「映画監督の河合でございます。弁護士もやっております」
脱原発弁護団全国連絡会の共同代表を務めるなど、脱原発運動を展開している河合弘之弁護士が自ら監督した映画「日本と原発」(私たちは原発で幸せですか?)の制作発表および試写会が、11月4日シネマート六本木で行われた。
同映画は、監督の河合弁護士の他、原発関連訴訟などで共に闘う海渡雄一弁護士による構成・監修、東電株主代表訴訟原告事務局長の木村結氏の協力により制作され、音楽では、現代音楽作曲家で交響曲「HIROSHIMA」などの作曲者である新垣隆氏が制作に参加している。
「2時間で分かる映画を裁判所に提出して、裁判官を説得したい」
制作発表の冒頭、河合弁護士は自らの弁護士としての実績を次のように振り返った。
「経済事件で勝ち抜いたが、社会のため、人のためになることとして、20年原発問題に取り組んできたが、20連敗していた。そこへ福島原発事故が発生し、やっぱり自分がやっていたことは正しかった」
この映画を制作した理由を問われると、河合弁護士は「(原発関連裁判で)やってもやっても負ける。これは裁判官も含めて国民が原発安全・安心神話の呪縛にとらわれているからだ。この呪縛を解くには、ビジュアルしかないと2年前に決意した」とその動機を語った。
映画を制作する上での目標として、河合弁護士は、「原発の初歩から高度な内容まで、すべて論じ尽くした映画を作りたい」と考え、「日本の世論を変え」ることが映画制作の目標だったと説明した。
2つ目の目標としては、「裁判官にも原発のことがわかるような」映画にすることだという。
「裁判官も書類の山を読んでいると、原発のことがわからなくなる。2時間で(原発問題が)分かる映画を裁判所に提出して、裁判官を説得したい」
河合弁護士は、映画を原発関連裁判闘争の裁判官に対する啓蒙としたいと、希望を述べた。
「河合さんが監督をやるしかない」
映画制作を構想している当初、河合弁護士は監督を専門の映画監督に依頼したが、「原子力ムラから排除されることを恐れて、商業監督は絶対やってくれなかった」という。ある映画監督から、「河合さんが監督やるしかないよと言われ、わかりましたと答えた」と語り、原子力ムラの圧力によって、自らがメガホンをとることになった経緯を説明した。
新垣氏「このような映画に参加できて、非常に嬉しい」
制作発表には新垣氏も参加し、映画に提供した曲のコンセプトを語った。