吉田調書の教訓生かさぬ原発再稼働 国の「怠慢」を専門家らが指摘 ~「もっかい事故調」主催のシンポジウムで 2014.10.15

記事公開日:2014.10.20取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJ・松井信篤)

特集 3.11

 2011年3月11日に起きた福島第一原発事故に係る経緯・原因の究明や事故の防止、被害軽減のための提言を行なうことを目的として、2011年12月8日に国会事故調(東京電力福島原子力発電所事故調査委員会)が発足した。半年後の2012年7月5日に調査結果報告書の提出を行い、委員会は解散した。

 国会事故調のメンバーを中心に立ち上げられた、原発の安全性を研究するグループ「もっかい事故調」主催により、吉田調書を紐解くシンポジウムが10月15日(水)に衆議院議員会館で開催された。

■ハイライト

  • パネリスト:佐藤暁氏(原子力コンサルタント)、伊東良徳氏(弁護士)、上澤千尋氏(原子力資料情報室)
  • ゲストパネリスト:添田孝史氏(サイエンスライター、元朝日新聞科学医療部記者)
  • 司会進行:田中三彦氏(元国会事故調委員)

一号炉と緊急時対策室の距離が対策の遅れに

 原発事故当時に、福島第一原子力発電所の所長であった吉田昌郎氏が「政府事故調」(東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会)の聴取に応じた際の記録『吉田調書』が、9月11日に公開された。

 原子力資料情報室の上澤千尋氏は、事故時の対応をめぐって、免震重要棟の緊急時対策室から指示を出していた吉田所長と現場との距離について指摘。免震重要棟から一号炉までの直線距離は約400Mだったが、電気がないため通信機器が使えず、炉内パラメーターの伝達を1回やりとりするのに、1時間を要することもあったという。

 シビア・アクシデント(過酷事故)の対応は極めて困難であることがわかる。

スリーマイル原発事故を経験したアメリカ、事故後に対応が強化

 原子力コンサルタントの佐藤暁氏によると、アメリカでは、テクニカルサポートセンター(緊急時対策室)から原子炉建屋まで400Mの距離があるのは規制違反で、基準としては、徒歩2分以内でたどりつける距離となっている。この規制は、1979年に起きたスリーマイル島原子力発電所事故の教訓によるものだ。

 また、アメリカでは敷地内での対応が不可能となった時に、バックアップするための緊急時指令施設 (EOF)の設置が義務づけられている。佐藤氏は、福島第一ではたまたま福島第二原発やJヴィレッジなどの施設があったが、他の原発にはそのような施設がないと指摘した。

 上澤氏は原発規制の問題に言及。必要な対策やフィルターベント設備設置などを猶予することで事実上の規制緩和を行い、原発の再稼働を可能とするのは「怠慢だ」と、原子力規制委員会を批判した。

 3年前までは「再稼働はあり得る」と思っていたという佐藤氏は現在、再稼働について大変心配していると明かすとともに、可搬式の電源車やポンプの設置、災害時の訓練などシビア・アクシデントへの対応が完備されていない現状のまま、適合性審査が行われていることに警鐘を鳴らした。

年功序列型の硬直した組織は、緊急時に機能しない

(…会員ページにつづく)

アーカイブの全編は、下記会員ページまたは単品購入よりご覧になれます。

一般・サポート 新規会員登録単品購入 330円 (会員以外)

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です