「福島県は原発事故関連情報を隠蔽している。情報は全て公開する」――。
福島県知事選挙に無所属で立候補を表明している前岩手県宮古市長で医師の熊坂義裕氏は、参議院議員会館において9月25日、福島原発事故による避難者・支援者らと意見交換を行なった。座談会の後、海渡雄一弁護士のコーディネートにより、熊坂氏、俳優で農業従事者の菅原文太氏、城南信用金庫理事長の吉原毅氏によるシンポジウムを開いた。
(IWJ・薊一郎、追記:佐々木隼也)
特集 福島県知事選挙2014
※菅原文太氏のスピーチ文字起こしを追加しました。(12月2日更新)
「福島県は原発事故関連情報を隠蔽している。情報は全て公開する」――。
福島県知事選挙に無所属で立候補を表明している前岩手県宮古市長で医師の熊坂義裕氏は、参議院議員会館において9月25日、福島原発事故による避難者・支援者らと意見交換を行なった。座談会の後、海渡雄一弁護士のコーディネートにより、熊坂氏、俳優で農業従事者の菅原文太氏、城南信用金庫理事長の吉原毅氏によるシンポジウムを開いた。
■ハイライト
熊坂氏は、「1人1人の判断・選択を尊重し、寄り添っていきたい。福島県がこのメッセージを発信するのが大事」と述べ、原発事故により避難した人、残った人の判断を尊重した県政を目指すと語った。 医師である熊坂氏は、低線量被曝のリスクなど、「わからないことはわからない」と誠実に語ることが大切だと主張。これに対し、意見交換では医学上の「わからない」は住民の「わからない」とは違うとの指摘もあがった。さらに、「県知事立候補者として不特定多数に向かうには、わかることを語らなければ、選挙民の心に届かないだろう」との厳しい意見も飛んだ。
意見交換会に参加した男性は、「不安を煽るから公開しないというのは県民を馬鹿にしている。情報を公開していれば、こんな状況にはなっていなかった」と述べ、県の情報隠蔽体質に怒りを露わにした。熊坂氏は、「情報公開の不十分さが、福島県の現状に深刻な悪影響をもたらしている。情報は全て県民のものであり、公開すべきだ」と述べ、情報公開の重要性を強調した。
厳しい意見もあったものの、参加者らは「ぜひ頑張ってください」と熊坂氏を応援。熊坂氏は、「県民の心を掴むために相当な覚悟で臨む」との決意述べて応じた。
後半のシンポジウムで、菅原氏は、「沖縄と福島、象徴的な2つで勝利すれば、日本がだいぶ良くなるのではないかと希望が見えてきた」と、熊坂氏を応援する理由を語った。また吉原氏も「熊坂氏の大ファン」だと明かし、「ぜひ勝利して欲しい」とエールを送った。
以下、菅原文太氏の応援スピーチの文字起こしを掲載する。
「自分の癌を日本の偉い大先生が診てくれて、『全摘しなきゃダメだよ』と。でも俺は『嫌だ』と、『切ってまで生きたくない』と。そうしたら『切らないともって半年だよ』、と。それが7年前の話ですから。
日本で有数なお医者さんでも、手術で儲けるためには脅迫をするのかね(笑)、と腹が立ったんですがね。でも切らずに済んだのは、鎌田實(みのる)さんのおかげだったんです。
日本の医学もかなりいいかげんですね。鎌田さんが10人の優秀なお医者さんに聞いてくれたんですね。そのうち9人が、『その先生の言う通り切らないとダメだ』と。でもたった一人、教授じゃない助教授が、『診て上げるからいらっしゃいよ』と、『切らなくても済む手だてを考えてあげるから』、と。それでほっとしました。それて助かりました。半年の命が7年もってます。
そんなことはどうでも良いんですが(笑)。
奇しくも、日本が今非常に際どい所に立たされている。その一つが福島。こないだ福島に行ってきました。なんにも為されていない、と言ってもいいくらいですね。そこへまた福島と同じくらい、いやもっと古くから、昔から、責められ続けている沖縄の辺野古ですね。
仕事で沖縄へ行くたびに、辺野古を訪ねて、近所の漁師と話をしたり…。今、(福島・沖縄)両方の知事候補を応援することになった。
鎌田先生と沖縄に行った時に、先生の元へ『立候補した』と知らせてきた人がいた。すると『もう俺は選挙はやらない』、と言っていたのが、突然、豹変して、『応援する!彼はオレの大親友だし、あんな立派な人間はいないぞ、信頼できる』と。
そして、『一緒にやろうと』と。断ることもできそうにない、勢いで言われてしまったんで。これは命の恩人だからやらないわけにはいかないか、と(笑)。
さて、両方とも、勝利するにはどうしたらいいのかな、と。これが自分の中に渦巻いている。象徴的ですよね、一番南の沖縄と、東北の象徴的な原発のある福島と。これが見事に勝利して、新しい思いがけない衝撃を日本中に与えたら、今のこのおかしくなっている日本の国が、だいぶ良くなるんじゃないのかな、とある種の希望が見えてきた。
あともう少しね、(熊坂候補は)ゆっくり喋った方が良い(笑)。
日本人というのは割と早口なんですよね、喋るのが。だからトータルしてみると何を喋ったのか分からない。ゆっくりと、噛み締めるように、力を入れるのを強弱をつけて、ゆっくり喋ると浸透していくんですよね。これは俳優を50年やってきて会得したもの。特に選挙での語り口というのは、そういうのが現地の人々に染み通っていく。これがある意味で勝敗を分けると言ってもいいと思います。
ひょっとしたら、髪型も変えた方が良いかもしれない(笑)
丸坊主にする、というのもひとつの方策ですよ。闘う以上は勝たないと。凡百の他の候補者、ろくなのがいないから。きちっと闘えば勝てます」