憲法学の権威中の権威が、安保法制の反対を訴え、路上で声をあげた――。
集団的自衛権にもとづく安保法制の審議が大詰めを迎え、国会内外が緊張感に包まれた9月16日、早稲田大学教授の長谷部恭男氏、東京大学名誉教授の樋口陽一氏、東京大学教授の石川健治氏ら日本を代表する憲法学者が、参議院議員会館前の路上で安保法制への反対を訴え、スピーチを行なった。
長谷部氏は、6月4日の憲法調査会で、与党推薦の参考人であるにも関わらず、安保法制の違憲性を指摘。全国の憲法学者がから法案の違憲性が指摘されるきっかけを作った。
この日のスピーチの中で長谷部氏は、法案の違憲性のみならず、外交・安全保障の側面においても「必要性も合理性もまったくない」と力を込めて語った。
- スピーチ 樋口陽一氏(憲法学者)/千葉眞氏(国際基督教大学、政治学)/阪口正二郎氏(一橋大学、憲法学)/青井未帆氏(学習院大学、憲法学)/石田英敬氏(東京大学、メディア論)/中島徹氏(早稲田大学、憲法学)/石田憲氏(千葉大学、国際政治史)/齋藤純一氏(早稲田大学、政治学)/長谷部恭男氏(早稲田大学、憲法学)/石川健治氏(東京大学、憲法学)/広渡清吾氏(専修大学、法学)/西谷修氏(立教大学、思想・哲学)/山口二郎氏(法政大学、政治学)ほか
- タイトル 立憲デモクラシーの会 緊急リレートーク「違憲の安保法制に抗する!」
- 日時 2015年9月16日(水)18:00〜
- 場所 参議院議員会館前(東京・永田町)
- 主催 立憲デモクラシーの会(詳細)
長谷部恭男氏のスピーチ全文
「今回の安保法案は単に憲法違反だというだけではありません。必要性も合理性もまったくない。なんのために米艦を防護するんですか。日本人のわが子を米艦が乗せるということは現実的にあるんでしょうか。そんなことはありえません。
それからなんですか、ホルムズ海峡に行って機雷の掃海をする。そんな必要性は現実にはないんだ。安倍首相自身が認めたではありませんか。
それからどうでしょうか、この法律が成立すると北朝鮮はミサイルを作るのをやめますか。中国は南シナ海に進出するのをあきらめるんですか。なんの意味もないではありませんか。
例えこの法案が成立したとしてもわれわれは絶対あきらめてはいけません。今日のこの集会自体がわれわれの明日への希望の礎になっています。ごくごく普通の一般市民の方々がご自身の判断で、いかなる組織、いかなる団体に動員されることもなく、ご自身の判断でここに集まって抗議の声を上げおられるではないですか。これこそが、日本国憲法の精神が日本社会に本当に根付いたということを示しています。ですから、例えこの法案が成立することがあろうとも、まだまだあきらめることはありあません。明日へ向かって前へどんどん続けていきましょう。以上です」