2014年9月17日(水)10時30分から、平成26年度第25回原子力規制委員会が開催された。9月18日で任期終了し、退任する島﨑邦彦委員、大島賢三委員は最後の委員会だったが、発言することなく終了した。
2014年9月17日(水)10時30分から、平成26年度第25回原子力規制委員会が開催された。9月18日で任期終了し、退任する島﨑邦彦委員、大島賢三委員は最後の委員会だったが、発言することなく終了した。
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第19回規制委員会(8月6日開催)で決まった、「特定重大事故等対処施設」「航空機衝突影響評価」の両審査ガイドに対するパブコメの結果がまとめられた。これは寄せられた意見に対する規制庁の考えをまとめ、審査ガイドに反映後、委員会に諮るものであり、事務局案通りに決定した。
更田豊志委員は、「航空機衝突時の影響は燃料タンクの大きさが効いてくる、今ある最も大きなもので評価するが、具体的な詳細は別途、非公開の第26回委員会で議論する」とコメント。
また、「建屋が壊れ、ひびなどから地下水が流入する事を内部溢水というのか」と疑問を呈するも、山形浩史・規制庁調整官は、「内部の配管溢水と、外部からの地下水流入の両方を検討することにする」と返答。
特に異議はなく、事務局案通りに決定した。
規制に関して民間規格、学協会規格を活用しているが、その中の一つ、日本機械学会が策定した「軽水炉の設計・建設規格」にて、旧版で誤りがあったことが分かり、その対応を決定するもの。
同規格について、2001年版から2005年版に改訂する際、ANDとなる条件をORに書き間違え、そのまま2012年版に更新。溶接に関する規制庁技術評価会合にて誤りが発見され、知らせを受けた機械学会から正誤表が発行された。
規制庁は、同規格を利用する規則について、改正し、あらためてパブリックコメント(意見募集)を行うように提案。
更田委員は、「学協会規格の品質評価をどうするか、学会側も正誤表を発行するだけで済ますのはいかがなものか」と苦言。「誤りのあったことについて見解を示し、規格の品質保証に努めてもらいたい」と述べ、そのため、学会の代表者に規制委・規制庁に来てもらい、意見交換の機会をもつことを提案。
田中俊一委員長による、「民間規格の利用では品質と責任が伴う。更田委員の提案のように学会代表者と意見交換の場を作ってはどうか」との指示に対し、池田長官は検討すると返答。
当面は事務局案通りの対応で、パブコメも実施することが承認された。
川内原発の審査書案に対するパブコメにて、竜巻評価ガイドに誤りがあると指摘。規制庁で誤りを確認した。誤りを訂正し、改正した評価ガイドが委員会で承認された。
誤りの内容は、設計竜巻の最大風速を大き目に算出していたというもの。結果的には過剰に安全側に寄った設計になっていた。
JNES(旧原子力安全基盤機構)が策定した平成25年度の安全研究を評価し、平成26年度の研究計画を年次評価した結果を、委員会に報告するもの。
更田委員は、「予算規模が不明で費用対効果が分からない。規制に役立ったかどうかで見ており、長期的視点が不足している。研究レベルが不明だ」と意見。
さらに、「研究を一旦始めると、終わるのが難しい。研究のために深堀を続けるということになる」とコメント。
中村佳代子委員は、「研究したこと、結果が出たことが成果ではない。何を生みだしたかを検討すべき」と意見。また「終了した研究テーマでも、規制委・規制庁としてのニーズは終わったが、国として研究を続けるべきものもある」とコメント。
田中委員長は、「メリハリのついた研究計画ができたと思う」と感想を述べ、「研究成果の評価基準が明確でなく、今後どうするかが課題だ」と指摘した。
三相交流の一相開放故障は、検出ができない。実用発電用原子炉におけるこの故障の対応は、第10回規制委員会(6月4日開催)で決定された。同様のことを再処理施設についても適用、決定するもの。
事務局案通りに対応を決定し、同時にパブコメを実施することが承認された。
更田委員は、極めて適切な対処だと思うとコメント。しかし、当該規則の解釈の改正で、「手段」を「設備」と先行するのは大きな違いであり、ミスであることを指摘し、今後起こらないように精査するよう意見した。
中村委員の、「事業者からの報告を見ると、事業者は本件についてあまり安全性の懸念をもっていないように感じるが、それでよいのか」との質問に対し、更田委員は、「挙動は激しくなく、十分対処できる。念の為に行うかであり、事業者の対応にそこまでいわなくてもいい」と返答した。
田中委員長は、「中村委員が納得なら、それでいいね」と確認し、承認された。
凍土遮水壁に関する実施計画は、検討会で議論、委員会に報告や確認した範囲なので、手続き的には長官決裁案件である。しかし、まだ確認する事項が残っているため、一応委員会に報告するもの。
更田委員は、資料をみると多数「~するとしてる」と、事業者の書いてきたことのオウム返しだと指摘するとともに、最後に「~であることを確認した」と言っているが、これは目に余ると苦言を呈した。そうでは無く、事業者の言ってきたことが適切であると判断して認可するものと説明し、書いてある事柄が足りているから認可という態度は改めるよう求めた。
田中委員長は、「福島第一原発は、トレンチの汚染水処理が最優先だ」と述べ、それがうまくいってない中で本件(凍土壁)の工事を進めることを認めるが、「トレンチの処理のほうが重要だ」ということを事業者に確認するよう指示した。
次週9月21日から26日まで、田中委員長はIAEA(国際原子力機関)第58回総会に出席のため、海外出張する。それに伴い、来週の定例委員会は新しい委員長代理が議長となる予定。
なお、18日で委員の任期終了し、退任する島﨑委員、大島委員は、本日が最後の委員会だったが、発言することなく終了した。
■jaikoman氏によるツイート