2014年9月24日(水)14時30分から原子力規制庁庁舎にて、規制委員会定例記者会見が行われた。田中俊一委員長が海外出張のため、更田豊志委員が委員長代理として会見に対応。福島第一原発のトレンチは「止水できなければ凍土壁はお手上げ」であり、「トレンチは汚染水をそのまま固めてしまうという方法も」との代案を示した。
2014年9月24日(水)14時30分から原子力規制庁庁舎にて、規制委員会定例記者会見が行われた。田中俊一委員長が海外出張のため、更田豊志委員が委員長代理として会見に対応。福島第一原発のトレンチは「止水できなければ凍土壁はお手上げ」であり、「トレンチは汚染水をそのまま固めてしまうという方法も」との代案を示した。
記事目次
■全編動画
日本原電の敦賀発電所2号機の破砕帯調査について、調査会合を行い、とりまとめに向けての作業が進んでいるところだと説明。しかし、いつまとまるかは「まだ私のところでは承知をしておりません」という。
規制委員会としては、一端結論を出したところだが、新しいデータに基づいた検討をしているところ。ただし、いつまでも検討が続くというものではなく、「事業者の方の対応も大きく進捗には関わってくる」との考えを示した。
難航している福島第一原発2号機のトレンチ止水工事について、規制委員会としては「今、そこにあるリスク源として最も重要なものだということは繰り返し申し上げている」と重視していることを強調。
汚染水を取り除くためには、タービン建屋との間を止水し、水を抜き出せる形にするのが一番望ましいが、それがうまくいかなければ、「汚染水をそのまま固めてしまうという方法を取らざるを得ない。ただ、まだそこまで判断してしまうのは早いだろう」という考えを示した。
福島第一原発の凍土式遮水壁は、建屋の海側で、トレンチ部分を貫通し、横断する形で設置される。トレンチの止水ができなければ海側の凍土式遮水壁は成立しないわけで、規制委員会では、凍土方式遮水壁というのは計画が破綻するので、トレンチ側の対策がもうとれないとなった時点でお手上げになると考えている。更田委員長代理は「(規制委員会)が引導を渡すまでもないと思っています」と述べた。
規制委員会として議論の順番は、「トレンチの問題がきちんと解決できてから凍土壁だと考えており、凍土壁以前に優先すべきことであるトレンチの問題に、まず関心を集中させている」と言う。
ただし、「事業者がチャレンジしたいと言っているものを妨げるのは、規制の役割ではない。だから、特段悪さをしてしまうのではない限りは、東京電力の申請に対して、要件を満たしていれば認可していく」との方針を示した。
施工の準備や期間も考慮して、トレンチの止水と同時並行的に、凍土式遮水壁の工事も順次進められる箇所は進めていくということだ。
福島第一原発の汚染水、地下水問題に関して、「サブドレンは直接的な手法で有効だ」という見方を示し、将来的に遮水壁が”仮に”うまくいったとしても、「サブドレンとあわせて運用するというような手段になるのではないか」、との考えを見せた。
川内原発に関して九州電力は、今後、工事変更認可申請と保安規定変更申請を行い、規制委員会は審査を進めることになる。
審査にどのくらいの時間を見込んでいるかと記者が質問。更田委員長代理は「補正がなされてからでないと、確定的にどれぐらいの時間がかかると申し上げるべきではないだろう」と答えた。
九州電力川内原発以外のPWRの5原発(大飯、高浜、玄海、伊方、泊)について、規制委員会、規制庁はニュートラルに審査に当たっていると答えた。
しかし、「今の印象をごくざっくり申し上げると」と更田委員長代理は前置きし、「規制委員会、規制庁は待っている状態」だとして、今後の進展は、「事業者の対応によるところが大きい」との考えを示した。
川内原発のパブコメに矛盾した記述があると記者が質問。MELCORコードによるクロスチェック解析を行うべきという意見に対して、規制委員会は解析は実施済みと回答している。しかし、NRA技術報告では、検討対象から除外しているという。
記者は「ここのパブコメに書いてある記載と明らかに矛盾する」と質問し、更田委員長代理は、ある前提条件に特化した質問であれば、「パブコメの回答にそう書いてあるとしたら、それは回答としてふさわしくないであろうと思います」と返答。
記者はさらに質問を続けたが、司会者は「事務方が書いている文章でもありますので、そこは」と質問を制し、片山啓官房審議官が「委員長代理の記者会見の場ではちょっとふさわしくない」と述べ、担当課に問い合わせるよう要請した。