【スピーチ全文掲載】「私たちは戦争に加担したくない。そんな形で人を殺したくない」 16歳が訴える!高校生らが安保法案に反対してデモ~酷暑の中、主催者発表で5000人が参加! 2015.8.3

記事公開日:2015.8.3取材地: テキスト動画
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(取材・写真:芹沢あんず、撮影:須原拓磨、記事構成:平山茂樹)

特集 安保法制

 「原爆を落とされ、2度と戦争をしないと誓ったこの国の人々の税金が人殺しのために使われました。私たちはそんな形で戦争に加担したくない。そんな形で人を殺したくない」――。

 16歳。春に中学校を卒業したばかり。しかし今、デモのサウンドカーに乗り、「戦争法案」への反対をスピーチしている。そのことへの戸惑いはあったかもしれない。しかし、それでも、前を向いて、強い口調で訴えた。

 衆議院で強行採決され、参議院での審議が始まった「戦争法案」こと安全保障関連法案。集団的自衛権の行使を可能にし、日本を米国とともに戦争ができる国へと変えてしまうこの法案に対し、実際に戦場へと送られてしまうかもしれない高校生らが、声をあげた。

 高校生らは、8月2日、代々木公園から出発し、渋谷の街をデモ行進。デモの隊列には、国会前で毎週抗議行動を行っている大学生有志「SEALDs」メンバーの姿も見えた。

 このデモで、マイクを握ったのが、先述した16歳の女性。「戦争が起こった場合、傷つくのは、敵、味方関係なく、巻き込まれる私たちです」と、はきはきとした口調で、安倍政権への怒りを訴えた。

 以下、スピーチの動画と、全文書き起こしを掲載する。

■スピーチ部分動画

16歳女性スピーチ書き起こし

 「こんにちは。春に中学校を卒業しました、16歳です。関東の北の外れの山奥から、片道3時間電車に揺られて、今日、ここに来ました。私は普段、両親と一緒に野菜を作ったり、デザインをしたり、一見政治と無関心な暮らしをしています。そしてなぜだか今、都会のど真ん中で、デモのサウンドカーに乗って、スピーチをしています。

 私が生まれる9年前の今日、8月2日、イラクのクウェートに侵攻が開始されました。アメリカの石油利権の支配者であったブッシュ大統領は、アラブ世界の石油の多くがサダム・フセインの手に落ちることを恐れ、それを阻止するために、多国籍軍によるイラクへの砲撃を開始しました。それが第一次湾岸戦争の発端です。

 そして日本政府は要請されるままに、135億ドルという大金を援助という名のもとに、出資し、その一部は劣化ウラン弾のような核兵器になりました。原爆を落とされ、2度と戦争をしないと誓ったこの国の人々の税金が人殺しのために使われました。私たちはそんな形で戦争に加担したくない。そんな形で人を殺したくない。

 なので、私は自分たちで食べるものを自分で作り、自分の家は自分でたてて、戦争経済に加担したくない、と自給自足を決意し、両親は便利な都会を離れて、私を育ててくれました。

 私たち庶民はなぜ支配者の攻防の歴史を学び、覚えなければならないのでしょうか。私たちが本当に学ぶべきは、一般庶民が支配者によっていかに搾取され、蹂躙されてきたか。そしてその歴史から、私たちはいかに連帯して、民主主義を構築していくかではないかと思うのです。

 戦争とはそれによって大きな利益を得る、ごく一部の資本であって、利権によって、国を奪われ、戦争に繰り出され、あるいは、復讐などによって傷つき、命を落とし、悲惨な体験をするのは、民衆なのです。

 私たち一般の日本市民は、他国の自分たちと同じ人間を憎しみ、殺さなければならない理由がどこにあるのでしょう。戦争が起こった場合、傷つくのは、敵、味方関係なく、巻き込まれる私たちです。

