川内原発再稼働に「同意」した薩摩川内市長「私は『同意』という言葉を一切使っていません」と責任逃れの弁明 2014.10.28

記事公開日:2014.10.30取材地: テキスト動画
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(記事構成:IWJ・安斎さや香)

 川内原発を抱える鹿児島県薩摩川内市の岩切秀雄市長が10月28日に開かれた臨時市議会で、原発再稼働への同意を表明した。傍聴席や会場外では、市民らが再稼動反対を訴え、会場は一時騒然とした。

 市議会の原発対策調査特別委員会が10月20日に、早期の再稼働を求める陳情を賛成多数で採択した。これを受けて、この日に臨時議会が招集され、議長と退席者1名を除く24名中、19対4(棄権1)の賛成多数で再稼働を求める陳情を採択した。

 市議会の判断を受けた岩切市長は、臨時市議会後の全員協議会で「再稼働を進める政府の方針を理解する」と発言し、川内原発の再稼働に「同意」を表明。 その後、市役所で記者会見した。新規制基準制定後に、原発が立地する市町村で再稼動への賛意が示されたのは、薩摩川内市が初となる。

 会見では、再稼動について「私は『同意』しておりません」「私は『同意』という言葉を一切使っていません」などと苦しい弁明をする場面も。事故が起きた場合の責任は「事業者」や「国」にあると強調し、自らは責任から逃れようとする市長の姿勢が浮き彫りとなった。

■ハイライト

  • 日時 2014年10月28日(火) 15:00〜
  • 場所 薩摩川内市役所(鹿児島県薩摩川内市)

 以下、会見の模様を報告する。

審査書が出されてから50日で再稼働に「同意」

記者「川内市は、全国ではじめて、新基準のもとで再稼動の同意を表明しました。現在のお気持ちはどのようなものでしょうか。また、19回も(説明会を)市議会で開いた理由について、どのようにお考えられているか、お聞きしたいと思います」

岩切市長「大変緊張しながら、再稼動問題に取り組んできました。かねてから、まずは厳しい安全性を身に着けていただきたい、十分対策を作ってほしい、そのうちにこの基準を作った人に来ていただき、市民に説明会を開いてほしい、ということをお願いしていました。

 そのうちに、市議会の反応を得たのちに、自分が最終的に判断したということです。今日も本会議のなかでやはり、慎重論を言われる人たちの気持ちを考えると、まだまだ厳しい状況をこらえなければならないのかなということを思います。

 九州電力には、再稼動が認可されたのであれば、十分に気をつけていただきたいというのが今の気持ちです。また、議会のなかで、特別委員会が何回も議論して、時に対応してくれたのは、原子力発電所に対する議員の認識が高かったからだと思っています」

記者「薩摩川内市にとって、川内原発はどんな存在なのでしょう」

岩切市長「歴代の市長がそれぞれ薩摩川内市の発展のために尽力してきました。昭和30年代、本市は財政再建団体という厳しい状況にあり、市長、議会は、地域活性化、振興のため原発を誘致しました。

 歴代の市長、議会が、原発に対し、厳しい安全性を心がけてきました。30年間大きな事故なしに続けてこられたのは、やはり市長、議員が勉強しながら、九州電力に安全性を求めてきたからであり、私もそれを引き継いでいかなければと思っております」

記者「審査書が正式に出されてから50日での再稼動の同意ということとなりました。この日に同意をしたということの意味とはどのようなものでしょう」

岩切市長「許可がなされたということで、安全性を国がきちっと確認したと思っています。原子炉の設置の変更が一番大事なことであり、議会の判断を仰ぎながら、地元での説明会も、本市に限り、市民に理解してもらうためにも、50日は大事な時期であったと思っています」

再稼働について市長「私は『同意』しておりません」

記者「反対派に対してどのようにお考えですか」

岩切市長「今日の傍聴席から、もうちょっと冷静に話ができないかな、と思いました。川内原発一号機、二号機も当時の状況からすると、そう厳しい批判はありませんでしたので、ほっとしています」

記者「地震、津波への対策を進めてこられましたが、規制委員会は『リスクはゼロにはならない』と言われています。もし災害があった場合、福島同様、広い範囲が汚染され、多くの人の生活が奪われるというリスクについて、どう認識されているのでしょうか。

 こうしたリスクがあるにもかかわらず、再稼動に同意をするということで、もし事故が起きた場合、なんらかの責任をとる、ということについて、どう考えておられますか」

岩切市長「まず、私は『同意』はいたしておりません。法的になにも私のほうで手続きするということはないわけです。(臨時会が)終わってから、県知事とエネルギー庁官に『議会が終わりました、こうしたことで表明しました』ということは、お伝えはしました。

 私は『同意』という言葉を一切使っていませんし、今回のエネルギー基本計画では、なにか重大なことが起きたとき、責任は第一義的には事業者にあるのでしょうけど、最終的には国が責任をとる、ということを言ってらっしゃいます。ですので、手続き上は、私はなにもしないつもりで、お二人には電話でお話しただけです」

事故対策に市長「もう十分、リスクは考えなくてもいい」

岩切市長「規制庁は『100%リスクがないとは言えない』と言いますが、福島で起きたような津波、地震、原発事故に対応するのは、(新基準ができたので)もう十分、100%(リスクはない)と言っていいと私は信じています。これについてのリスクは考えなくてもいい、福島のように立ち入り禁止区域ができたりする、という状況は、現在では考えるべきではないのでは。

 (旧基準では)火山の噴火と連動する複合的な災害を考慮に入れていなかったので、『100%リスクがない』と言えないとも思っています」

記者「九州電力の社長とお会いされたとのことですが、どこで、何分ぐらいの会合でしょうか。また、再稼動したい、と要望があったのか、またそれならば、市長はなんと答えたのか、お聞きしたいと思います」

岩切市長「(10月)22日、社長とお会いし、『ちゃんと再稼動をする心構えがありますか』ということを聞いて、『30年間(の大規模事故のない期間)を引き継ぎます』ということで、15分ほどで済みました」

再稼働の判断、その後の責任は「国が持つべき」

(…会員ページにつづく)

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