「建設当時の安全基準のまま、原発を運転し続けてきた電力会社」――書き換えられていた津波リスクを国会事故調の協力調査員・添田孝史氏が指摘 2015.2.15

記事公開日:2015.2.28取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富山)

※ 2月28日テキストを追加しました!

 「福島沖で大津波が起きるということは、決して荒唐無稽な想定ではなかった。政府の公式報告書で繰り返し予測されていた。しかし、土木学会と中央防災会議が、それを潰した」──。『原発と大津波 警告を葬った人々』(岩波書店、2014年11月)の著者、添田孝史氏は、このように語った。

 東日本大震災以前から、福島県沖を含む海域での大地震と巨大津波の可能性を認識していたにもかかわらず、当時の原子力安全・保安院や東京電力の関係者らが、原発の津波防災対策を先送りしてきたことについて、福島原発告訴団は、新たな告訴・告発(2015年告訴)を、2015年1月13日に行った。

 そして、2015年2月15日、福島県郡山市のビッグパレットふくしまで、「福島原発告訴団 あきれ果ててもあきらめない! 2.15福島県集会」が開催され、2015年告訴に新証拠や資料の提供などで協力しているサイエンスライターの添田孝史氏が講演を行った。

 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)協力調査員を務めた添田氏は、大津波に対する安全対策は、偏った人たちによって議論されてきたと語り、「福島第一原発事故が起きる前から、保安院と東電は、津波の危険性を認識していた」と指摘。それを隠蔽し、データを改ざんして対策を怠ってきた経緯を、資料に基づいて明らかにしていった。

※動画変換のトラブルによりまして、本記事にダイジェスト動画はありません。

  • 主催あいさつ 武藤類子氏(福島原発告訴団団長)
  • 報告 新告訴と不起訴処分の不当性について 海渡雄一氏(弁護士)/保田行雄氏(弁護士)
  • 講演 添田孝史氏(サイエンス・ライター、元国会事故調協力調査員)「原発と大津波 警告を葬った人々」
  • 告訴人からの発言/スピーチ 神田香織氏(講談師)/第2次告訴告訴人募集について
  • 日時 2015年2月15日(日)14:00〜16:00
  • 場所 ビッグパレットふくしま(福島県郡山市)
  • 主催 福島原発告訴団詳細

東日本大震災4日前まで隠蔽され続けた「15.7メートル」津波予測

 はじめに、福島原発告訴団の海渡雄一弁護士が、検察審査会に提出される上申書の原案を参照しながら、新たな告訴と(2012年告訴の)不起訴処分の不当性について語った。

 その中で海渡氏は、2008年、津波に関する安全性が考慮された耐震設計審査指針が作成されようとした際に、「15.7メートルという津波が起こる」という見積りが出ていたにもかかわらず、東京電力によって、東日本大震災の4日前まで、それが隠されていたと語った。

 海渡氏は、「この時点で津波対策が行われていたら、福島の原発事故は起こらなかったかもしれない」と力説した。

 保田行雄弁護士は、検察庁による再度の不起訴処分に対して、「検察審査会が提起した問題に正面から答えておらず、むしろ、東電の弁護人であるかのような弁解を並べている」と批判。

 その上で、「検察庁が強制捜査をして、しかるべき資料を差し押さえれば、明らかになったことがあるはずだ。責任を持って徹底的に調査する姿勢がなく、捜査機関として当然行うべきことをしていない。それで、不起訴処分の結論を出していることは、市民の感覚からすると明らかにおかしい」と訴えた。

電力会社の都合で書き換えられた津波リスク

 続いて、添田氏が「地震と大津波、警告を葬った人々」と題した講演を行った。

 福島第一原発の建設当初、津波対策の基準は3.1メートルだったことについて、「小名浜港の津波の、わずか12年分のデータを元に作成された」と添田氏は語る。そして、時の経過とともに、津波予測が進歩してきた経緯を振り返った。

 その後、津波堆積物の研究が進み、貞観(じょうがん)地震の津波と同じ、水位8.6メートルから9.2メートルの津波が福島県沖で発生する、という科学的な予想が出されたが、添田氏は、「東電は、低い津波予測のままで、貞観地震のリスクが不確実に見えるように、報告書を書き換えさせていた」とし、その安全に対する姿勢について疑問を投げかけた。

 1993年に起きた北海道南西沖地震の津波被害を契機に、1997年にまとめられた「七省庁手引き」という津波防災対策の手引きがある。当時の国土庁、気象庁、消防庁、農林水産省、水産庁、運輸省、建設省の7つが連携して、津波対策の強化を図るためのものだ。

 その中には、原発の安全面を考慮して、「想定し得る最大規模の地震津波を検討し、既往最大津波との比較検討を行った上で、常に安全側の発想から沿岸津波設定することが望ましい」と記載されている。

 これを厳密に適用すると、一部の原発では津波の高さが敷地を超えてしまう。添田氏は、「危機感を持った電気事業連合会は、旧建設省に対して圧力をかけて、原案では『常に安全側の発想から沿岸津波設定すること』という部分を『常に安全側の発想から沿岸津波設定することが望ましい』と修正させた」と言う。

45年前の防災基準のまま、原発を動かしていた

 また、1999年から2001年にかけての、土木学会の原子力土木委員会津波評価部会の構成員のほとんどは、電事連の報告書をまとめたチームのメンバーだった、と添田氏は指摘する。ここでの研究費や会議の費用(約2億円)は、すべて電力会社が負担しているとも言い、このように続けた。

 「彼らは、津波の安全率を余裕をもって確保しなければいけないと認識していたにもかかわらず、まったく誤差を考慮しない『安全率1倍』と定めた。なぜなら、安全率を1.2倍にしただけで、福島の原発は動かせなくなるからです」

 添田氏は、「大津波に対する安全率の議論は、電力業界側に立つ人間に偏った人選で行われてしまっている。防潮堤を作らなくても、できることはたくさんあった。津波を想定したマニュアルを整備しておくだけでも、被害は軽減できたのだ」と述べて、本来やるべき対策が行われず、45年前の基準のまま、原発のプラントを運転し続けてきた電力会社の姿勢を問題視した。

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