのがいちばん確実です。そう考えると相手の領土にまで届く装備を持たないといけない』…」

孫崎「それは小野寺さんが言ってるの?」

岩上「小野寺さんが『WiLL』で発言している言葉の引用です。ものすごく危険なことを言ってるわけです」

孫崎「さっきから繰り返しますけど、200発、300発ある敵基地に、全部やれるんならいいんです」

岩上「そうですよね。すべて撃って、一発も撃ちもらしがないと」

孫崎「というならいいんだけど、今の能力でやれるのは、200発、300発配備されてるうちの1発だけやれる程度なんですよ」

岩上「せいぜいのところでしょうね」

孫崎「ということで、残りの199、299は襲い掛かってくると」

岩上「ということですよね」

孫崎「こんな、もうね。イロハのイみたいなことを…」

岩上「そんなことを平気で言ってるんです。平気で言って、これを活字で発表して、その直後に小野寺さんを安倍さんは防衛大臣に任命した」

孫崎「やっぱり非常に問題なのは、軍事の専門家という制服組が、制服で辞めた人が、喋らなきゃいかんのですよ。日本の制服組のいちばんひどいのは、そういうことをしゃべらない。少し勉強したら、そんなことはできるわけがないっていうのはいっぺんにわかるんだから。いっぺんにわかることを、言えない日本の社会。それは、この間、福田(康夫)元総理が」

岩上「怒ってましたね」

孫崎「日本はもう、滅亡のほうに行ってると(※)。本当にそうなんですよ。どの社会でも、あるべきことが論じられない。あるべきことでないことが、やっちゃいけないことが、平気でやられて、そしてそれを止める力がもうない。どの社会もそうですよ」

※福田康夫元首相は、2017年8月3日の東京新聞で、「各省庁の中堅以上の幹部は皆、官邸(の顔色)を見て仕事をしている。恥ずかしく、国家の破滅に近づいている」と述べている。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201708/CK2017080302000136.html

岩上「いや、止めなくちゃいけませんよ。先生の本読んで」

孫崎「本当にね、どの社会も止める力がない」

ミサイル防衛は今も将来も役に立たない――役に立たない状況の中で出てきたのが「相互確証破壊戦略」だった!

岩上「あと、孫崎さんを誰だかわからなくなってる人もいるから、一つ付け加えておかなきゃいけないんですけど、外務省の国際情報局長というと、インテリジェンスやってたんだ、でも、防衛問題の専門家じゃないじゃないか、と思う人もいるかもしれないんで、言っておきますけど、防衛大学校の教授だったんですからね」

孫崎「私は防衛大学校の教授で、何もミサイル防衛をやってるわけじゃないんだけど、私は防衛大学で何をやってきたかといったら、危機管理というものをやってたんです。危機管理だから、そのミサイル防衛とか、そういうものとまったく無関係ではない。

 例えば、ミサイル防衛で、(ウィリアム・J・)ペリー元国防長官が、ミサイル防衛っていうのは、そんなものはありえないということを、ちゃんと論文に発表して(※)、それは日本語の文字になってるんですよ。だからね、然るべき人間は、ミサイル防衛っていうのはできないと言ってる。

 それから、ミサイル防衛ができないということは、あの人は知ってますよ。同じ防衛大臣でも、石破さんは。石破さんは言ってるんだけど、巧妙な言い方をしてる。今は役に立たない。だけど、将来役に立つかもしれないから、それを研究するのはおかしくはないんじゃないか。だけど…」

※ペリー元国防長官は、『foreign affairs』の2001年11月/12月号に掲載された『Preparing for the Next Attack(次なる攻撃に備えよ)』と題した論文で、次のように述べている。「Missile defense systems have no significant operational history yet, but the United States and other countries have a history of air defense operations that extends over 60 years. Historically, these activities have demonstrated an ability in combat to shoot down between3 and 30percent of an attacking force; under some operational conditions they have done even less well. this record does not stop the United States from building and deploying such air defense systems to defend its military forces from repeated attacks by conventionally armed bombers, because a shoot-down rate even as low as 10percent would eventually exhaust an enemy`s bomber force.」

