臼杵陽・日本女子大学教授が紐説くイスラム国による邦人人質殺害予告事件とシャルリー・エブド襲撃事件――2つの事件の背景にあるものとは 2015.1.23

記事公開日:2015.1.26取材地: テキスト動画
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(IWJ・薊一郎)

特集 中東

 日本女子大学教授臼杵陽氏の緊急講演会が1月23日(金)、「臼杵陽氏が読み解く パリ襲撃事件と『表現の自由』」と題され、「土井敏邦・パレスチナ 記録の会」主催により明治大学駿河台キャンパスにて開かれた。

 主催のジャーナリスト土井敏邦氏は、1月20日に発生したイスラム国による日本人人質殺害予告事件を受け、講演会では急遽、初めに「イスラム国とは何か」を臼杵氏に語ってもらうことにしたと述べた。

■ハイライト

  • 講演 臼杵陽氏(日本女子大学教授、中東地域研究)「パリ襲撃事件と『表現の自由』」
  • 質疑応答

「イスラム国は、国家というものが崩壊して生まれた『国』」

 「イスラム国とは、イラクという国家の破綻とシリアの内戦の結果生まれた。こういう文脈を外して語ると、イスラム国を悪魔のような国として語ってしまうことになる」

 臼杵氏はイスラム国という組織が生まれた背景をこのように語り、それは「国家というものが崩壊して生まれた『国』」であると特徴づけた。

「遠い敵を相手にするのではなく、近くの敵に向かっている」

 アルカイダとの繋がりを指摘されるイスラム国だが、臼杵氏は「イスラム国は、アルカイダがやったようなグローバルテロリズム、すなわち世界中にテロを行うことで何らかの目的を達成する(という行為への)反省のもとに作られた『国』だ」と説明する。

 そして彼らの活動は「防御的な反応」であり、「アメリカ人ジャーナリストが斬首されたのも、アメリカによる空爆が始まってからだ。彼らの活動は彼らの主張する領域範囲内」にとどまっていると臼杵氏は分析する。

 「事実として外側に向けて何かをしている訳ではない。アルカイダのように遠い敵を相手にするのではなく、近くの敵、シーア派を相手にして国作りをしている」

 さらに、「2014年の初めには、アルカイダ側もイスラム国とは無関係であることを声明した。この時点で、(両者は)はっきり手を切ったと見なされている」と臼杵氏は述べ、アルカイダとの関係性を明確に否定した。

「イスラム国にとれば、日本は敵対的な行為をしていると捉えれても仕方がなかった」

 臼杵氏は、安倍晋三首相の今回の中東訪問について、「安倍外交の凄い失点」と批判する。

 「(安倍首相の記者会見で)日章旗とイスラエル国旗が並んでしまっている。見事なくらい、わざわざ敵対行為をしているようなものだ。安倍外交の凄い失点ということになるかと思う。

 難民支援など人道的援助の目的で2億ドル供与すると言ったわけだが、少なくとも安倍さんは、イスラム国と闘うために、後方を支援するというようにしかとれない発言をしてしまった。イスラム国にとってみれば、日本は敵対的な行為をしていると捉えれても仕方がなかった」

 臼杵氏はこのように述べ、安倍首相の中東外交を批判するとともに、それがイスラム国による日本人人質殺害予告事件へのきっかけを与えたとして、強い憤りを示した。

「イスラム教徒に対するステレオタイプ化された偏見が広がってしまっている」

 パリのシャルリー・エブド襲撃事件に関して、臼杵氏はまず、ヨーロッパ社会におけるイスラム教徒に対する偏見の広まりを指摘し、次のように語った。

 「ほぼ全てのイスラム教徒はテロに反対だ。にも関わらず、また起きてしまった。

 (ヨーロッパ社会において)イスラム教徒がテロと結びつけられ、ステレオタイプ化された偏見が広がってしまっている。

 そもそも15億人もいるイスラム教徒が一枚岩なはずがないにも関わらず、イスラム教という宗教がテロと結びつけて考えられてしまっている」

事件の背景「アルジェリア植民地の問題が議論から抜けている」

(…会員ページにつづく)

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