安保法制をめぐる国会審議は、2015年9月15日、採決の前提条件である中央公聴会が行われた。国会の外では、総がかり行動実行委員会・SEALDs主催の国会前抗議には、主催者発表で約1万6000人が集まり、間近に控えた強行採決に激しい抗議の声をあげた。参考人として公聴会で意見陳述したSEALDsの奥田愛基さんは、公聴会終了後、スーツのまま国会前でマイクを握った。
与党はこれまで一言も触れていなかったのに、今日になっていきなり16日採決を言い出すとはどういうことなのか——。中央公聴会を、国会を舐めているのではないか。奥田さんは怒りを携え、厳しく安倍政権のやり方を批判した。「野党は牛歩!」のシュプレヒコールが国会前に響いた。
「本当に怒ってます」声を振り絞ってコールする奥田さん
抗議終了後、IWJは奥田さんに囲み取材をした。その模様を、動画と全文文字起こしで以下、お伝えする。
抗議終了後、奥田さんぶら下がりインタビュー
奥田「一番でかいのは採決の明日(16日)、明後日(17日)になるでしょうけど、委員会の強行採決、中央公聴会の後にやるとかやばいっすよね。今日面白かったのがこれぜんぜん使えない話なんであれですけど、最後与党の方に個人としてやってるから個人としてやってほしいっていったら、誰も与党の人、まあ寝てる人もいたし、目を合わせてくれなかったんですけど、鴻池さん(委員長)だけがすげー見てくれてた(笑)やっぱなんか思ってんじゃないすか、みたいな。そんなに目合わせてくれるって」
記者「直接、(委員長に)声かけられたんですか」
奥田「声かけたかったんですけど、いや、挨拶だけしました。奥田ですっつったら、ああ、おつかれーみたいな」
記者「がんばってくれ、みたいな視線だったと」
奥田「いやあ、がんばってくれって視線じゃ…、反応したっていうか、いいこと言うねみたいな。ずっと途中から見てたんすけど、でもなんか同じとこで10秒くらい見つめあったのでお互い目をそらしましたけど(笑)。
委員会の採決っていうことはもう鴻池さんがやるってことで、相当自分の腹の中に煮えきれない思いがあったんじゃないすか。それか馬鹿にしてるか。意外だったのが、山本(一太)議員とかはすごい嫌な顔するだろうなって見ていたんですけど、ヒゲの隊長の佐藤正久さんだけはすげーメモりながら聞いてたっていう、最高裁判事の人の話とか、元自衛官の人ってすげー背筋ピンとしてるなって、真面目な人なんだなー。その他の人たちは、ほとんど聞いてなかたです」
記者「野党は牛歩しそうですか?」
奥田「しないんじゃないですか。今日も言いましたけどしないんじゃないですか。てか問責決議もちゃんと出すか微妙っす、このままいったら。だから今日、めっちゃ煽ろうとおもってコールしました。結構ひよってます」
記者「枝野さんが世論のこと気にしてましたよね」
奥田「いやでもやること全部やんないと。盛り上がってなくて牛歩やったら総スカンくらうっすけど、今この段階でみんなのこの少しでも止めようという気持ちの段階で、野党が最後まで力を尽くさなかったらそれこそ総スカンくらいますよ。まあ絵面があんまよくないってのはわかるんですけど、でも17日もしくは18日って言われてますけど、これ土日またいだらぜんぜんまた違いますからね。1日延ばせる可能性があることは全部やってほしいなと。あと深い時間になってくるとまたここ(国会前)で集まるじゃないですか、だから野党が今牛歩してる、みたいになったら、すっげーここにくると思うんです」
記者「国会の中と外で連携するような形で」
奥田「なったらいいですけどねえ。高村さんとかテレビで『野党は牛歩とかするのかな』みたいなこと言ってた、めっちゃあおってる、みたいな」
記者「そう言われたらやるしかないですよね」
記者「それ嫌って感じですかね、与党は」
奥田「んーでも、17日の委員会採決だと牛歩とかやられたら本当に延びちゃうから、16日に意地でもやりたいですよね。もうなんか公聴会囲んで鴻池さんを出さないっていう手もあるんじゃないかと思いながら、僕は明日記者会見だから行かないんですけど」
記者「三時間くらいスピーチし続けるっていう手もあるみたいですけど」
奥田「ああ、牛タン戦術。まあどうなろうとやることはやるだけっす。すいませんなんか。おつかれさまです」
IWJ「おつかれさまです。IWJのキセキと申します」
IWJの囲み取材に応える奥田さん
奥田「カメラ(?)4台くらい出してきてくださいよ(笑)」
IWJ「はい、もちろん、出していきます(笑)」
奥田「たぶん今日の警備見ていたら、警察の来かたがやばくて、だってあそこだけで40人くらいいましたよ」
IWJ「決壊はご覧になりましたか」
奥田「見てないです、僕こっちにいたんで。こっちきたらすでにおーみたいな」
IWJ「繰り返しになるかもしれないんですけど、今日の公聴会は出てみていかがでしたか」
奥田「公聴会ですか、いやーどうだったんですかね。よくわかんないですね。ちょっと終わってほっとしています。まあでも自分ができることをというか、言えることを自分の言葉で言うだけだと思ってたんで」
IWJ「言いきりましたか」
奥田「いやあ、まだいいたいこといっぱいありますけど、そりゃあ」
IWJ「あれは決められた時間内でこれだけしゃべってくださいって最初から決められているんですか」
奥田「あーはい、中央公聴会は一人15分以内でしゃべって、あとはまあ質問されれば返すということです」
