大阪・泉南地域のアスベスト(石綿)による健康被害をめぐり、国に損害賠償を求めた裁判で10月9日午後3時、最高裁は初めて、国の責任を認める判決を言い渡した。
今回の判決は、1958(昭和33)年時点で国が局所排気装置の設置を義務づけなかったことは、国家賠償法1条1項の適用上「違法」であるとし、国の責任を認めたもの。
一方で、1971(昭和46)年以降の、国による石綿の抑制濃度規制が不十分だったことと、防塵マスク着用等の措置を義務づけなかったことについては、著しい違法性が認められないとして、原告側の主張が退けられた。
また、この国賠訴訟は第1陣・2陣に分かれて争われており、第1陣では、大阪高裁で被害者の原告側が敗訴、上告していたが、第2陣は大阪高裁で原告側が勝訴、国が上告していた。この日の最高裁判決により、国の責任を認めた局所排気装置の設置義務違反について、第1陣が大阪高裁へ差し戻しとなり、第2陣では国の上告が棄却され、原告側が全面勝訴した。
- 13:30〜 判決激励行動(最高裁正門前)/14:00〜 入廷行動/15:00 判決言い渡し/15:10頃〜 旗出し+速報(最高裁南門)/16:00〜 記者会見(衆議院第一議員会館)/17:00〜18:00 判決報告と全面解決を求める院内集会(衆議院第一議員会館)/18:30頃〜 厚労省への申し入れ
- 日時 2014年10月9日(木) 13:30頃~
- 場所 最高裁判所南門および衆議院第一議員会館(東京都千代田区)
「私ははずされました。悔しいけど悔いはありません」
最高裁前で「勝訴」「国を断罪」と大きく書かれた文字が掲げられると、原告被害者らは喜びの声で沸き立った。しかしながら、1971(昭和46)年以降の違法性は認められなかったことから、原告らは、喜びと悔しさの入り交じった複雑な感情をにじませた。
判決言い渡し後、傍聴していた原告共同代表の佐藤美代子さんは、「私ははずされました。悔しいけど悔いはありません。みんなのために勝利したのは喜びたい」と語った。同じく原告共同代表の岡田陽子さんは、「私は門前払いで複雑な心境だ。これからは政治解決を目指していきたい」と語り、1陣・2陣ともに問題の全面解決を求めていく決意を語った。
「国は最高裁判決を真摯に受止め、1日も早く全面解決を」