「解散風」が吹き荒れるなか、最大野党・民主党の海江田万里代表が11月17日、定例会見に臨んだ。この日、内閣府は、GDPが2期連続マイナスになったことを発表。前日には沖縄県知事選で辺野古埋め立て反対を掲げる翁長雄志氏が当選した。安倍政権にとって厳しい向かい風が吹く今、海江田代表はどのように選挙戦に挑もうとしているのか、質問が集中した。
戦後70年の大きな節目である来年、日米防衛協力の指針(ガイドライン)が見直される。統一地方選後に浮上するであろう集団的自衛権などの問題もある。海江田代表は、こうした問題こそ「隠された争点」だと述べた。
- 日時 2014年11月17日(月) 17:00~
- 場所 民主党本部(東京都千代田区)
「民主党政権では実額、489兆円から516兆円に5.4%成長した」
海江田代表は冒頭、「本日、内閣府のGDP速報値で、何とか上向くと期待されていた7-9月も、4-6月期マイナス7.1%に続き、さらに1.6%減と発表された。実質賃金も5期連続マイナスで、個人消費が増えるわけがなく、円安でも輸出数量が伸びていない」と語った。
さらに、「安倍総理は『政治は結果』責任と言っているが、2年経っても出なかった。これがアベノミクスの実績だ。これだけ厳しい経済情勢の中で、無理やり消費税増税しろ、という党は民主党以外でもないと思う。まさに『大義名分なき解散』で、年末の忙しい時期に国民生活、重要法案、700億円もの税金を投げ打ってするべきか」と指摘した。
また、「総理は『民主党時代にマイナス成長だった』とオーストラリアでも繰り返しているが、明確に事実と違う『嘘、デマ』だ。民主党政権で実額、489兆円から516兆円に5.4%成長。第二次安倍政権1.4%よりもずっと成長している。また『集団的自衛権の行使容認』などが『隠された争点』だと思う」と主張した。
海江田氏「沖縄県知事選結果を民意として真摯に受け止めるべきだ」
前日の沖縄県知事選で改めて辺野古新基地反対という民意が示されたが、安倍政権は引き続き、埋め立て工事を強行していく姿勢を打ち出している。この点を民主党としてはどう考えているのか。質疑応答で、IWJは質問した。
海江田代表は「民意として真摯に受け止めるべきであり、無視して強引に進めることは許されない」と回答。さらに海江田代表は、来月にもあると言われる解散総選挙について言及し、「川内原発も、薩摩川内市と鹿児島県だけで再稼働すると決めたが、それでいいのか。政府ももっと責任をもって関与もすべきではないか、避難計画の問題も残されている」と争点を列挙。「部門ごとにまとめ、マニフェストを作っていきたい」と意気込んだ。
「株価はジェットコースター。強引に買い支える『禁じ手』は続かず」
他の記者からは、「それでも株価は上がったりしており『民主党よりマシだ』という人も多いと思うがいかがか」という質問も。
これに対し、海江田代表は、「株価は、いま特にジェットコースター状態で、今日も500円以上も下がった。また、GPIFで、勤労国民の大切な資金を従来の倍、50%以上も株式で運用。また、日銀ETFも問題だと思う。強引に買い支える『禁じ手』は続かず、これ以上、失敗が明確になる前に慌てて解散したいのではないか」と回答した。
また、前年度比3倍にまで増えている「円安倒産」について問われると、海江田代表は「全国を回っていて痛感する。やはり去年からで、アベノミクスの結果ではないか。急激な円安対策と共に、中小企業をどう救えるか対策チームを組んで検討する」と答えた。