IWJ「与党の人たちには届きましたか」
奥田「いやーわかんないですね。」
IWJ「最初に寝ている人たち起きてくださいとあったじゃないですか、あれはあの後、周りの人たちは起きましたか」
奥田「笑って起きてました。あははーみたいな。まあ政治家の方々はいま安保法制のことで連日遅くまでやっていると思うんですけど、まあでもできれば起きて聞いてほしいですよね。税金で働いて暮らしているわけですから切ない思いになりますよね、寝てると」
IWJ「毎週こうやってデモをやってきたわけですけども、中央公聴会にまで呼ばれるってどういう気持ちでしたか」
奥田「いやあまあ僕なんか呼んでもっていう、もうちょっと他にも適材がいたんではないかと思うんですけど、まあでもせっかく公募の中で95人の中で選んでいただいて、まあ自分に言えることは言えたのではないかなと思っています」
IWJ「一番伝えたかった部分はなんですか」
奥田「まあ僕も個人として何が正しいか正しくないのか判断して、何をやるべきか何をやらないのかと考えた結果、ここに立っていて、まあここでこの法案に対して抗議の声を上げていて、思うこととか、ためらうこともたくさんあるんですけど、まあ逆に政治家の方々もたった一人の人間として何が正しいのか、何をやるべきなのか、本当に思い残すことはないでしょうかと、あなたの良心に従って行動してくださいということを、まあ言いたかったということです。まあでもそんなこと言われてもって感じでしょうけど…」
IWJ「…政治家の方々が、ということですか」
奥田「はい。けどまあちゃんと伝えておこうと。あなたたちが勇気ある行動をするんだったらそれはもう、てかそういうことができる。別に党内のパワーバランスだけで、日本国憲法に保障されていることなので、その辺は自分で考えて行動してもいいし、それはもちろんそういう行動を私は支持しますよということをちゃんと伝えたかったです。
やっぱなんていうかこう、まあもうほとんどそういう芽はないと思いますし、野党がどんだけ徹底的に抗戦するかってことだと思うんですけど、でもやっぱ与党の中にもそういう人たちがいるはずだし、そういう人たちともっと、実際どう思ってんのみたいな話が腹割ってできたらすげーよかったのになって、そう思います。
本当は反対だけど賛成にまわっている人ってどれだけいるのか知らないですけど、まあでも一人でもいるんだったら、その人に法案が通る前に話したかったなあ、っていうともう通っちゃったみたいですけど。けどまあ、明日委員会採決ということでやる気なんでしょう。もうこんなタイミングで採決して国民の理解は得られなくてもいいやと、てかもう説明する気をなくしたということなんでしょうね。すごい腹立たしいですね」
IWJ「国民は三連休はさんだら忘れるみたいな発言が、(かつて)首相からあったみたいですけど…」
奥田「馬鹿にしているとしか言えないでしょう。僕はやっぱり(首相は)楽観視しすぎていると思いますね。忘れるどころかもっと強くなるでしょうと僕は思います。
あんまりなんというか、毎週、毎週抗議するっていうこととか今は毎日になっているので明日、委員会採決の時にどれだけ人が集まるのかっていうのは、これを見ている人がどれくらいいるかわからないですけど、来てほしいと思いますし、なんていうかこの三日間どれだけ人が集まるんだろうってことと、もう一つは、もうこれだけ新しい動きが出てきているっていう中で、次の選挙はそう簡単ではないでしょうと思うんですよね。
あともう一つは脱原発デモの後で(民主党は)選挙で負けたじゃないかと、まあでも逆にいうとそれが分かっているからこそ、次は参議院(選挙)ですから(野党)割れることはないと思うんですけど、もうちょっと僕たち有権者側も野党に勝てる選挙をしてほしいと、もう何回でもやらせるんだと言っていかないとだめなんだろうなと思います。無党派のまんま、僕も応援している政治政党とか特にないですけど、無党派のまんまどの政党であっても選挙にこの人をここで勝たせたいとかいう話がきちんと決まれば次の選挙絶対勝てると思うんで、まあその光景を見るためにもちゃんと、いまできることをちゃんとするのが大事だと思います」
IWJ「ありがとうございます」(了)
公聴会の発言を聴いての感想。
うわ!凄い!!発言そのものがノーベル賞ものだ!
>国会の答弁をきちんとできないような法案を作るなど、私たちは聞かされていません
これがキモかな。
橋下や産経新聞更に石原などもこの発言をしっかり聞けよ、読めよ、と言いたい。
この戦争法案について「もう直ぐ忘れるさ」と言ったニンゲン。デモなんかで法律が棄損されるなどという事が在ってはならない、などと発言した奴ら、全ての人がこの発言を、もう一度噛み締めるべきだ。
彼らの行動(運動ではない)はこれからまだまだ続くよ。だって諦める気がないもの。
その先にどんな結果が待ち受けているかは分からないが、きっと今迄の日本を覆っていた空気とは違うモノが現れるだろう。何故なら彼は一人ではない。
大勢の色々な考え、思想信条の若者から中高年老人までが彼の後ろに居るからだ。
少し前この法案に反対する人が100万人結集し、資金を出し合えば、今の自公政権を引っくり返せる、と書いていた人が居た。対立する政党に票を集中できれば可能だ、と書いて有った。
しかし違うのだ。彼らは全てを根本的に変えてしまう力を持ったのだ。
彼らは消えない。
ブレない。
かれの発言の中にそれが現れている!