 私がこの戦争法案に反対する理由は、今、与党が決定しようとしているプロセスが立憲主義を踏みにじるものだからです。こんなやり方を許したら、時の政権が都合の良い解釈で、やりたい放題にできてしまうからです。ただ、戦争に行きたくないから反対しているのではなく、この国の民主主義を守らなければならないから、今、声を上げているのです。

 この法案が廃案になれば、あるいは、政権が変われば、問題が消えるわけではありません。世界がますます不安定になり、リスクが高まっていくのは、事実だと思います。でも、今は間違いなく反対の声を上げるときで、声を上げるべきです。

 では、その先にどんな未来を思い描いたら良いのでしょうか。この、民意の高まりを好機に、右も左も立場を越えて、皆でこの国のあるべき姿について、考えはじめようではありませんか。

 最後に、デモなんてしてないで勉強しろとか、ただ騒ぎたいだけだろ、とかよく言われます。でも、今デモをしなかったら、私たちは将来、あの時ちゃんと抗議をしとけば良かったって、きっと、いや絶対後悔すると思うのです。

 確かに高校生に理解できていないことは多いです。でも、知ること大事だし、知ろうとすることも大事だと思います。自分たちに十分関係あるこの法案について、『ちょっとよく分からないや』と言って、私たち高校生は黙ってないといけないですか!? そんな大人に勝手に決められるか、決められてたまるか、と思います。平成27年度8月2日、私は安保法案に反対します」

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「【スピーチ全文掲載】「私たちは戦争に加担したくない。そんな形で人を殺したくない」 16歳が訴える!高校生らが安保法案に反対してデモ~酷暑の中、主催者発表で5000人が参加!」への8件のフィードバック

  1. 武尊43 より:

    SEALDsの中に「安倍は良くないから、自民党の中でもう少し違う意見の人に総理に成って欲しい」と言った女性がいた。
    いやぁ~自民党の次の総理予定者はアベよりも戦争大好き人間なんだけど、と教えてあげる人は居ないのかねえっと思ってしまった、東京新聞の記事だった。
    まぁ、きっと次の参議員選挙にはこういう考えの子は自民に入れちゃうんだろうなァ、と悲しくなっていたら、高校生かあ!?
    この子たちが今から目覚めていれば、少しは違う方向に向かうかな、と期待しちゃったんだけど、、。
    何故なら、SEALDsなども資本主義と自由主義や民主主義はいいもの、と勉強させられてきた訳だ。
    処が我々甘いも酸っぱいも経験してきた爺さんは、それも違うんだよ、と分かってしまっているんだな。問題は拮抗させること。共産主義が良い訳じゃない事も知っているし、資本主義や自由民主主義だけでもダメなんだ、と分かってしまっているんだな。
    だから今からそのダメさを知ってくれれば、若しかしたら彼ら高校生が大人になった頃には変化が起きそうな気がしてきたんだな(笑)

  2. 緒方 夏 より:

    高校生のみなさん 一緒に 頑張ってくださって 本当にありがとう!! 本当にうれしい!!

  3. ブルース より:

    どう解釈したら戦争に加担するになるのだ?
    どう解釈したら人殺しになるのだ?
    安部さんのやり方は正直許せない!
    でも、安全保障に関する法案の整備には賛成!

    アメリカに追従する姿勢も反対!

    だからこそ!憲法9条を改正し国防軍創設と安全保障法整備を急ぐべし!

    アメリカ、中国と対等に付き合うために、日本国民は冷静に議論するべきだと考えます。

    安部さんの選んだのは国民だよ〜
    今、デモしてる人達は先の衆院選行ったのかな?
    まずは冷静に賢く!

