「排外デモ」傍観はできない ~在特会らを提訴した李信恵氏「橋下大阪市長には『在日特権などない』と言ってほしかった」 2014.11.15

記事公開日:2014.12.26取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富田)

 2014年8月に、個人で初めてヘイトスピーチ(差別扇動表現)をめぐって民事訴訟を起こしたフリーライターの李信恵(リ・シネ)氏が、11月15日、神戸市内で「ヘイトスピーチを許さない社会へ」と題した講演を行った。

 李氏は、在特会(在日特権を許さない市民の会)、会長である桜井誠氏(11月末で会長辞任を表明)、まとめサイトの「保守速報」に対して損害賠償を求めて提訴している。

 9月5日に開かれた外国特派員協会での記者会見で、李氏は自分がインターネット上のヘイトスピーチに苦しめられているとし、「特に、匿名掲示板、2ちゃんねるなどの差別発言を抽出・編集し、『出て行け』『死ね』などを強調加工した『まとめサイト』はひどい内容」と怒りを示した。

 同会見では、レイシストデモに加わった若者が、ツイッター上で「李氏を殺す」と脅迫した容疑で書類送検されたことや、中学生が昨年2013年2月に、大阪の鶴橋駅前で「朝鮮人を虐殺する」と叫んだことも話題に上り、若い世代を煽動してレイシストデモに駆り出している在特会と、同種のグループの幹部らへの批判も展開された。

 その際、同席した李氏の代理人である上瀧浩子弁護士は、「在特会の桜井誠会長は、ニコニコ動画や街頭宣伝、さらにはツイッターで、継続的に李氏を名指しで攻撃した。それは民族差別だけでなく、名誉毀損や業務妨害にあたる」と説明している。

 李氏が求めている損害賠償金は、桜井氏と在特会が550万円、まとめサイト「保守速報」が2200万円である。

 今回の講演で、李氏は自身がヘイトスピーチと闘う理由を、「社会を正したいから」ではなく、「胸を張れる自分でいたいから」と述べた。

 また、「(レイシストデモに対し)傍観者でいればいいとは思わない。『どの社会にも差別はいらない』と主張するために、市民は立ち上がらねばならない」と力説。李氏は9月の会見でも、「(今の自分に)大人としてできることは、法廷に立つこと」と話している。

■ハイライト

  • (※講演前に上映されたビデオは録画に含まれません)
  • 講演 李信恵(リ・シネ)氏(フリーライター、在日朝鮮人2.5世)/質疑応答
  • 日時 2014年11月15日(土)14:00~16:30
  • 場所 新長田ピフレホール(神戸市長田区)
  • 主催 神戸コリア教育文化センター/神戸在日コリアン保護者の会

「あんなものは無視すればいい」を否定する

 在特会や同種のグループによる排外デモが、ここまで横行することになった背景には人々の無関心がある、と強調した李氏は、「ああいったデモを無視するのではなく、自分の問題として認識する勇気が大事だ」と語る。

 その一方、ライターとして現場で排外デモを取材する時には恐怖心を感じる、と打ち明けた。「足が震えるばかりか、腕の震えで撮った動画は手振れしている」。

 個人の立場で、在特会などと闘う決意を固めた理由については、「年月が経って、今のこうした排外主義の運動が『過去の話』として語られ、家族らから『あの時、あなたは何をしていたのか』と問われた時に、胸を張れる自分でありたいから」と述べた。

 自身への、ネット上での誹謗中傷については、「あんなものは無視すればいい」との忠告を受けるケースが多々ある、とした上で、「しかし私は、今後も私を差別する言葉を発見した場合は、必ず当該者に対し反論する」と口調を強め、デモやネット上でのヘイトスピーチは無視していればなくなる、という考え方には賛同しない立場を鮮明にした。

レイシストデモを取り締まる条例を

 そして、10月20日に行われた橋下徹大阪市長と在特会会長の桜井氏との、ほとんど喧嘩のような面談については、「あれは茶番劇だった」と述べつつも、レイシストデモに頭を悩ます自治体の首長が、桜井氏に会って直接批判したことを評価した。

 李氏からは、大阪市に呼ばれて、レイシストデモの被害者の立場から話をしてきた、との報告もあった。「私は、へイトスピーチデモを取り締まる条例を作ってほしいと要求した。そして、桜井氏との対談の時、橋下市長は、なぜ『在日特権などない』と言ってくれなかったのかと、不満をぶつけてきた」。

私のケースを、最初で最後に

 「差別のない社会を作ることは、子どもたちに『未来』を作ることを意味する」と主張する李氏は、在特会などを相手取った自身の裁判について、次のように話した。

 「これまでも、他人の裁判の支援活動を手がけてきたため、裁判の大変さは十分にわかっていたつもりだったが、いざ自分が原告になると、本当に大変で、すでにくじけそうになっている。だが、私を支えてくれる人が大勢いるので、引き続きがんばっていきたい。個人がヘイトスピーチデモに対して行う裁判は、私のケースが最初で最後になればいい」。

 李氏は、これまで排外デモの参加者に「殺せ、殺せ、李信恵」と名指しされ、ネット上でも同様の攻撃にさらされてきた。そのため、デモの現場では警察に抗議し、ツイッター社には100回以上通報したものの、「どちらも、まともに取り合ってはもらえなかった」という。

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