福島原発事故から丸4年、100回を超えた街頭演説「正しい意地を見せたい」――福島県浪江町「希望の牧場」の吉澤正巳氏が渋谷で訴え 2015.3.11

記事公開日:2015.3.12取材地: テキスト動画
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(IWJ・ぎぎまき)

特集 3.11
特集 百人百話

※3月12日テキストを追加しました。

 2011年の東日本大震災から丸4年がたった、3月11日(水)、福島県双葉郡浪江町「希望の牧場」の吉澤正巳氏が、渋谷ハチ公前で30分の演説を行った。

 「希望の牧場」は福島第一原発から14キロに位置し、原発事故による放射能汚染が続く現在も、避難区域に指定され、居住は許されていない。しかし、政府の避難指示に従わず、吉澤氏は今も、被曝牛を含めた約300頭の牛と共に、「治外法権化」した牧場で暮らしている。

 事故直後、警戒区域となった浪江町では、ほとんどの家畜が放置され、餓死した。国からは、全頭処分を求められたが、牛を見殺しにはできなかった吉澤氏は、被曝した牛たちを「生きた証拠」として研究目的で生かす道を選んだ。

 吉澤氏は演説の中で、「福島県の犠牲、被害、差別の上に、大都会、渋谷の姿も成り立っている」と訴え、事故から4年経っても、仮設住宅や避難先で暮らし続ける被災者の現実を力説した。渋谷のスクランブル交差点の一角で行われた吉澤氏の演説に、足を止め、耳を傾ける者は少なかった。しかし、吉澤氏は意に介さない。自らの行為を「正しい意地」だと話し、すでに100回を超えた街頭演説を今後も続けていくという。

■ハイライト

吉澤氏の演説に足を止める若者

 ハチ公前で立ち止まり、吉澤氏の街頭演説を聞いていた大学1年生の男性は、高校の3年間を福島県いわき市で過ごしたという。感想を聞くと、「福島のことは心配です。たくさんの人に福島に来てもらって、被災した現状を見てもらいたいです」と話した。一緒にいた別の男性は、吉澤氏の話を聞いて、「まだ、大変な状況なんですね。知りませんでした」とコメントした。

「正しい意地」を見せたい

※以下、発言要旨を掲載します

IWJ「丸4年という節目の今日、演説の中で強調したかったメッセージは」

吉澤正巳氏(以下、吉澤・敬称略)「いろいろな行動があるけど、経産省前でも感じることは、疲れが出てきているということ。(世間の)関心の薄れ、運動の疲れがあるんだろうなと思います。最初の頃に比べたら、運動が下火になるのは仕方ない。

 だけど、今年(2015年)は再稼働が始まる年でもあるから、私たちは負けたわけではないし、残りの人生をかけて闘うべきだと思う。私は61になったが、残りの時間をかけて、原発の時代を終わらせるために闘い続ける。そういう覚悟を大勢の人が持つべきだと思います。

 安倍総理が言っている『アンダーコントロール』状況、ものを見ない、言わない、聞かない、考えない、行動しない国民を作ろうとしている。福島のことは復興モードにしている。

 (復興の)中身が問題で、除染をやって元に戻るわけじゃない。汚染水処理はできているのか。あれだけ汚染水をタンクに貯めて、タンクが錆びて、いずれ、海に流れてしまうんだろうと。凍土遮水壁も効かないよ。廃炉だって、本来、人間が行かなければできないことを、ロボットにできるのか。

 安倍総理は、『アンダーコントロール』でオリンピックを引っ張って来たし、難しい原発の話を、オリンピックというお祭り騒ぎで、国民の脳みそのスイッチを切りかえようとしている」

(…会員ページにつづく)

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