「統合幕僚長を証人喚問すべき」安保法案「成立前提」の自衛隊内部文書 憲法学者62人が「国会軽視」と批判 2015.8.21

記事公開日:2015.8.26取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富田)

※8月26日テキストを追加しました!

 防衛省の統合幕僚監部が、安全保障関連法案の成立を前提とする内部文書を作成していた問題で、憲法学者のグループが、2015年8月21日、東京都内で緊急記者会見を開き、安倍晋三首相による今国会の運営は、「議会制民主主義を軽んじている」と批判する声明を発表した。

 声明には62人の憲法学者が賛同しており、そのうち4人が会見に出席。問題とされる文書からは、政府・与党の狙いが「自衛隊の軍隊化」にあることがわかる、との言及もなされた。

 安保法制の基となる日米新ガイドラインでは、「日米共同計画」という軍事作戦計画について「政府が策定」となっている。しかしこの内部文書では、「統幕が主管となって『計画策定』するもの」と書かれ、計画策定主体が、国民への説明なしに勝手に政府から統幕へ変更されている。

 声明ではこの点を問題視。「このような軍事作戦の策定・運用にあたる組織が、その合憲性に深刻な疑義のある法案について、その成立を何らの留保なしに予定して検討課題を示すことは、憲法政治上の重大な問題だ」と批判している。

 東京慈恵会医科大学教授の小沢隆一氏は、「実際に、この文書作成に従事した人たちの考えを明らかにするめに、(河野克俊統合幕僚長らを)国会で証人喚問すべきだ」と主張した。

■ハイライト

  • 会見 三輪隆氏(埼玉大学名誉教授)ほか

「国会がコケにされている。メディアはもっと大きく報じるべき」

 「(自衛隊を統合し運用する、防衛省の特別機関である)統合幕僚監部が、安保法案の成立を前提に作成した文書には、憲法上、見過ごせない問題点がある」──。

 発表した声明文の冒頭には、こうある。

 「日米防衛協力指針(ガイドライン)および安保法案を受けた今後の方向性」というタイトルの問題文書は、8月11日の参議院特別委員会で、共産党の小池晃議員に存在を指摘されたもので、作成時期は、衆議院で安保法案の審議が始まったばかりの5月末だ。

 声明文は、1. 法案成立前に、関係官庁が一般的な分析・研究を行なう範ちゅうを越える性格のものである、2. 日本の集団的自衛権行使を盛り込んだ新ガイドラインが、日本の防衛当局にとり、最上位規範であることを示している、3. 駆けつけ警護などでの武力行使規制の緩和を、新法施行後、ただちに実施することを予定している──などと、文書の問題点を挙げている。

 埼玉大学名誉教授の三輪隆氏は、8月11日の特別委員会で、小池議員からの追及を受けた中谷元防衛相が、「国会審議中に、法案の内容の先取りは控えるべき」と答弁していることを捕まえて、「にもかかわらず、文書には、ACM(同盟調整メカニズム)内の『軍軍間の調整所』設置の検討を4月には始め、この8月には運用をスタートさせる、と書いてある」と指摘。これは重大な問題だとし、次のように強調した。

 「これは、憲法学者だけが懸念すべき問題ではない。なぜなら、(民主主義の象徴である)国会がコケにされているからだ。メディアはこの一件を、もっと大きく報じるべきだった。戦後70年談話など、他のテーマに気をとられすぎたのは遺憾だ」

内部文書はどのように作られたのか?──国会で証人喚問を

(…会員ページにつづく)

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