2015年3月16日(月)17時30分から、東京電力本店で定例記者会見が開かれた。汚染水の水処理の今年度内完了を断念し、5月末までにその時点での汚染水総量の約97%を処理する新たな計画を公表した。ただし、そのうち3分の1はストロンチウム処理水であり、ALPSによる水処理が必要となる。さらに、残る3%を処理する目途はいまだ立たっていない。
2015年3月16日(月)17時30分から、東京電力本店で定例記者会見が開かれた。汚染水の水処理の今年度内完了を断念し、5月末までにその時点での汚染水総量の約97%を処理する新たな計画を公表した。ただし、そのうち3分の1はストロンチウム処理水であり、ALPSによる水処理が必要となる。さらに、残る3%を処理する目途はいまだ立たっていない。
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汚染水(RO濃縮塩水)を2014年度内に全量水処理することを計画していた東京電力だが、今年度内の完了を断念した。3月12日現在、タンクに滞留しているRO濃縮塩水は約16万トン。5月末までに約14万トンに対してストロンチウムを除去する処理を行う予定だという。その後、ALPSにより他の核種も除去するが、その時期は見込みが立っていない。
さらに、残る約2万トンのRO濃縮塩水の処理はその先になる。その目途もまだ立っていない状況だ。
加えて、フランジ型タンクを解体する際、今あるポンプでは取り除けない汚染水がタンク底部に残る。それが約2万トンと見込まれており、その処理の見込みもいまだ立っていない。
炉心を冷却した水は汚染水となり、建屋地下に滞留している。キュリオンやサリーでセシウムを除去した後、RO淡水化装置で処理し、再び淡水の冷却水を作り出している。その残りがRO濃縮塩水と呼ばれる汚染水になる。
RO濃縮塩水は、ALPSにより62核種を除去する。当初、2014年度中にRO濃縮塩水全量をALPSで処理する計画だった。しかし、ALPSの処理性能が計画より悪かったことや、1月中旬に死亡事故が続発したことにより作業中断があったため、水処理計画は遅れていた。
ALPSは既存ALPSに加え、増設ALPS、高性能ALPSと三機種ある。高性能ALPSは国プロジェクトとして設計された。処理性能は、計画では1日あたり700トンだ。しかし、現段階では1日あたり200~500トンと非常に低い処理性能しか出ていない。
これらの原因により、東京電力は今年度内の全量水処理完了を断念した。