訳)「軍事作戦上、ミサイル防衛システムが重要な役割を果たしたことはないが、アメリカや他の国々は60年間にわたって防空作戦を拡大するために利用してきた。歴史的に見て、ミサイル防衛システムが向かってくる爆撃機を撃墜できる確率は3~30パーセント。軍事作戦の状況によっては、確率はもっと低いものであった。この程度の記録でも、アメリカは武装爆撃機からの防空システムを構築・展開するために、ミサイル防衛システムをやめていない。なぜなら、10パーセントの撃墜率でも、やがて敵の兵力を消耗させられるからである」

岩上「今役に立たないもの、やったってしょうがないじゃない。そんなもの」

孫崎「いや、将来もないんです。それは、核の問題は、だから、結局、そういうような状況でミサイル防衛っていうのはできないという中で、じゃあどういう具合に核を使わないようにするかっていうことを色々考えたときに、最終的な結論として、ものすごく多くの人の常識と違う形で作ったのが、『相互確証破壊戦略』ということだったんですよね」

岩上「お互いに銃を突きつけ合いながら、これ以上、お互いに、引き金引くの、やめようじゃないかということですよね」

孫崎「そういうことです。アメリカがもしも刃をやったら、確実にアメリカもやられるというシステムをソ連との間で作る。ということで、ソ連のほうから、先制攻撃をしないようにするためにやったわけですよね」

岩上「じゃあ、間違いなく中国との間には」

孫崎「同じ」

岩上「結ぶ」

孫崎「そう。だからね、結んでるの、基本的に。その概念で」

岩上「でも、ここまで(北朝鮮のような)小国を相手に…」

孫崎「いや、だからね」

岩上「と思ったんだと思うんですけど」

ある国がICBMあるいは核兵器を開発しようと決意したときに、それを止める方法はもはやない――出てきたのが先制攻撃を防ぐシステム作り

孫崎「いや、だからそういうことでは、まず多くの人はこのポイントで、今アメリカの中で様々な議論が行われているんだけども、外交(問題)評議会のプレジデント、(リチャード・ハース)会長ですかね、彼が言ってるのは、今、北朝鮮は、核兵器を30発以上持っていると。ICBMも持ってると。それで、これは止められないと(※)」

※2016年10月23日付読売新聞『地球を読む』でのリチャード・ハース氏の発言抜粋
「米国には、北朝鮮問題に対処するための選択肢がいくつかある。だが、どれも大して魅力的なものではない。

 外交交渉について見てみよう。まず言えるのは、北朝鮮が生存するための最高の保証と見なす核兵器を自ら放棄することが期待できない点だ。実際、北朝鮮はこれまでもしばしば、米国などとの交渉を時間稼ぎに利用しては核とミサイルの能力を高度化させてきた。

 別の選択肢は、現在も行っている経済制裁を、新たな形式で徹底的に継続していくことだ。ただし、北朝鮮に核とミサイルの計画を放棄させようとするなら、制裁だけでは明らかに力不足だという問題点を指摘しなければならない。

 その原因は中国にある。中国は、北朝鮮の崩壊によって大量の難民が自国に流入したり、米国の戦略的圏内に新たな統一朝鮮が加わったりすることを恐れている。だから中国は引き続き、北朝鮮が必要とする燃料や食料を入手できるように支え続けていく見通しが極めて高い。

 従って、外交面では対中国に力を注ぐことが結果的に賢明と言えるだろう」

岩上「開発を止められない」

孫崎「開発は止められない。今の世の中で、知識というのはいっぺんに拡散する。それから、ブラックマーケットというのはある。だから、どんな部品でも手に入れられないということはない。

 ロシアが仮に、ロシア政府が売らなくたって、ロシア関係であるとか、パキスタン関係であるとか、いろんな人が提供するから、もう、今日の世界で、ある国がICBM、あるいは核兵器を開発しようと決意した時に、それを止める方法はもうないと。

 ここから2つに分かれるわけです。だから、先制攻撃をしようと。今のうちに潰してしまえと。北朝鮮を潰してしまえという議論と、もう1つは、管理していこうと。管理していこうという考え方の元になるのは、ロシアと中国との関係を考えながら言ってるわけですね。

 ロシアというのは悪の帝国と言われた。今の北朝鮮どころじゃない。だけど、ロシアはもう完全に破壊する能力があっても、少なくともロシアが先制攻撃をアメリカにしないようなシステムを作ってきた。長い時間をかけながら、そういうものになってきた。

 そして、今も同じように、中国もそういう形になってる。ということはどういうことかというと、アメリカから先に先制攻撃をしたら、自分たちも被害を受ける、というシステムを作ることによって、向こうの先制攻撃をやらないというシステムになる」

「北朝鮮の存続を軍事的に侵さない」――キッシンジャーの論理に逆行するトランプ大統領は北朝鮮を本当の脅威とは思っていない!?

