2014年8月27日(水)10時30分から、2014年度第21回原子力規制委員会が開催された。東京電力福島第一原発の増設ALPSに関する実施計画の変更認可が承認、認可された。また、規制委と事業者トップとの意見交換会を、10月から月一回のペースで公開で行うことがほぼ了承された。
2014年8月27日(水)10時30分から、2014年度第21回原子力規制委員会が開催された。東京電力福島第一原発の増設ALPSに関する実施計画の変更認可が承認、認可された。また、規制委と事業者トップとの意見交換会を、10月から月一回のペースで公開で行うことがほぼ了承された。
記事目次
■全編動画
東電福島第一原発の汚染水を浄化処理する「増設ALPS(多核種除去設備)」に関し、実施計画の変更認可申請について、委員会で議論した。
変更申請書には、増設ALPSについて性能試験を行うこと、発生する水素ガス対策、処理水を保管するタンクの所要量、漏洩防止策、災害対策などについて記載されている。加えて、発電所の敷地境界における実行線量を再評価しなおした。現在、最大年間0.98mSvだが、ALPS処理が進むこと、新設ALPSでは遮蔽対策を強化していることから、年間最大0.91mSvに逓減すると東電は評価している。
更田豊志委員は、実施計画の変更認可は「新たな脅威がないなら認可するもので、規制当局が性能を保証するものではない。一部報道の誤解を解いておきたい」とコメント。
その上で、この認可は「当然だ」と意見し、「汚染水という液状の放射性物質を削減するため、増設ALPSは所定の目標性能を達成しなくても、どんどんまわし、核種除去性能が足りなければ何回もまわし、とにかくサッサと運転を始めるべきだと」コメントした。
さらに、今回の認可は安全上の脅威は低いとし、「これが何故委員会で議論するのか疑問だ」などと述べ、委員会で議論する案件と長官専決にするものの線引きを明確にするよう指示した。
中村佳代子委員は、現行ALPSや凍結トレンチの初期のトラブルは「大学学部でも分かるような化学反応だ」とコメント。さらに、「スピード感が遅すぎる」と事業者の対応に意見し、強力に指導するよう指示した。
他に反論等はなく、認可することを承認した。
各年度実施施策の政策評価について、平成25年度の評価書案、平成26年度の事前分析案について委員会で議論した。
平成25年度は、原子力に関連して、規制の実施、災害対策、規制行政に対する信頼の回復、という三施策について自己評価し、全て目標を達成したと評価している。
平成26年度では、これら三施策を継続するとともに、各施策に分散していた”核セキュリティ対策”をまとめ、JNES(原子力安全基盤機構)統合による新たな業務”技術基盤の構築”を加えた五施策とした。
事業者のトップと意見交換することが田中俊一委員長から提案され、事務局がその方針、進め方をまとめ、委員会に報告した。事業者のトップに10月頃から月に一回来てもらい、臨時委員会として公開で開催すること、主旨を徹底することといった考えが報告された。
田中委員長は、「安全の確保は規制だけでは不十分、国際的にも、トップマネジメントからの安全文化が必要という認識だから提案した」とコメント。
大島賢三委員は、「安全文化の醸成とともに、核セキュリティ文化の醸成も必要だから、公表できる範囲で各社の取組み、方針も説明してほしい」とコメントした。
続けて、「規制庁の体制は、核セキュリティは担当部署がはっきりしているが、安全文化はどこが責任をもつのか、司令塔がどこなのか分からない」として、体制を明確にするように要望。池田克彦長官は、調査、精査して報告すると回答した。
中村佳代子委員は、「意見交換の場を設けることが重要。趣旨を徹底してほしい」とコメントした。
田中委員長は、「意見交換は、安全に対する考え方、取組みについて、事業者と規制庁とで共有し、全体の安全レベルを上げることが趣旨だ」と述べ、「社長に来ていただくので、礼を尽くして、趣旨は委員長の名前で文書(手紙)とする」と付け加えた。
意見交換の進め方は、事務局案の通りに承認された。
燃料加工施設や再処理施設、廃棄物施設等についての新規制基準適合性審査の状況が報告された。四半期毎に定期的に委員会に報告するもの。
これら核燃料施設等の審査は、委員が出席する審査会合、規制庁が行う審査会合、規制庁ヒアリングによる審査という形式があり、委員が行う発電所の審査会合とは形式が異なっている。
田中委員長は、「発電所だけでなく、こういうバックエンドも重要、しっかりやってほしい」と感想を述べ、「新基準に対する事業者の理解があまり進んでいないのではないか」と意見した。加えて、リサイクル燃料処理は「そんなに危険ではないと思うので、きちっと着実に進めてほしい」とコメントした。
議題の審議終了後、9月2日から原子力安全上級規制者会議(TRM)が開催されるとの説明が、田中委員長と大島委員からあった。
日中間の原子力安全上級規制者会議(TRM)では、昨年は中国がホスト国だった。今年は日本がホスト国となり、規制庁庁舎で行われる。その後、米、加、仏、露を加えた専門家会議「TRM Plus」が開催される予定だ。
■jaikoman氏によるツイート