  4. 宇佐美 保 より:

    ”戦争に行きたくないから反対しているのではなく・・・”ではなく、
    「戦争そのもの」に反対しましょう。
    「戦争」は、人間が行ってはいけない行為です。

  5. 高城 政彦 より:

    シェアした先のコメントhttps://www.facebook.com/masahiko.takagi.33?fref=nf&pnref=story
    ■高校生らが安保法案に反対してデモ~主催者発表で5000人が参加
    「戦争に行きたくないから反対しているのではなく、この国の民主主義を守らなければならないから、」とこの高校生は言う。この状況は可哀そう。
    ★「戦争に行きたくない」で、いいんです。世界で一番戦争が好きなあの国でさえ、徴兵制をとっていた頃、良心的兵役拒否は権利として認められていました。という事をいじめっ子も、いじめられっ子も知らないのでしょう。それは、ある意味で喜ばしい事かもしれません。
    —–「戦争に行きたくないから反対しているのではなく」と、言い訳をしてしまうのは、なぜか。—–いじめっ子が、いるんです。
    ★自民党の武藤貴也衆議院議員が、SEALDsに対して、言った。
    「彼ら彼女らの主張は「だって戦争に行きたくないじゃん」という自分中心、極端な利己的考えに基づく。利己的個人主義がここまで蔓延したのは戦後教育のせいだろうと思うが、非常に残念だ。」こういうバカな発言を気にしないでください。ちなみに、私は30年間、教師をしてきましたが、利己的個人主義を主張していた教師は1割ぐらいです。
    『この議員の10年間ぐらいの学生時代の先生の多くが利己的だったので、この議員も利己的自分中心主義になった』という事を白状しているようなもんです。
    ★高校生・大学生がデモして訴える。素晴らしいです。若いから、知識がなくても、多少、間違った主張でもいいんです。そんな彼らに反論するのは(しかも国会議員)自分中心の幼稚な考えです。大人なら、見守ってあげましょう。

  6. ケンシロウ より:

    高校生でこれだけの知識と意識を持っているのは関心です。(ちょっと上から目線でごめんなさい)

    ちょっと一言

    アメリカに追従して、自分勝手なアメリカの戦争につき合わされるのは確かに反対!・・・そのためにも憲法9条を改正して、軍事的にアメリカから独立しないと・・・と思う。

    戦争は向こうからやってくることもある。じわっと国土を侵略してくることもある。国民が拉致されることもある。戦争反対を唱えているだけでは平和にはならないよ。そんなことがある上で、平和を保つためにはどのような体勢が必要かを議論しなければならないと思う。

    決して立憲主義を踏みにじってはいないと思うが・・・解釈可能な範囲内で、国民の幸福を守ることを考えながら運用して、問題ないと思うけど。

    1. 河村大典 より:

      解釈改憲を可能とあなたは言われるが、安倍が何年も権力の座にいるわけではなく、その時の権力者の都合で解釈できるならば憲法はいらなくなってしまうのではないのでしょうか。
      戦後、アメリカの駐留や、自衛隊を持つことで自衛権は有るとした憲法解釈からはじまっています。しかしこれらはその時の国民の支持を得たと思っています。
      憲法はまさに権力者を縛り、日本国民の権利を謳ったもので理想的なところもありますが、何故この理想に現実政治を近ずけようとしないで改憲変更で遠ざけるのですか。
      憲法の条文を読めば私たち日本の向かうべき政治の方向が間違っていなかったこと、国民の幸福追求のためには戦争は決してしてはならないと思えるはずです。本当に平和を希求するための論議をすべきなのなら、まずは、過去のアメリカとの戦争(大東亜戦争)は誰が起こし誰が敗北の責任をとったのでしょうか。その時の国民の生活と生命はどうなったのでしょう。
      日本はイラク戦争以外参加していませんが世界でどうして多くの戦争やテロがが起きているのでしょうか。平和を考えるなら戦争の原因を考える必要があると思います。本当に戦争で平和が維持できたのでしょうか。戦争は勝った者も負けた者も一般の人々の犠牲と深い悲しみしか残りません。

      1. ケンシロウ より:

        憲法を解釈可能な範囲で運用して・・・合憲ではありませんか?
        例えそのときそのときの政権で解釈が変わろうとも、合憲は合憲です。ある解釈のされ方が気に入らないなら、改憲すればいいだけのこと。

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