孫崎「次にまた、キッシンジャー(※)が出てくるんだけども、彼はこういう論理を言ってるんですね。まず、北朝鮮のような中小国が核兵器を持ったときに、どういう事態が起こるかというと、第一に、彼らは自分たちの政権あるいは自分たちの指導者が存続できないような状況にさせられたら、核兵器を使わないことはない。必ず使う。

※ヘンリー・キッシンジャー:1923年生まれ。ニクソン政権およびフォード政権期の国家安全保障問題担当大統領補佐官、国務長官。従来の兵器にはない巨大な破壊力を備えた核兵器の登場を踏まえ、外交政策と軍事力との新しい関係を構築する必要性を説いた『核兵器と外交政策』(1957年)などの著作がある。

 第二に、もしそういう国が、しかし(核兵器を)使ったら、この国は破滅させられる。

 第三。だから、我々がやらなければならないのは、それらの中小国に対して、あなたの国の存続を、我々は軍事的に侵さない、ということを約束してやることなんだと、こう言ってるんです。ということはどういうことかというと、今アメリカがやってるのはまったく逆なわけですよ」

岩上「そうですね」

孫崎「なんでやってるか? 簡単なんです。アメリカは本当に脅威と思ってないから」

岩上「緊張を煽りながら?」

孫崎「そう」

小野寺防衛相は防衛費の「1パーセントシーリング」撤回も明言! 北朝鮮危機を煽る米国は日本への武器輸出で大儲け!?

岩上「日本の、小野寺さん。就任会見でもう一つ言ったのは、今まで1パーセントシーリング(※)というのがありました。あれはもうなくなったと。だからこれから青天井とまでは言わなくても、アメリカが要求する2パーセントっていうのはお応えしますと。アメリカの武器買いますって話なんですよね」

※1パーセントシーリング:防衛費を抑えるため、防衛費をGNP比1パーセント以内に抑える枠組み。1976年に三木武夫内閣で閣議決定されたものの、1987年度の予算で第三次中曽根内閣が撤廃し、総額明示方式に変更された。しかし、1987年から1989年と2010年を除き、撤廃後も防衛費はGNP比1パーセント以内にとどまっている。

8月3日の就任会見で、小野寺防衛相は「元々1パーセント枠というのはすでにないとは理解をしていますが、まず必要なものということが基本で、金額ありきではないと思っております」と発言した。

孫崎「そういうことなんですよ。だから、そういう意味で、非常に重要なのは、米国は、米国の軍事関係者は決してこれを本当の危機とは思ってない。本当の危機と思ったら、もう一発でやれるんですから。それをできるということは知ってる。

 だけど、これを煽るということでもって、自分たちの利益が出てくる。それは、日本がPAC3であるとか、なんでも買って2パーセントにするという方向に行く。それから、集団的自衛権で、自衛隊を自分たちの手先として使える、というような形。それから、韓国に関しては、放っておいたら、中国との関係が良くなる。それを北朝鮮が持つことによって、北朝鮮による危機を煽ることにすれば、米国に依存しなきゃいけないというものを作ることによって、中国との接近を止める」

THAAD(終末高高度防衛ミサイル)くらい馬鹿馬鹿しい話はない! どこへ飛ぶかわからない北朝鮮のミサイルの進行方向を予測して的中させることなどできない!

岩上「実際THAAD(※)、高高度の防衛ミサイルを韓国が入れたら、中国はすごく怒ったわけですよね」

※THAAD:Terminal High Altitude Area Defense missileのこと。敵の弾道ミサイルが、その航程の終末段階にさしかかり、大気圏に再突入している段階で迎撃・撃破するために開発されたミサイル。

孫崎「THAADぐらい馬鹿馬鹿しい話はない」

岩上「あ、そうですか? THAADは馬鹿馬鹿しい?」

孫崎「いやいや。マジで考えましょうね。THAADは、上空、仮に1000キロメートルの上を飛ぶとしましょうか。1000キロメートルを行くとして、それで、PAC3のスピードが秒速2キロだとしましょうか。秒速2キロとして、100キロメートルのところに届くには、50秒要りますね。50秒要る。じゃあ、この間に、北朝鮮のミサイルは、上空を飛ぶわけだから、50秒の間に、秒速2キロから3キロ、あそこに命中をしなきゃいけないかもしれないと思って、打ち上げるとき、100キロだから、それに50秒かかる。そしたら、その間に本体は100キロから150キロ先に行ってるんです。ということは」

