2014年8月27日14時30分より、東京・六本木の原子力規制庁で田中俊一・原子力規制委員会委員長による定例会見が行われた。政府が吉田調書を公開する方針を示したことについて、規制委としては改めて規制基準に取り入れる考えはないことを示した。委員長個人としては、「手に入れば読みたい」とコメントした。
2014年8月27日14時30分より、東京・六本木の原子力規制庁で田中俊一・原子力規制委員会委員長による定例会見が行われた。政府が吉田調書を公開する方針を示したことについて、規制委としては改めて規制基準に取り入れる考えはないことを示した。委員長個人としては、「手に入れば読みたい」とコメントした。
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東電福島第一原発事故の対応を、政府事故調が聞き取り調査してまとめたとされる「吉田調書」を、これまで非公開にしていた政府が一転、公開する方針を決めた。公開された場合、その内容を規制基準に取り入れるのかと記者が質問した。
委員長は、「これまでいろいろな調査、報告が出ており、規制基準にとりいれている。改めて労力を割く予定はない」と答えた。
「事故時の対応は現場の力が重要。発電所所長など現場の責任者がよく読んだほうがいいだろう」とコメントし、委員長個人としては、「手に入れば読みたいと前々から言っていたよね」とコメントした。
政府の有識者会合で、日本海側における大規模地震発生時の津波高さなどを推計したものが発表された。今後の適合性審査に影響があるのか、記者が質問したところ、「規制委員会が求めた基準津波高さよりも低い値なので、事業者がどう言ってくるかどうかだが、安全マージンとして考えておけば」との考えを示した。
福島第一原発の汚染水対策として、汚染水はALPSで処理し、サブドレンでくみあげた地下水は、浄化して海へ放出するのが東電の方針だ。これらについての考えを、委員長に記者が質問した。
委員長は、「ALPSを増設しないと、RO水のタンクが増え続け、かえってリスクが大きくなるから、早く増設して早く処理してくれといってきた」と答えた。処理した水が、トリチウムは別として運用目標以下なら、海に排出するのは「構わない」と委員長は以前にも発言しており、その方が大きなリスクをさげられるという。サブドレンもこれと同様との考えを示した。
事業者のトップとの意見交換を定期的に行うことが、午前の委員会で議論された。委員長は「規制は安全を守るための最低のレベル」であり、「その上で事業者がいろいろなことに取組まなければいけない。そこで、意見交換によって安全に対する考え方を共有し、より高い安全を求めていきたい」と答えた。
さらに、委員長は意見交換で規制制度の改善案などの意見も交換したい考えだという。他方、一般からの規制制度に対する意見は、「日常的にWebで受けている」と片山啓審議官が述べ、意見交換では、被規制者の立場という事業者から意見を聞くことだと説明している。
再処理施設の審査状況に関する質問に答えるかたちで、委員長は、「福島第一原発事故の教訓で建物が破壊されたが、中にあった乾式容器は無傷であったことから、安全上、プールで冷却するより、早く乾式キャスクに収容するべきだ」という考えを示した。
8月25日に行われた火山のモニタリング会合第一回で、有識者は皆、「火山モニタは難しい」、「予め予測することはできない」と発言。こうした会合、議論の後に、川内原発の評価書案を議論すべきでなないかと記者が質問した。
委員長は、「火山のモニタリングは、行ったことがないから難しいのは当然だ」とコメント。「カルデラ噴火の議論によって、火山の原発だけに限らない国民の安全のためのリスクを再認識できた。川内原発がトリガーになって、社会的に認識されるようになったのは良いことだと思う」と答えた。
規制委がSPEEDIの来年度予算を半減すること決定したとの報道について、記者が質問した。委員長は、「SPEEDIを使わないということを決めたわけではない。しかし、SPEEDIはその予測結果に頼って避難をするのではなく、住民対策を行う意味で、補助的に使うべきものだ」と答えた。
続けて、3.11事故直後の対応で「SPEEDI はトラウマ的だ」、「SPEEDIの誤解があるので、きちっと説明して理解を求めていくことが大事だ」とコメントした。
■jaikoman氏によるツイート