死亡事故を受けた安全総点検で行程が2週間遅れるも、凍土遮水壁3月運転開始の目標は変えない方針/テロ対策の強化は「機微情報なので答えられない」~東電定例会見 2015.2.5

記事公開日:2015.2.5取材地: テキスト動画
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(取材・記事:IWJ・箕島望)

 2015年2月5日17時30分から、東京電力で定例記者会見が開かれた。続発した作業員の死亡事故を受けて行った安全総点検で、約2週間工程がスライドしたが、凍土遮水壁の3月運転開始の目標は変更していない。ただし、工程ありきではなく安全第一で作業工程を見直しているとし、具体的な日程は「今は言えない」と繰り返した。

 タンク堰に入り込んだ雨水が汚染されており、その原因にフォールアウト、舞い上がった土壌等が考えられることについて、IWJは、その原因が堰内だけではなく、構内全般や構外に影響する可能性を質問。東電は、構内の堰外が現在約62%をフェイシング済だとし、構内全体として、敷地境界線量が目標値以下になるよう管理していると説明した。

 邦人人質事件を踏まえ、原子力発電所でのテロ対策の強化は行うのかという質問に、東電は「核物質防護に関する機微情報なので答えられない」と回答。作業員の身元確認の強化も特に実施する予定はなく、「入構証や放管手帳の発行、入構手続は変更しない」と答えた。

■全編動画

凍土遮水壁3月運転開始の目標は変えず、工程ありきではなく安全第一に検討

 1月19~20日にかけて作業員の死亡事故が続いたことから、約2週間にわたり全工事作業を中断し、安全総点検を行った。点検と必要な対策を終え、徐々に工事作業を再開しているが、素直に考えて工程は2週間ずれることになる。

 凍土遮水壁は3月には凍結運転を開始する予定だった。これもずれると思われる。しかし、記者からの質問に対し、広報官の川村氏は「(3月の)目標は変えていないが、それありきの工程ではない」と答えた。

 工程第一で無理に作業を進めるのではなく、安全第一に作業を見直し、チェックして工事を進める方針だ。安全総点検による作業中断から再開したばかりであり、今後どのように工程に影響するか、「今精査している」と繰り返した。具体的な日程の目途、数値は「今は言えない」という。

3号機トレンチ充填作業を開始

 福島第一原発3号機海水配管トレンチの充填作業が始まった。2号機の経験を踏まえ、建屋との間を凍結止水せず、最初から水平トンネル部分に充填剤を注入している。

 充填剤は、1週間に約350立方メートル程度を3回に分けて充填する。これは、3号機トレンチ内に滞留している汚染水の塩分濃度が高いためだ。充填剤注入と共に汲み上げた汚染水を水処理装置で浄化するが、塩分濃度が高いため、水処理装置の負荷が高くなってしまうことから、少しずつ行うということだ。

 なお、先行している2号機トレンチは、水平部分の充填結果を評価中であり、立坑部分の充填はまだ行っていない。続く4号機トレンチの充填は、まだ検討中だ。これらは凍土壁も含めて、全体のバランスを見て「工程を精査している」と言い、ここでも具体的な日程の目途、数値の回答はなかった。

テロ対策の強化は行っているのか

 邦人人質事件を踏まえ、国内テロの危険性について言及され始めている。今回の事件を踏まえて、原子力発電所でのテロ対策の強化は行うのか。これについて東電は、「核物質防護に関する機微情報なので答えられない」と回答。

 では、作業員の身元確認の強化は行うのだろうか。記者の質問に対し東電川村氏は、「入構証や放管手帳の発行、入構手続は変更しない」と答えた。

タンク堰の外に振った雨、敷地境界線量目標値で管理

 タンク堰に入り込んだ雨水は、核種濃度を測定し、告示濃度の0.2倍という、東電が設定した運用目標値以下になるよう浄化し、構内に散水している。堰内雨水が汚染される原因は何か。タンクからの漏洩や、フォールアウト、舞い上がった土壌等が考えられる。

 タンク漏洩はもうほとんど起こらないし、例え発生しても堰内にとどめられる。しかし、フォールアウトや土壌の舞い上がりは堰内だけではなく、構内全般や構外へも影響する可能性がある。これらについて、どう考えるのか、IWJが質問した。

 東電は、構内の堰外が現在約62%をフェイシング済だとし、これは地面をコンクリート等で覆い、雨水が地下に染み込まないようにしているという。その後、排水溝に流れ込んだ雨水をモニタリングしている。地下水も、地下水パイパスやサブドレンピットからの汲み上げでモニタリングし、浄化した後に放出している。このようにして、構内全体として、敷地境界線量が目標値以下になるよう管理していると説明した。

 現実問題として、発電所構外や、海面へのフォールアウト、地下に浸透した雨水は膨大な量であり、手が付けられないこともある。結局、発生源を一刻も早く封じ込めることが重要だ。

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以下、東京電力ホームページより、リンクを表示

報道配布資料

2015年2月5日

2015年2月4日

2015年2月3日

プレスリリース

2015年2月5日

2015年2月4日

2015年2月3日

福島第一原子力発電所の状況について(日報)(東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響)

道関係各位一斉メール

2015年2月4日

新着情報

2015年2月5日

2015年2月4日

写真・動画集

2015年2月5日

2015年2月3日

福島第一原子力発電所 データ集

■その他の東京電力会見はこちらからご覧いただけます。→ http://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/tepcopress

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