岩上「アキレスと亀みたいな話になって。どこまで行っても、届かないって」

孫崎「うん。だからね、もし撃つんだったら、今、撃とうとするときには、100キロから150キロ。北朝鮮のミサイルが飛びました。100キロから150キロ先に向かって撃つんです」

岩上「なるほど、なるほど。その進行方向の、こっち側に予測して、それで見事に的中できるか」

孫崎「そして、そんなものはありえない。どこへ行くかもわからないし。ということで、このTHAADというようなものもまったく意味がない。なのに、それをあたかも意味がありそうなことを言う。それで、それに抵抗ができない。たぶん、韓国の大統領は知ってると思いますよ。だけど、抵抗ができない(※)」

※韓国の朴槿恵政権が今年2月にTHAADの配備計画を具体化してから、中国は韓国企業に対する経済報復を強めている。2017年7月27日の日経新聞では、中国人の抗議デモにより韓国の大手スーパー「楽天超市(ロッテマート)」が中国店内で運営する110店舗のうち、90店舗近くが営業停止したままであることや、韓国の最大手自動車メーカー「現代(ヒュンダイ)自動車」は2017年4~6月の中国での売上が前年に比べ4割減ったことを発表したことが報じられた。

岩上「属国だからね。日本と同じく」

孫崎「そう。それ言ったら、もう何が起こるかわからない」

安倍総理の「憲法は小型の核の保有を禁止していない」発言は、米国に届く核を禁止されていないと言ったに等しい!

岩上「それが『朝鮮戦争レジーム(※)』って話なんですけど、その前にいちおう、言っておくと、安倍総理が『敵基地攻撃能力保有に向けた検討を行う予定はない』と急にトーンダウンしました。

※朝鮮戦争レジーム:朝鮮戦争をきっかけに構築された、日本のアメリカ軍への協力・支援体制全体を指す。軍事・法律・政治・経済・文化の各領域でアメリカ軍支援体制が構築され、その体制は戦後70年の間、維持された。その本質は日本列島の米軍による軍事利用である。この言葉は、矢部宏治氏の著書『知ってはいけない―隠された日本支配の構造』で用いられているが、生み出したのは岩上安身である。下記ツイート参照

▲10:08 -2017年8月7日

 8月6日、安倍総理が広島で会見を行って、この敵基地攻撃能力の保有について、『現時点で具体的な検討を行う予定はない』と述べるとともに、『現実をしっかり踏まえながら、様々な検討を行っていくべきだ』とも話して、『将来的な検討に含み』と言ってるんですよ」

孫崎「この敵基地攻撃論で一番の重要なのは、日本防衛のためではないということですよ」

岩上「ですよね。やっぱり、この人は根本的にあんまり頭よろしくない人なんじゃないかなと思うところは、2002年5月13日に早稲田でクローズドの講演(※)を行ったときに、『憲法は小型の核を保有することは禁止してない』って言ったんです。小型の核を禁止してないって、大変なことを言ってる。

※サンデー毎日2002年6月2日号では、2002年5月13日に早稲田大学で行われた講演で、安倍晋三官房副長官(当時)が核兵器について発言した内容を報じている。それによると、司会である田原総一朗氏に「大陸間弾道弾を作ってもいいのか」と問われて「大陸間弾道弾はですね、憲法上は問題ではない」、「憲法上は原子爆弾だって問題ではないですからね、憲法上は。小型であればですね」と答え、さらに「戦術核を使うということは昭和35年(1960年)の岸総理答弁で『違憲ではない』という発言がされています」と発言したとある。

 小型化された核っていうことは、ICBMに搭載可能だってことで、その日本が核保有して、運搬手段であるミサイルも持ったとしたら、例えば、中国やロシアや北朝鮮に向けてではなくて、アメリカにも届き得るICBMに搭載可能な小型の核だったら、禁止されてないって言ったに等しいわけですよ。

 普通の人間だったら、普通のある程度の安全保障や軍事に知識があったらば、これとんでもないこと言ったなって話になるし、そのように伝わるはずなんですけど、この人、おそらく原爆のような破壊力を持つのはいけないけど、もうちょっと小型の破壊力を持つものだったらいいんだぐらいのつもりで、小型って言ったのかもしれません。しかしそのようには受け取られませんよね。

