2014年9月10日14時30分より、東京・六本木の原子力規制庁で田中俊一・原子力規制委員会委員長による定例会見が行われた。九州電力川内原発について設置変更許可を決定し、再稼働へステップを進めた。
2014年9月10日14時30分より、東京・六本木の原子力規制庁で田中俊一・原子力規制委員会委員長による定例会見が行われた。九州電力川内原発について設置変更許可を決定し、再稼働へステップを進めた。
記事目次
■全編動画
会見の冒頭で田中委員長より、9月10日午前に行われた第23回原子力規制委員会で、九州電力川内原発1、2号機の設置変更許可を決定したことが発表された。新規制基準による適合性審査が始まってから、初めての設置変更許可の決定。
今後、工事計画認可、保安規定の許可といった法令上のステップを踏んでいくことになる。
九州電力川内原発は2013年7月8日に設置変更許可を申請した。規制委員会は1年以上かけて新規制基準への適合性審査を終えた。
記者から審査を終えたことの所感を訊ねられた田中委員長は、「一つの大きな山を、ステップを踏み出したということだ」と述べるとともに、「この後もたくさん審査が控えているが、着実に進めていきたい」との意思を示した。
規制委員会が行った、川内原発の設置変更許可申請に対する審査結果を示す”審査書”は、火山噴火の対応について批判の声が大きい。
田中委員長は、今回の規制から初めて火山の影響を取り入れ、きちんと評価したと強調。川内原発については、原発の運転期間中には火山の影響は及ばないと判断したが、「自然現象なので絶対とは言えない」ことから、火山をモニタリングしながら柔軟に対応していく姿勢を示した。
批判の声については、「(委員長が)国会で発言してから、(批判の声が)いろいろと出てきたというのが正直な実感だ」と述べた。
さらに、「審査合格のあとに火山検討チームを開始するのは順番が逆だ」という意見もあることに対しては、基本的に審査は規制委員会と規制庁で行うものだが、火山については知見をもっと積んだほうがいいので、会合を開いたと説明。
川内原発で争点となった”カルデラ噴火”は、起こった場合には「原発どころの騒ぎではない」国民全体の問題だと指摘。そういう自然のリスクを日本人が明確に認識して取り組むきっかけになったという意味では、大変意義のある会合だったとの考えを示した。
「パブコメは規制当局と国民とをつなぐ大事な接点だ」と、先立って開かれた規制委員会で大島賢三委員が発言した。
今回の審査書案に対するパブリックコメントの募集でも、審査書案に反映されていない意見の中には、貴重な意見も多いと委員長。そこでパブコメを中長期的に検討していくような仕組みづくりに、前向きに取り組んでいきたいとの考えを示した。
しかし委員長は、「今回は特別にパブコメを行った」と同委員会で発言していることから、パブコメを行うのは今回の川内原発だけなのか疑問に思うところ。委員長は、「今回は委員会として、最初なのでやった。今後のことは委員会で諮る。たぶん前向きかな」と応えている。
新規制基準の下、設置変更許可決定の第1号となった川内原発が再稼働への道を進み始めた。となると次がどこになるかが気になるところ。審査状況をみると、先行しているのは、基準地震動が確定している玄海原発と高浜原発である。
田中委員長は、今後どうなるかまだ予断を持って言えないが、玄海と高浜は基準地震動が決まったところまで来ているのは事実だと明言した。