 小型化された核というのは、破壊力とは関係性、関係ないんですから、小型化するほうが、実は技術力要るわけですから。まったく無知・無能な男が、この国で3期も首相をやろうとしているわけですよ。それも国の命運をかけるような話で。すごく怖いことだと思います」

孫崎「本当に。1980年ぐらいは、これだけひどいことが起こったら、一つだって、もう総理、(首が)飛んでましたよ」

岩上「そうですね」

孫崎「それが、なぜ飛ばないのかというと、もう日本の社会全体が本当に腐りきったんですよね」

岩上「いやあ、メディアもね、こういうことがあったら、ボロクソに言わなくちゃいけないわけですよ。何を言ってるんだと言わなきゃいけないのに、まあ、もう自民党に甘いこと甘いこと」

北朝鮮のグアム攻撃は米国にとっての「存立危機」でさえない! 「不都合事態」程度のもの!

岩上「さらに、8月10日の衆院安全保障委員会で小野寺防衛大臣、『北朝鮮がグアムにミサイル発射した場合、日本の存立危機事態に当たれば、迎撃できる』と異例の認識。

 記者会見で言ったって、今話しましたけど、安全保障委員会で、存立危機事態に当たるって、堂々と言っちゃうんですね。とにかく衆議院の安全保障委員会で、『存立危機事態』に当たれば迎撃できると。日本の存立危機事態っていうロジック自体、嘘で、アメリカにとって不都合事態程度ね」

孫崎「そう」

岩上「アメリカの存立危機事態でもありませんよ」

孫崎「そう」

岩上「というときに、わざわざ首を突っ込むということですよ。顔突っ込むってことですよね。米国のために武力行使するってことで、当然、それは壊滅的な反撃に遭うということですよね。これは、今もアメリカの占領下の戦争協力体制と言いますかね。準軍事、半軍事、属国状態って言いますかね。という体制にあると」

安倍政権は眠っていた「朝鮮戦争レジーム」を戦争遂行のために次々に再起動させている!――日本を兵站から前線基地どころか戦場へ、さらに先制攻撃・戦争の主体へ!!

岩上「『朝鮮戦争レジーム』。これは、矢部宏治さんが新刊(『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』)を出して、『朝鮮戦争レジーム』という言葉を使っているんです。これ、どこかで聞いたなと思ったら、僕が自分で言ってて、(矢部さんが)それを僕から聞いて、なるほどと思ってパクったんですって。書いてないじゃん本に、と笑ったんですけど。『©岩上安身』って書いてないって(笑)。

 でも、朝鮮戦争が勃発するときの、この占領軍の中で、例えば、憲法をどうするか、安全保障をどうするかというときに、民政局の(チャールズ・L・)ケーディスのような理想主義者と、それからG2のような参謀本部ですよね。これが分かれていくわけで。結局、G2の側がマッカーサーやなんかを説得して、日本の再軍備、つまり自衛隊にあたる前身の保安隊とかを作らせていくという『逆コース』(※)を歩むことになるわけじゃないですか。

※逆コースとは、戦後日本における、「日本の民主化・非軍事化」に逆行するとされた政治・経済・社会の動きの呼称である。

 だから、朝鮮戦争レジームというものは、今日の自衛隊だって、アメリカの管理下にあるわけだし、その米軍基地も、そのままに存続してるわけですから。今もずっとあって、しばらく休戦状態の間に眠ってただけ。

 その眠っていたのが、今ムクムク再起動を始めて、安倍政権というのは、そのときに、不完全だった隷属体制を、戦争遂行のために、日本をかつての朝鮮戦争状態に。当時は兵站だけだったけれども、今度は、前線基地。前線基地どころか戦場。あるいは、先制攻撃・戦争の主体にしてしまい、逆にアメリカ軍は引いてしまい、日本を戦争の道具にするというところまで来ちゃったんじゃないかなと思います」

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  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    「米国にいくミサイルを日本が攻撃すれば日本にミサイルが飛んでくる」――先制攻撃による敵基地攻撃が北朝鮮の容赦ない反撃を招く!? 岩上安身が孫崎享氏に訊く! http://iwj.co.jp/wj/open/archives/395300 … @iwakamiyasumi
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    https://twitter.com/55kurosuke/status/904111291463172101

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